大駒を増やす大将棋の改善コンセプトに本来限界は無いのかもしれない。(長さん)
平安大将棋から普通唱導集の大将棋の時代へ向かう
大将棋の変化は”走り駒の割合を増やす、改善であり
進化と言える”と、以前私は私見を述べた。仮に私の
考えが正しく、普通唱導集時代の、定番定跡の発生を
たとえば”方行”を加える等により、乗り越えていた
としたら、更にその、走り駒等の大駒の割合増加と言
う、改良路線を堅持する事によって、性能の良い「架
空の大将棋」が生まれる可能性は、はたしてあったの
かどうかについて、ここでは更に考えてみたい。
すなわち、本質的に玉と兵以外が、八方桂馬よりも
強い大駒ばかりの大将棋を、西洋チェスのように、作
っていたなら、現代でも生き残れるゲームに、なり得
るのかと言う問いである。以下も私見であるが、結論
を言うと、
チェスのキャッチアップだけでは、ある要素が不足と
私は見る。
なお、ここで仮想の大駒ばかりのゲームというのは、
私の前回提案した、方行入り104枚制普通唱導集
改良型大将棋では、酔象、猛虎、金将、銀将、銅将、
鉄将、桂馬、香車は、初期配列時にはそうであるに
しても、敵陣に入るだけでなくて、摩訶大大将棋のよ
うに、相手駒を取るだけでもチェスの女王、奔虎、
奔金、奔銀、奔銅、奔鉄、前升目に角鷹の動きをする
(改善)横兵、白駒に成れる等、成りと、その条件は
適宜調整することにして、結局、
中盤を過ぎると、玉将以外の小駒が、歩兵と仲人を
除いて、事実上存在しないような将棋にする事である。
なおこの将棋を、以下「駒104枚制現代大将棋
試作1」とでも呼ぶことにする。
この13×13升目制の、駒104枚制現代大将棋
試作1の欠点は、相手により、中盤以降、中央列から
縦走り駒の集中攻撃を受けるような将棋ばかりが、
定番で、指されるようになると見られる点である。
なぜなら、駒数の少ないチェスと違って、玉に直接
縦に走り駒で狙うという「玉筋にトンネルを掘って玉
を討つ」という攻め形が、駒数の増加によって、より
くっきり見えるようになってしまう。つまり袖の駒を
余り動かさないうちに、勝負が付く傾向が強くなる
という、
駒の動きの面白い、チェスとは違う結果になってしま
うと思われる、からである。
そもそも、将棋が駒枯れを競い合うゲームなら、チェ
スと駒104枚制現代大将棋試作1とは、根本的に類
似のゲームになるのではと私は思う。しかし、どちら
も”王様を詰ます”を勝ち負けの条件にして、勝負に、
一ひねりを加えている、将棋ゲームの類のため、列8
升目のチェスの場合には、それが面白い結果を生むに
もかかわらず、列13升目へ増加した大将棋の場合に
は、中央筋だけの、撃ち合いになるように見えるとい
う、ネガティブな結果に、なってしまうと考えられる
のである。
実はこの問題は、玉将を初期に横方向に、移動しや
すいように、
1段目と2段目の駒について、
①駒の配列を変えて、25%程度の割合で空隙を作る
②玉が移動できるように、これらの駒は、横方向の動
きが存在する駒を、出来る限り多数派にする、
という①と②両方を施すという、”新たな要素”の
追加が必須で、たぶんそれで解決すると、私は考える。
具体的にはたとえば、
①は、最下段から、鉄将を取り除き、玉将の横列には
空き升目を、左右に1升目程度づつ、新たに作らなけ
ればならないと考える。なお2列目には猛虎と角行の
間に空き升目が、このケースについては元から有る。
②は、銀将、銅将、桂馬、香車に、左右
隣接する升目にも移動できるように、動きを改善する
か、別の駒種に取り替えるかした方が良いと思う。
また、麒麟、猛虎、も横の隣接升目にも動けるように
同様に動きを改善した方が良いだろう。更に角行も、
横に動けた方が、本当は良いかもしれない。なお、
実際に駒を並べてやってみると、銅将を平安大将棋の
縦横一升目のままにする事と、猛虎を中将棋等の盲虎
の動きに変える、以上2点については必須と見られる。
逆に、銀将の動きを、21世紀になってから突然変え
るというのは、歴史的な習慣から見て、かなり困難か
もしれない。
以上①と②の変更は、ようするに玉将が、中盤の時点
で、相手の攻め方によって、中央から、どちらかの袖
に、駒がたてこんでいる時点で、より速く逃げやすく
する為の変更である。
たとえば上の①、②のようにすると、
仮称駒100枚制現代大将棋試作2は、同駒104枚制現
代大将棋試作1の中央直線攻撃の定番定跡化の問題
を、一応解決するのではないかと、私は予想する。さて、
以上の思考実験をしたのちに、歴史的な駒数多数の将
棋を再度眺めてみると、玉将を中盤横に逃がすよう
な工夫、例えば玉段とその上の段に、隙間を作ってい
る将棋等は、日本の現実の将棋種には見当たらない。
それ以前に、そもそも歩兵・玉以外の大駒100%化
を、チェスへの進化の手法の拡張として、目指したよ
うに見える形跡の有る将棋種も、駒の初期配列形や、
動かし方ルールを見た限り、多いとは言えない。若干
疑われるのは、法性や教王に関する特殊な成り規則が
あり、かつ成りに奔駒の多い、摩訶大大将棋位である。
よって、わが国に於いては、中将棋の出現によって、
棋士が室町時代の初期に、それに一極化した疑いがあ
ると思う。そして逆に、中将棋、小将棋以外の、実
戦的な第3極目の将棋種の、真剣な作成が目指される
流れが、少なくとも主流として、本当に有ったかの
かどうか、なおも議論が必要なのが現状と、見るべき
ではないかと私は疑う。すなわち、
130枚15×15升目制の後期大将棋も含めて、
安土桃山時代までに生き残った多くの、駒数多数の
将棋種は所詮、中将棋有っての亜流物に、その時代
までには、少なくとも、落ちぶれてしまっていたの
ではないかと、個人的には疑っているという事であ
る。(2016/12/07)
大将棋の変化は”走り駒の割合を増やす、改善であり
進化と言える”と、以前私は私見を述べた。仮に私の
考えが正しく、普通唱導集時代の、定番定跡の発生を
たとえば”方行”を加える等により、乗り越えていた
としたら、更にその、走り駒等の大駒の割合増加と言
う、改良路線を堅持する事によって、性能の良い「架
空の大将棋」が生まれる可能性は、はたしてあったの
かどうかについて、ここでは更に考えてみたい。
すなわち、本質的に玉と兵以外が、八方桂馬よりも
強い大駒ばかりの大将棋を、西洋チェスのように、作
っていたなら、現代でも生き残れるゲームに、なり得
るのかと言う問いである。以下も私見であるが、結論
を言うと、
チェスのキャッチアップだけでは、ある要素が不足と
私は見る。
なお、ここで仮想の大駒ばかりのゲームというのは、
私の前回提案した、方行入り104枚制普通唱導集
改良型大将棋では、酔象、猛虎、金将、銀将、銅将、
鉄将、桂馬、香車は、初期配列時にはそうであるに
しても、敵陣に入るだけでなくて、摩訶大大将棋のよ
うに、相手駒を取るだけでもチェスの女王、奔虎、
奔金、奔銀、奔銅、奔鉄、前升目に角鷹の動きをする
(改善)横兵、白駒に成れる等、成りと、その条件は
適宜調整することにして、結局、
中盤を過ぎると、玉将以外の小駒が、歩兵と仲人を
除いて、事実上存在しないような将棋にする事である。
なおこの将棋を、以下「駒104枚制現代大将棋
試作1」とでも呼ぶことにする。
この13×13升目制の、駒104枚制現代大将棋
試作1の欠点は、相手により、中盤以降、中央列から
縦走り駒の集中攻撃を受けるような将棋ばかりが、
定番で、指されるようになると見られる点である。
なぜなら、駒数の少ないチェスと違って、玉に直接
縦に走り駒で狙うという「玉筋にトンネルを掘って玉
を討つ」という攻め形が、駒数の増加によって、より
くっきり見えるようになってしまう。つまり袖の駒を
余り動かさないうちに、勝負が付く傾向が強くなる
という、
駒の動きの面白い、チェスとは違う結果になってしま
うと思われる、からである。
そもそも、将棋が駒枯れを競い合うゲームなら、チェ
スと駒104枚制現代大将棋試作1とは、根本的に類
似のゲームになるのではと私は思う。しかし、どちら
も”王様を詰ます”を勝ち負けの条件にして、勝負に、
一ひねりを加えている、将棋ゲームの類のため、列8
升目のチェスの場合には、それが面白い結果を生むに
もかかわらず、列13升目へ増加した大将棋の場合に
は、中央筋だけの、撃ち合いになるように見えるとい
う、ネガティブな結果に、なってしまうと考えられる
のである。
実はこの問題は、玉将を初期に横方向に、移動しや
すいように、
1段目と2段目の駒について、
①駒の配列を変えて、25%程度の割合で空隙を作る
②玉が移動できるように、これらの駒は、横方向の動
きが存在する駒を、出来る限り多数派にする、
という①と②両方を施すという、”新たな要素”の
追加が必須で、たぶんそれで解決すると、私は考える。
具体的にはたとえば、
①は、最下段から、鉄将を取り除き、玉将の横列には
空き升目を、左右に1升目程度づつ、新たに作らなけ
ればならないと考える。なお2列目には猛虎と角行の
間に空き升目が、このケースについては元から有る。
②は、銀将、銅将、桂馬、香車に、左右
隣接する升目にも移動できるように、動きを改善する
か、別の駒種に取り替えるかした方が良いと思う。
また、麒麟、猛虎、も横の隣接升目にも動けるように
同様に動きを改善した方が良いだろう。更に角行も、
横に動けた方が、本当は良いかもしれない。なお、
実際に駒を並べてやってみると、銅将を平安大将棋の
縦横一升目のままにする事と、猛虎を中将棋等の盲虎
の動きに変える、以上2点については必須と見られる。
逆に、銀将の動きを、21世紀になってから突然変え
るというのは、歴史的な習慣から見て、かなり困難か
もしれない。
以上①と②の変更は、ようするに玉将が、中盤の時点
で、相手の攻め方によって、中央から、どちらかの袖
に、駒がたてこんでいる時点で、より速く逃げやすく
する為の変更である。
たとえば上の①、②のようにすると、
仮称駒100枚制現代大将棋試作2は、同駒104枚制現
代大将棋試作1の中央直線攻撃の定番定跡化の問題
を、一応解決するのではないかと、私は予想する。さて、
以上の思考実験をしたのちに、歴史的な駒数多数の将
棋を再度眺めてみると、玉将を中盤横に逃がすよう
な工夫、例えば玉段とその上の段に、隙間を作ってい
る将棋等は、日本の現実の将棋種には見当たらない。
それ以前に、そもそも歩兵・玉以外の大駒100%化
を、チェスへの進化の手法の拡張として、目指したよ
うに見える形跡の有る将棋種も、駒の初期配列形や、
動かし方ルールを見た限り、多いとは言えない。若干
疑われるのは、法性や教王に関する特殊な成り規則が
あり、かつ成りに奔駒の多い、摩訶大大将棋位である。
よって、わが国に於いては、中将棋の出現によって、
棋士が室町時代の初期に、それに一極化した疑いがあ
ると思う。そして逆に、中将棋、小将棋以外の、実
戦的な第3極目の将棋種の、真剣な作成が目指される
流れが、少なくとも主流として、本当に有ったかの
かどうか、なおも議論が必要なのが現状と、見るべき
ではないかと私は疑う。すなわち、
130枚15×15升目制の後期大将棋も含めて、
安土桃山時代までに生き残った多くの、駒数多数の
将棋種は所詮、中将棋有っての亜流物に、その時代
までには、少なくとも、落ちぶれてしまっていたの
ではないかと、個人的には疑っているという事であ
る。(2016/12/07)
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