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「中将棋の記録(一)」岡野伸著の中将棋初出記録(長さん)

 もう13年前の事になるが、「世界の将棋」の著者の一人として
知られる、神奈川県の岡野伸先生より、表題の成書を直接、譲って
いただいた事が有る。最近、この本を見直して、気がついたのだが、
中将棋の初出文献とされる、南北朝時代の遊学往来の記録は、遊学
往来そのものの記載ではなくて、それを書写したという、近世製作
の「尊円流庭訓続遊学往来」の記録が根拠との事らしい。

つまり初出文献として、内容に信頼性が、充分にあるという記録で
は無いと、少なくとも岡野伸さんが指摘している。

なお、岡野さんのこの著書では2番手は、西暦1424年の花営三
代記の「奔王出す」と記載されている、有名な一文の文書、となっ
ている。現在では以前と異なり、西暦1300年前後とみられる、
普通唱導集の、大将棋の記載に注目されており、ここで記載された
”一定の定跡を持ってしまっている”大将棋が、1350年頃まで
続いて、そこで定説のように中将棋に取って代わられたのか、ある
いは、1400年まで続いて、南北朝時代が終わって、”楽しみで
将棋を指す15世紀に入った”後に、中将棋が発生したのかは、以
前より増して、どちらかでかあるかが、シビヤで重大な、問題にな
っていると、私は思う。

 よって、この50年余りの、ナンバーワンの文献が、書写本であ
る事から起因する、中将棋発明時期に関する不確定性は、2010
年代の将棋史に、興味を持つ者としては、かなり痛い点だと感じら
れる。

あくまで私見だが。通説の「中将棋・南北朝時代発生」説は、普通
唱導集の記載からしても、大将棋の何らかの手直しを、南北朝時代
には誘発したであろうから、この書写という「大将棋と中将棋は賭
博の道具」で、小将棋にはその賭博性について、なぜか言及が無い
点が謎の、遊学往来写しは、正しい伝承だと、今の所、私は信じた
い所である。しかしできうれば、「遊学往来」の、より原典に近い
ものが、今後発掘されるとかして、更に証拠が強められることを、
私としてはただただ、期待するしか無い。もどかしい所だと正直感
じる。(2017/02/24)

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