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玉将のトライルールの有る駒数多数将棋(長さん)

 前回、コンピュータ将棋ソフトの苦手な将棋ルー
ルについてのべ、具体的に日本将棋の入玉による、
引き分け、勝ち負け判断ルールや、どうぶつ将棋の
トライルールが、ソフトには、局面の形勢判断が
複雑になるため、苦手なのではないかと、述べた。
そして、これらの将棋ルールは、小将棋の系統では
なくて、駒数の多い、大将棋系統のゲームにも、
適宜取り入れる事が可能であろうと記した。
 そこで今回は、具体的に、トライルールを、駒数
多数の日本の古い時代の将棋に、取り入れてテスト
してみたので、結果を報告する。
 具体的なゲームとしては、大大将棋とし、取り入
れたのはトライルール、具体的な付加したルールは、

17行有る、大大将棋で、一方の玉将が、中央行の
段、すなわち、9段目に達して、その時点でその玉
将に王手が掛かっていなければ、その玉側の勝ち

という、どうぶつしょうぎ型のトライルールを、導
入してみた。なお、その他のルールは、オーストラ
リア人、スティーブ=エバンスが作成した、駒数多
数将棋のソフト「将棋類」のルールにより、テストも
コンピュータAIと私が対局して、調整してみた。尚
このソフトのルールでは、概ねwikipediaに近い、
駒の動かし方や、成り条件が採用されている。すな
わち、大大将棋には敵陣・味方陣の区別は無く、相
手駒を取った時に、成れる駒が成るというルールで
ある。もちろん、持ち駒ルールは無い。
 特にゲームに大きく左右する部分としては、毒蛇
と東夷の動かし方のルールがある。毒蛇は相手駒を
取ると「鉤行」という、勝敗に作用しやすい、極め
て強い駒に成る。なお、鉤行は、最初からある分も
含めて、「飛車2回の動きだが、L字ターンは出来
るが、Uターンが出来ないため、元の位置には戻っ
てこれない。駒を取ったら、それ以遠へは行けない」
というルールを、使用したソフトでは、採用してい
る。
 なお、この大大将棋でも、元もとの鉤行は不成り
である。
 また、元もとの毒蛇自体の動きは、諸説あるが、
この将棋ソフトでは、「前と斜め後ろの合計3方向
に、2升目先に跳び、または、横の隣接合計2升目
へ、一歩歩む」である。どっちもどっちだろうが、
「古鵄系統の動き」では、たまたまない。
 次に獅子に成る東夷は、この将棋では「前後に、
2升目走りの金将」になっていて、斜め前や左にも
1歩進める。つまり「東夷の弱体化」ルールは、
採用されていない。
 なお、玉将トライルールの有る大大将棋では、毒
蛇や東夷を成らせる事よりも、玉将を上段に上げる
事がより、優先されらせるので、これらの駒が成る
機会は、やってみると普段より、割と少なくなった。
 実際にゲームをしてみると、図で終局になるよう
な将棋が指せた。図は487手目で、先手の玉将が
9段目、11九の位置に上がり、先手(人間側)の
トライ勝ちになっている。むろん、このソフトには
「トライで勝ちになる」という認識が無いので、
局面の形勢判断がでたらめになり、人間が楽に
勝てる。
大大将棋.gif
 実は、このトライの段数については、最初は敵陣
の6段目等を考えていた。しかし、実際にやってみ
ると、大大将棋では、障害物として作用する小駒が
多く、大走り駒が、中盤の後期まで残って、その時
点で、駒枯れにはならずに盤中央に繰り出してくる
ケースが結構多いため、玉将は、高い段へ、むやみ
に繰り出す将棋は、結構しんどい事が判った。
何回か、ゲームを繰り返してみると、

中央段に一方の玉将が、仁王立ちした時点で、勝敗
をつけるのが、大大将棋では、普通の玉将詰みと、
ちょうど同じくらいの難易度になり、それ以上奥を、
勝ちを決めるトライ地点にしてしまうと、普通に、
玉詰みを狙う将棋だけになるだろうと、いう結果に
なった。

実際、例示した局面から、止めないでゲームを続け
ると、次に後手側から△9七(g)鳩槃と先手延び
出しの玉に王手が掛かり、これ以上、上部に先手玉
が進むのは、かなり大変そうである事が判る。
 ところで、そもそもゲーム種を大大将棋に選んだ
のは、所期の駒の配列で、銅将等の小駒が、上段に
置かれており、ここへ玉将を、近王、左右将、金将
等の囲いから、いったん抜け出させて、上段へ進め
る将棋が指しやすいためである。たとえば、トライ
将棋を同じソフトで、後期大将棋でもやってみたが、
走り駒がほぼ枯渇した時点から、トライ将棋へ移行
するのが、余りに、はっきりしすぎていて、トライ
ルールを持つ後期大将棋を、コンピュータが、苦手
とするようには、私には到底思えなかった為、テス
トを途中で断念した。
 それに対して大大将棋には、前列小駒と走り駒の
残数や活動度、位置が奥まっているかどうか等の、
バランスにより、玉将を移動し始めるか、どうかを
決める、という形になるため、トライルールを、
適用するようにして、勝ちパターンへ持ってゆくに
は、独特の、コンピュータに真似できるかどうか謎
の、言葉で表現しにくい勘所が有るようだった。そ
のため、この将棋のトライルール化は、コンピュー
タが比較的苦手のゲームとしては、一応有望なよう
に、私には思えた。なお、トライルール将棋は、
勝負を中途で止めてしまう破壊ゲームのため、詰み
将棋の力が、余り役立たないという問題は残るが、
侍従小駒余りの問題は、この方法でも回避はされて
いる。
むろん大大将棋の将駒の独特な初期配列は、もとも
と、トライルールがあったためとは、到底考えられ
ないが。今の所、中段に玉将の陣地を作りやすく、
そもそも、どういうわけか、ルールを複雑化させる
「太子」に成る酔象が欠けた、大大将棋では、
トライルール有りの将棋を比較的楽に、作れそうな、
昔の日本の将棋種の一例になっては、いるように、
私には思えた。(2016/12/29)

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