龍馬の成り「角鷹」の謎(長さん)
前回「中将棋の成りが確立したのは、成り駒に飛牛が存在
すると言う事実から、大将棋が、少なくとも15升目に変化
した後である。」との旨のべた。良く知られているように、
中将棋の成りには、もっと私流の普通唱導集の13升目4段
組の大将棋類だけでは送達しがたい、「角鷹」という駒がある。
ただ、鷹を駒にしようというアイティアは、大将棋に狼駒を
加えるのと同レベルの難易度だと思う。問題は駒名ではなくて、
主にその動きのルールの方である。なお駒で「角鷹」が出
てくる将棋は、、安土桃山時代の時点、水無瀬兼成の将棋部
類抄時代には、天竺大将棋が未だ注目されていなかったため、
この駒種自体が中将棋以外では、駒数354枚制の泰将棋に
しか、存在しないほどの珍しさであった。
さてこれまで述べた私の推定によると、普通唱導集時代には、
「平安大将棋の猛虎の2回歩みと表現される麒麟」と、
「玉将と同義の王将の2回歩みと表現される獅子」とが、
踊り駒類と言うことになる。踊りの例は、猛虎、方向転換
2回動きと、八方歩み2回動きの王将の二種類しかない。
そもそも、角鷹の前方動きを表現する萌芽として、普通唱導
集の時代に、「歩兵の2回動き」程度が考え出されていないと、
普通唱導集の時代の大将棋から、15升目の後期大将棋を
経ずして、中将棋の成りの角鷹は、簡単には作れない。
ただし、この角鷹ルールを作る困難性は、「それがあれば」
だけ程度では、とても無い。
答えを先回りして言うが、実は角鷹の動きを発明するため
には、例として麒麟の仮説初期の動きが、次のように表現さ
れるものと同じである事実に、気が付かなければならない。
平安大将棋の猛虎の2回歩みで麒麟という、普通唱導集
大将棋の麒麟の動きは、
(前提)斜めそれぞれ別々の4成分に動きは分解され、
そのうちの1つ1つについて、
①間に別の駒が有って飛び越し可能な動きの一種であって、
駒の行き先が空いているか、存在する駒が相手駒の場合
は、着地でき、後者の場合は着地先の駒を取り去る
(「走り」「歩み」の着地条件と同じ、)踊り駒の一種の動き
であって、
②跳び越え可能なのが、相手駒だけ、味方駒は不可能で、
(「古型」の踊り)
③跳び越えた駒のうち、相手駒だけ強制ですべて取るルール
で、
④経路が斜め一歩、ついで、方向転換後斜め一歩型であり、
(特殊な不正行度)
⑤歩みの向きは変える事ができず、(居喰い不可能型)
⑥1歩および2歩の、2通りのケースが範囲指定で許される
(将棋部類抄の「狛犬型」)
という、以上の表現で、正しく言い尽くされるルールである。
つまり、「~の2回繰り返し」との牧歌的表現を、上のように
拡張しないと、「踊り」のルールは、正確には把握できない事
に気が付く必要がある。
そうした上で、上の④で、
「経路が斜め一歩ついで、方向転換斜め一歩型」の猛虎2回
動き、
「経路が八方一目が2回型」の玉将2回動きの、仮説、普通
唱導集時代の古型獅子の動きのほかに、
「経路が前一目が2回型」の縦正行度型に含まれる角鷹の
動きが有り得る、という理解が必要である事はもちろんの事、
②跳び越え可能な駒として、自他によらずそれができる、
(近世の踊り)が有り得る事、
③強制ではなくて(自分にとって「カセ」つまり、都合が悪い
事が有る時には、)任意に途中駒を取らない事ができるよう
なルールも、別途作る事も出来る事(現在の獅子型の踊り)
⑤歩みの方向は同じでも、向きが変えられる、Uターン型
の「踊り」も、正行度と不正行度の中間型のイメージで
考えられる事、
⑥2踊りと表現しても、2歩の踊りだけ許され、「不レ踊一目」
と表現される1歩で止まるのはだめで、踊りの数ピンポイン
ト型も、別途考えられること。
と、以上4つの点が、中将棋の角鷹ルールの作成者には、
把握されていなければ、ならないのである。
私見だが、角鷹については「成分分解して、このケースは
1成分の動きだけであり、それについて、
①間に別の駒が有って飛び越し可能な動きの一種である」
と把握する事に関してさえ、
猛牛の動き、すなわち「踊りのルール」を熟知した者にとって、
次のように、理解される動き:
(前提)4成分に分解され、具体的に、その4つとは、
前方、後退、左右以上方向別に4つであり、そのうちの1つ1つに
ついて、
①間に別の駒が有っても飛び越し可能な踊り動きの一種であって、
②跳び越え可能な駒として、自他によらずそれができ、
(近世の踊り)
③強制ではなくて(自分にとって「カセ」つまり、都合が悪い
事が有る時には、)任意に途中駒を取る事ができる場合も
有り得(現在の獅子型の踊り)、
④縦か横か、一定の方向に隣升目へ一歩づつ動く結果達成される
動きで(正行度類)
⑤歩みの方向は常に同じであり、Uターンはできず、
真性正行度踊りであり、
⑥2踊りと表現され、かつ2歩の踊りだけ許され、「不レ踊一目」
と表現される、踊りの数2だけに、ピンポイント限定される
である、「猛牛」の動かし方ルールが、以上のように、
発見・確立していないと、
角鷹が、猛牛と類似で、「成分分解して、このケースは1成分、
前方の動きだけを考えれば良い」と把握すればよいとさえ、
正しく取らえられないのではないかと私は疑う。
なお更に、①~⑥を角鷹についても決め、確定して初めて角鷹の
ルールが決まる事は、猛牛を15×15升目将棋で使い込み、
獅子や麒麟のルールを、②について、指しやすいように調整した
獅子駒活躍の時代で無いと、条件確定の作業の必要性に、気が
付かないに違いない。なお”麒麟はそれでも煩雑になり、更に
跳び駒へ変化した”と、少なくとも私も論じた訳だが。
ちなみに言うまでも無く、猛牛と角鷹前方動きのルールは
似ているが、鷹のイメージから、この駒を強くしようとして、
④は角鷹では、猛牛の踊りと違って、Uターン可能になるよう、
中将棋では、居喰い可能型に調節されている。
ところで更に、⑥は昭和年間に岡崎史明氏が執筆した、「中
将棋の指し方」によれば、角鷹と猛牛とで同じである。しかし、
少なくともコンピュータ中将棋の世界では、現代でも不確定性
がある。すなわち、コンピュータソフトで、オーストラリア人
の某氏の作った中将棋ではイエスだが、日本人の某氏と、ドイ
ツ人の某氏のソフトでは、
角鷹が
⑥’1目で止まれる、踊り数1ないし2目どちらも可と、範囲
が広い非ピンポイント型の踊り
になっている。この点だが実は、「中将棋の角鷹が、元の直ぐ
前の升目で止まれるのは、『中将棋の指し方』と違っていて
おかしいのではないか」と、正直に言うと、駒数多数将棋
を指す知人に、私は相談した事が無い。将棋部類抄、将棋図式
が「1目も合法」を示唆しているため、岡崎史明氏は無視さ
れたと見てよいのか(?)ネットを見る限り、⑥’が正しく⑥
は誤りのようで、それに反する記載が見当たらないようである。
なお上の問題は、獅子と飛鷹についても内在する。
また獅子等については他に、「②跳び越え可能な駒として、自
他によらずそれができ、(近世の踊り)」が、初手から「じっと
の手」を、指せないようにするためか(?)、2歩目で元升目に
戻る、居喰いの場合だけ、自分の駒の跳び越えが、現代でも
制限されていると聞く。「八方自駒に囲まれた獅子、前の升目
に自駒がある角鷹、斜め前の2升目とも自駒がある飛鷲は、
『じっと』の手が指せない」という意味である。
以上の事から、恐らく角鷹のルールは、少なくとも平成元年
期の、概ね西暦1988年程度時点ですら、曖昧で、完成され
ていないかったと、私には疑われる所である。よって結局のと
ころ、「中将棋が有る」と、文献に記されただけの南北朝時代
に、その成りの規則も同時に完成したとは、到底思えないので
はないかと、私は現時点で疑っている。(2016/12/01)
すると言う事実から、大将棋が、少なくとも15升目に変化
した後である。」との旨のべた。良く知られているように、
中将棋の成りには、もっと私流の普通唱導集の13升目4段
組の大将棋類だけでは送達しがたい、「角鷹」という駒がある。
ただ、鷹を駒にしようというアイティアは、大将棋に狼駒を
加えるのと同レベルの難易度だと思う。問題は駒名ではなくて、
主にその動きのルールの方である。なお駒で「角鷹」が出
てくる将棋は、、安土桃山時代の時点、水無瀬兼成の将棋部
類抄時代には、天竺大将棋が未だ注目されていなかったため、
この駒種自体が中将棋以外では、駒数354枚制の泰将棋に
しか、存在しないほどの珍しさであった。
さてこれまで述べた私の推定によると、普通唱導集時代には、
「平安大将棋の猛虎の2回歩みと表現される麒麟」と、
「玉将と同義の王将の2回歩みと表現される獅子」とが、
踊り駒類と言うことになる。踊りの例は、猛虎、方向転換
2回動きと、八方歩み2回動きの王将の二種類しかない。
そもそも、角鷹の前方動きを表現する萌芽として、普通唱導
集の時代に、「歩兵の2回動き」程度が考え出されていないと、
普通唱導集の時代の大将棋から、15升目の後期大将棋を
経ずして、中将棋の成りの角鷹は、簡単には作れない。
ただし、この角鷹ルールを作る困難性は、「それがあれば」
だけ程度では、とても無い。
答えを先回りして言うが、実は角鷹の動きを発明するため
には、例として麒麟の仮説初期の動きが、次のように表現さ
れるものと同じである事実に、気が付かなければならない。
平安大将棋の猛虎の2回歩みで麒麟という、普通唱導集
大将棋の麒麟の動きは、
(前提)斜めそれぞれ別々の4成分に動きは分解され、
そのうちの1つ1つについて、
①間に別の駒が有って飛び越し可能な動きの一種であって、
駒の行き先が空いているか、存在する駒が相手駒の場合
は、着地でき、後者の場合は着地先の駒を取り去る
(「走り」「歩み」の着地条件と同じ、)踊り駒の一種の動き
であって、
②跳び越え可能なのが、相手駒だけ、味方駒は不可能で、
(「古型」の踊り)
③跳び越えた駒のうち、相手駒だけ強制ですべて取るルール
で、
④経路が斜め一歩、ついで、方向転換後斜め一歩型であり、
(特殊な不正行度)
⑤歩みの向きは変える事ができず、(居喰い不可能型)
⑥1歩および2歩の、2通りのケースが範囲指定で許される
(将棋部類抄の「狛犬型」)
という、以上の表現で、正しく言い尽くされるルールである。
つまり、「~の2回繰り返し」との牧歌的表現を、上のように
拡張しないと、「踊り」のルールは、正確には把握できない事
に気が付く必要がある。
そうした上で、上の④で、
「経路が斜め一歩ついで、方向転換斜め一歩型」の猛虎2回
動き、
「経路が八方一目が2回型」の玉将2回動きの、仮説、普通
唱導集時代の古型獅子の動きのほかに、
「経路が前一目が2回型」の縦正行度型に含まれる角鷹の
動きが有り得る、という理解が必要である事はもちろんの事、
②跳び越え可能な駒として、自他によらずそれができる、
(近世の踊り)が有り得る事、
③強制ではなくて(自分にとって「カセ」つまり、都合が悪い
事が有る時には、)任意に途中駒を取らない事ができるよう
なルールも、別途作る事も出来る事(現在の獅子型の踊り)
⑤歩みの方向は同じでも、向きが変えられる、Uターン型
の「踊り」も、正行度と不正行度の中間型のイメージで
考えられる事、
⑥2踊りと表現しても、2歩の踊りだけ許され、「不レ踊一目」
と表現される1歩で止まるのはだめで、踊りの数ピンポイン
ト型も、別途考えられること。
と、以上4つの点が、中将棋の角鷹ルールの作成者には、
把握されていなければ、ならないのである。
私見だが、角鷹については「成分分解して、このケースは
1成分の動きだけであり、それについて、
①間に別の駒が有って飛び越し可能な動きの一種である」
と把握する事に関してさえ、
猛牛の動き、すなわち「踊りのルール」を熟知した者にとって、
次のように、理解される動き:
(前提)4成分に分解され、具体的に、その4つとは、
前方、後退、左右以上方向別に4つであり、そのうちの1つ1つに
ついて、
①間に別の駒が有っても飛び越し可能な踊り動きの一種であって、
②跳び越え可能な駒として、自他によらずそれができ、
(近世の踊り)
③強制ではなくて(自分にとって「カセ」つまり、都合が悪い
事が有る時には、)任意に途中駒を取る事ができる場合も
有り得(現在の獅子型の踊り)、
④縦か横か、一定の方向に隣升目へ一歩づつ動く結果達成される
動きで(正行度類)
⑤歩みの方向は常に同じであり、Uターンはできず、
真性正行度踊りであり、
⑥2踊りと表現され、かつ2歩の踊りだけ許され、「不レ踊一目」
と表現される、踊りの数2だけに、ピンポイント限定される
である、「猛牛」の動かし方ルールが、以上のように、
発見・確立していないと、
角鷹が、猛牛と類似で、「成分分解して、このケースは1成分、
前方の動きだけを考えれば良い」と把握すればよいとさえ、
正しく取らえられないのではないかと私は疑う。
なお更に、①~⑥を角鷹についても決め、確定して初めて角鷹の
ルールが決まる事は、猛牛を15×15升目将棋で使い込み、
獅子や麒麟のルールを、②について、指しやすいように調整した
獅子駒活躍の時代で無いと、条件確定の作業の必要性に、気が
付かないに違いない。なお”麒麟はそれでも煩雑になり、更に
跳び駒へ変化した”と、少なくとも私も論じた訳だが。
ちなみに言うまでも無く、猛牛と角鷹前方動きのルールは
似ているが、鷹のイメージから、この駒を強くしようとして、
④は角鷹では、猛牛の踊りと違って、Uターン可能になるよう、
中将棋では、居喰い可能型に調節されている。
ところで更に、⑥は昭和年間に岡崎史明氏が執筆した、「中
将棋の指し方」によれば、角鷹と猛牛とで同じである。しかし、
少なくともコンピュータ中将棋の世界では、現代でも不確定性
がある。すなわち、コンピュータソフトで、オーストラリア人
の某氏の作った中将棋ではイエスだが、日本人の某氏と、ドイ
ツ人の某氏のソフトでは、
角鷹が
⑥’1目で止まれる、踊り数1ないし2目どちらも可と、範囲
が広い非ピンポイント型の踊り
になっている。この点だが実は、「中将棋の角鷹が、元の直ぐ
前の升目で止まれるのは、『中将棋の指し方』と違っていて
おかしいのではないか」と、正直に言うと、駒数多数将棋
を指す知人に、私は相談した事が無い。将棋部類抄、将棋図式
が「1目も合法」を示唆しているため、岡崎史明氏は無視さ
れたと見てよいのか(?)ネットを見る限り、⑥’が正しく⑥
は誤りのようで、それに反する記載が見当たらないようである。
なお上の問題は、獅子と飛鷹についても内在する。
また獅子等については他に、「②跳び越え可能な駒として、自
他によらずそれができ、(近世の踊り)」が、初手から「じっと
の手」を、指せないようにするためか(?)、2歩目で元升目に
戻る、居喰いの場合だけ、自分の駒の跳び越えが、現代でも
制限されていると聞く。「八方自駒に囲まれた獅子、前の升目
に自駒がある角鷹、斜め前の2升目とも自駒がある飛鷲は、
『じっと』の手が指せない」という意味である。
以上の事から、恐らく角鷹のルールは、少なくとも平成元年
期の、概ね西暦1988年程度時点ですら、曖昧で、完成され
ていないかったと、私には疑われる所である。よって結局のと
ころ、「中将棋が有る」と、文献に記されただけの南北朝時代
に、その成りの規則も同時に完成したとは、到底思えないので
はないかと、私は現時点で疑っている。(2016/12/01)
コメント 0