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12×12升目型の日本将棋の試作(長さん)

 3回前の13×13升目100枚制現代大将棋試作2を、
13×13升目104枚制現代大将棋試作1から改善する
所で述べたが、西洋チェス流の玉と歩兵以外を大駒にして
ゲームを改善する方式は、玉の序盤からの逃げ道を作成す
る、という改善が、更に必要なことさえ知っていれば、8
×8以上のどんな升目のゲームでも、ゲーム作成のコツが
多少判れば、誰にでも面白く作る事が出来るという、性質
を持っている。ところが、ゲームとして成功した別の方向、
すなわち”持ち駒ルール”を持つ事によって改善した、
日本将棋のような改善方法は、盤升目が概ね10×10升
目までが限度で、それ以上の多升目になると、「見てくれ」
の問題が出てくると考えられる。すなわち、
日本将棋流の持ち駒ルール付与の方法、すなわち

”持ち駒ルール導入手法”では、どのような将棋でも対局
中、中盤以降まで進んだ”局面を、見栄え良くするように
作り出せる”という訳ではない

と考えられる。上の事は、
升目の数が、偶数か奇数かは余り関係が無いと、私には
思える。そこで前回の所で話に出てきた、中将棋の12×
12升目盤を用いて、話を判りやすくするため、日本将棋
に使用する駒だけを用いて、日本将棋型の持ち駒ゲーム、
12×12升目56枚制新日本将棋試作1を作成し、この
点を確認してみたので、以下に紹介しよう。駒は日本将棋
の駒だけなので、動かし方や成り駒が何なのか、成り駒の
動かし方はどうなのか、以上の説明は不要だろう。そこで、
以下には、まず初期配列を示す。相手側の配列を見た向き
で、以下書くと、

①段目は香、桂、銀、金、銀、金、玉、銀、金、銀、桂、香
②段目は空、飛、空、空、空、空、空、空、空、空、桂、空
③段目は空、空、飛、空、空、空、空、空、空、角、空、空
④段目は歩、歩、歩、歩、歩、歩、歩、歩、歩、歩、歩、歩

とする。自陣が日本将棋では3段目以降であるが、この
将棋では4段目以降に変わる。他のルールは日本将棋と
同じだし、成りも同じである。従って12升目と9升目と
で違うが、残りは日本将棋と同じであり、これ以上のこの
ゲームに関する説明は、たぶん不要なのではないかと思う。
実際にプレーしてみると、この将棋は面白いが、

角替わりをさせてしまうとそれ以降は、いきなり終盤になり、
歩兵や桂馬がほとんど、動かないで終わるゲームが多い、

という結果になる。
実は、この試作を作る前に、
②段目を空、空、桂、空、空、空、空、空、空、空、角、空
と変えて、飛車1角2にしたゲームもしてみたのであるが、
上記の試作より、いっそう駒余り感が強かった。

元々日本将棋でも序中盤すぐに、角は攻撃駒となりやすく、
活躍するのであるが、この将棋では角が動くと、それだけ
で、潤沢な持ち駒が出来、その攻防で双方に
必要以上に”持ち駒”が出来ると、中盤を飛び越して、
12升目将棋では、いっきに、いきなり詰め合いの局面
へ移行してしまうのである。そこで角を2枚から1枚に減
らし、その傾向を低下させようとして、冒頭の配列にした。
それでも、角が存在すると、その傾向は消えず、飛車が2
枚に増えたので、守り駒として飛車が加わる事による(!)
寄せの為の手数が、少し増加し、終盤が長手数になった点
が、幾らか変化しただけであった。
 当然だが、極端な角替わり急戦将棋のため、歩兵が5段
目以上に上がっている列は、少ないし、玉が逃げた側とは
逆側の袖の駒は、初期配列のまま取り残されて、「局所戦
のまま終局」のイメージが強かった。駒の打ち合いという
意味での持ち駒将棋は、指している棋士からは、それなり
に面白そうでは有ったが、陣形を見ている観客からみると、
妙に中段や袖が、そのままの形で、ゲームが進んでいるよ
うに、見え不自然間はぬぐえなかった。
 以上のように、以前から予想していた「持ち駒ルールの
将棋では、11×11升目以上では”見栄えのする”新し
いゲームができない」という説は、12×12升目盤で、
実際にざっとゲームを試作してみても、正しいのではない
かと、私には今回も、確認できたように思われた。

 なおこの実験に使用するための、駒数多数将棋用の将棋
盤は、見栄えさえ気にしなければ、自作調達が、さほど難
しい訳では無い。だが、上記のようなテストを、私のよう
に手軽に、例えば子供が遊びながらするには、身近に、
中将棋用の将棋盤が販売されていて、潤沢にそれが揃って
いたほうが、便利なことだけは確かだと思う。

 大は小を兼ねるで、中将棋の将棋盤には、以上のように、
けっこう使い道が私には有るのだが、12×12升目盤が、
中将棋の関東に於ける衰退と共に、都内から消えつつある
というのは、誠に残念なことだと考える。(2016/12/13)

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