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将棋駒の漂流物(長さん)

 海岸に打ち上げられた、ゴミのコレクターが書いた本が、何冊か
出版されており、最近その中に、将棋駒に言及したものが無いかど
うか、調査してみた事が有る。将棋史の研究で特徴的な点は、「何
処で誰」という情報が、

道具がワンセット揃っていさえすれば、さほど重要ではない

という点があげられる。たとえば大将棋に関して、今最も知りたい
点は、

平安大将棋、後期大将棋という、形容詞は遊戯史研究家が、勝手に
付けたに過ぎない、大将棋と称される将棋種が、まぎらわしさにも
係わらず、複数有るのは何故なのか

であるが、証拠が鎌倉時代以降の遺跡なら、何時の、何処で出ても
特に価値に差が無いのである。つまり、

極端な話、どこから来たのか、誰のものかもわからなくても、価値
は、ほとんど同じ

である。どうしてかというと、以上の謎の回答を知っている人間の
使った証拠品が、出土しさえすれば、その人間が鎌倉時代から今ま
での、何時の時代の、何者でも特にかまわないからである。ただし、

だから逆に言うと、その遺物が、どんなルールのゲームなのかが、
出土物だけから判る事の方が、出所よりよほど重要

である。この点で使った人物や、場所、時代背景を重視する、通常
の考古学と遊戯史とには、大きく異る問題意識があるように、私に
は思える。
 そこで、遺物でも漂流物の遺物の場合、出所がわからなければ、
史料としての価値はほとんど無いと見て、通常考古学では、そう
した”獲物”を狙わないのであるが、将棋史については、そうした
遺物も内容によって、大変重要になる可能性がある、という所が、
大きく違うところである。
 ただし、洋上・船舶で余興で指されるゲームは、大荷物が嫌われ
るため、えてして大将棋よりは小将棋の遺物が発見される、偏りが
出るだろうとは懸念される。
 以上の予備知識をもって、漂流物マニア本で、私も探してみると、

江戸時代の難破船とみられる、荷物入れの中に将棋の駒が有るのが、
福岡県の確か、宗像市で発見された例がある

そうである。残念ながら「将棋駒」と無造作に書いてあるので、遊
戯史的には、情報の乏しい文献である。無造作な書き方なのだから、
時代も、1769年ころ沈んだ船のようなので、日本将棋の駒だろ
うと、私などは、勝手に想像するしかない状況である。誰に言った
らよいのか、編集した書籍の性質上、余りはっきりしないのだが、
残念な事だと思う。もしかすると、成書を書くほどだから、この業
界では権威者で、時代考証をされている位なので、通常の考古学に
も心得のある方が、監修されているのかもしれない。たまたま、共
出土した別の物品に、主な興味が行っていて、将棋は軽かったのか
もしれない。が、名も無い漂流物マニアの方が、画像で、チャンギ
の駒をブログで紹介していて、駒の種類や形のわかる記事を見ると、
その、名も無い方の情報の方が、場合によってはずっと、価値が高
いと私は感じる。なお、

文献を探したところでは、漂流物の中に将棋道具が有ったと、称す
るのは、今の所その一件だけのようである。

水中にあれば木片も腐らないだろうから、稀ではあろうが、このよ
うな方法で、将棋史を組み立てるのに重要な史料が、川から流れ出
て、海岸に打ち寄せ、将来発見される可能性も、全くゼロではない
ように、調査してみて私には思えた。(2017/03/03)

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