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鎌倉時代の関東の御家人クラスの武士に、将棋を楽しむ習慣は無い(長さん)

日本遊戯史学界会長の増川宏一氏の成書に、日本遊戯思想史(2014)
平凡社という書籍がある。増川宏一著書と言えば、将棋史が著名なため、
後者がよく読まれる。しかし、将棋史本には、遊戯全体に対する、将棋
の流行の程度の記載は少ない。そこで、遊戯全体の中で、将棋がどの程度
流行っていたかを知るため、最近、冒頭の成書を読んでみた。その結果、
表題に書いたように、

鎌倉時代の関東の御家人クラスは、将棋および囲碁の、遊戯全体に対する
遊び心のウエイトが、日記や公記録からみて、京都の公家や僧侶に比べる
と低い

との旨の記載が、目に付いた。なお15世紀になり、花営三代記以降は、
上記の傾向は無くなる。ちなみに吾妻鏡には、西暦1248年に北条時頼、
長井泰秀、宇都宮泰綱、二階堂行義が、囲碁を指した記録程度しか、無い
そうである。理由は増川氏によると、ようするに武家は、文化部系という
よりも、体育会系であるという事だ。それはともかく、事実は事実である。
 そうしてみると、平泉で両面飛龍の将棋の駒が出土したり、鎌倉の
鶴岡八幡宮などで、裏面奔王鳳凰が出土したり、栃木県小山市神鳥谷曲輪
で、裏一文字金角行駒が出土したりする事と、具体的な遊戯として、これ
らの道具で遊ばれる頻度とは、鎌倉時代の武家層に関しては、余り整合性
が無いという事になる。つまり、執権北条氏、奥州藤原氏、下野小山氏は、
出土した将棋駒で、楽しんだようだという気配が、少ないという事である。
よってこれは、鎌倉時代・南北朝時代に関しては、

そのような将棋具を保持するに、相応しい氏素性の武家として、家宝とし
て将棋具を所持したという事実を、上記三例は全体としては示唆している

のかもしれない。特に、藤原氏の流れのイメージの強い、奥州藤原氏の
本拠地、平泉の出土駒や、鎌倉将軍が存在した、鶴岡八幡宮の出土駒とは
異なり、

地方有力武家の一族でしかない、小山氏の居住区から出た、神鳥谷曲輪駒
には、実際に興じる目的で、小山義政等が、摩訶大大将棋の駒を連想させ
る将棋駒を、14世紀の後半に保持した可能性は、少ないようだ

と、増川氏の前記成書を読んで、私は今までよりも強く、イメージするよ
うになった。小山氏の場合、南北朝時代の初期に、小山義政より2代前の
当主の小山朝氏が、京都の南朝方で独自の動きを示していた、近衛経忠に
傾倒して、藤原一族の武家で、作ろうと目論まれた武力集団、藤氏一揆に
組しようとしている時代があった。当然その時点で、小山朝氏は京都との
繋がりが深く、京都の藤原氏系末裔の、有力公家で五摂家の者とみられる
近衛経忠等より、

有力藤原系の東国武家の印として、儀礼的に小山朝氏が、大将棋系の盤駒
を西暦1330~40年代に、贈答されたとしても、余り不思議は無い

のかもしれない。それが2代後の、西暦1380年代の小山義政の時代に
も、小山城ないし龍ヶ岡城等に、家宝として存在していたのだろう。そし
て、小山義政の乱の際、足利氏満配下の武家の目に、将棋具がたまたま
止まった。更に西暦1381年に、出家後の小山永賢による、その将棋具
の由緒に関する、説明も得られた。結果その伝承が何らかの形で、小山市
神鳥駒を生み出す、原因となったのかもしれない。
 以上のような経緯だろうと、私は今まで以上に、確信するようになった
のである。(2017/12/29)

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df233285

また、システム故障でしょうか(長さん)

この記事、アップロードしても、メインページで消えますね。
so-netのブログ。また調子悪いんでしょうか?
by df233285 (2017-12-29 07:27) 

middrinn

メインページとは、ブログ名をクリックして出るページですよね?
この最新記事もちゃんと出ますし、最新記事だけも出ますよ(^^)
by middrinn (2017-12-29 07:58) 

df233285

私のpcだけ自分の記事が、標示されませんね(長さん)

middrinnさん。さっそくのコメントどうもありがとうございます。
私がクリックすると、自分の最新ページ、消えるんですよ。
どうなってるんでしょ。
ちなみに、管理ページで、middrinnさんの分のアクセス
カウンタが、+1と動作してません。コメントが+1には
なってるんですが。やっぱりso-netブログ、何か変なのでは?
by df233285 (2017-12-29 08:04) 

df233285

あっ。ようやく出るようになりました(長さん)

昔の蛍光灯でしたね。
by df233285 (2017-12-29 08:06) 

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