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「大将棋」とは結局何だったのか(長さん)

 前回までの所では、大将棋の進化を、概ねチェス的な改良
と説明してきた。たが、平安大将棋から普通唱導集時代の
大将棋までの、恐らく強い駒の付加は、チェスとは違い、
侍従駒である、金将、銀将、銅将を、温存させたままのもの
であった。この点で、侍従駒である副官を女王に、象を僧侶
に変えたチェスの改善と、方向性が元々異なっている。ただ
し、割合として、侍従駒を少なくしようとしたという点では、
チャトランガからチェスまでの進化と、平安大将棋から普通
唱導集の大将棋までの進化とは、恐らく共通である。従って

 大将棋では、元々10×10升目以下の将棋への進化を、
チェスとは違って全く目指していなかった、

とは、はっきりと言える。また、水無瀬兼成の将棋部類抄の
後期大将棋を見る限り、たとえば終盤で侍従駒を成らせ、
先手と後手が、形勢イーブンで侍従駒だけが残っても、局面
をダレさせないような、工夫も、特にした形跡は無い。

大将棋は、基本的に成りの調整で、ゲームを改良する所まで
進化する以前に、滅んでしまった未完のゲーム類である

とも、恐らく結論できるのではないかと私は思う。従って、
大将棋を変形して、初期配列を変えたり、駒数を増やしたり、
場合によっては減らしたりするのは、その時点で、大将棋
を継承している、とは言えるものの、

成り駒を増やすとか、成りの規則に敵陣入り成り以外を導入
するとかいうのは、古典的な大将棋の改善方式から、はみ
出した、新たな要素の付け加えに、違いないと私は思う。

つまり大将棋は、シャンチーのように駒の裏に、文字が書け
ても、実際にはそれをしなかったゲームであり、本来不成り
か、良くて金成りだけの将棋なのであろう。
ただし、チェス型ゲームでは40×40升目付近に「升目二
桁以上の数の動きルールを持つ駒が、合禁判断の人間の視覚
処理能力から来る、し辛さ」から作成できないために、棋譜
の形が、不自然になってしまうという難点がある。つまり前
回のべたように、中間領域に中盤の局面で、大きな空隙がで
きるという問題が発生する。その回避のためには、チェスで
も盤升目を拡張すると、恐らく成り駒と特殊な、サッカーの
”肯定的逆オフサイド則”のような成り条件則を、系統的に、
導入しなければならないため、升目を極端に巨大化させよう
とすると結局、チェスと大将棋の改善の道筋は、合流してし
まう、可能性が強いという事なのである。
 いずれにしても日本の大将棋は、ゲーム改善の仕方から見
たゲーム分類として、中国シャンチーよりもチェスに近いだ
けでなく、日本将棋や、日本の中将棋よりも、実は本質的に
チェスの方に、本来近かった可能性が、かなり強いように、
私には思えるのである。(2016/12/24)
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