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日本の将棋の立体駒。中国シャンチー型交点置きで配置される可能性(長さん)

さいきん大阪電気通信大学の、高見友幸研究室の摩訶大将棋の
ブログでは”摩訶大将棋等、日本の駒数多数将棋が、囲碁型の
盤に、交点置きして、配列される可能性があるのではないか”
と論じられている。
 本ブログでは、書き駒のケースについては、五角形駒を前提
として論じる立場なため、交点置きのルールとは整合しない。
上記摩訶大将棋のブログでも、交点置きのケースは”彫り駒”
すなわち彫ったか、成形したかで、立体的に駒を作ったケース
のみを、考えているように今の所、私には見える。
 そこで今回は、後者のように、摩訶大将棋用の立体駒が
有ったして、それが、ドンピシャ囲碁盤型の交点置き駒として、
うまく使える可能性が、あるのかどうかを論題とする。
 結論から先に書く。

本ブログのように、将駒の色を、駒種の識別のためとしている
という議論を前提とした場合には、高見研究室の”駒交点置き
仮説”は、我々の考えと、すこぶる相性の悪い仮説である

と、本ブログでは考える。
 では、以上の結論につき、以下に、

何が言いたいのかについて、説明する。

 すなわち、以下の説明は、高見研究室の論の正否ではなくて、
本ブログの論と合わないというのは、どういう意味なのかにつ
いて、説明しているという事である。本ブログが、今までして
きた、前提条件を変えれば、高見研究室の日本の将棋の駒の交
点置き仮説の正否は、正にもなり得ると見られる。あらゆる場
合の議論は、非常に煩雑で、以下では説明しきれないので、そ
のような内容は、今の所書けないと言う事である。
 では以下に、そのような限定的な内容の説明を書く。
 本ブログの今までの論の流れでは、伝来時の立体駒では、
玉将、金将、銀将の駒種について、駒色が、ネフライト色、金
色、銀色という色で区別をするという仮説になっている。
だから、将駒について

色を敵味方の区別のためには使わないという前提が基本に有る。

だから、汎用西洋チェス駒のように、駒の前後の向きに加えて、
色を白と黒に色分けして、二重に、敵味方に関する駒の属性を、
表現する事はできないとみる。駒の形を工夫して、駒の顔と体
等が、どちらに向いているかで、敵味方を区別するだけである。
 なお、このやり方は、字書きの五角形駒と、原理的に同じな
ので、以下の議論は、五角形字駒にも実は、そっくり同じに適
用される。
 何れにしてもそのため、駒を上から見下ろしたときに、少な
くとも、例えば立体駒の日本将棋の将駒は、

前後非対称の図形になるというのが、本ブログでは前提

である。そのため本ブログの認識する日本将棋の立体駒の場合、

将棋盤の線に関して交点置きをしようとすると、駒の重心と、
位置を示す盤面交点とを結んだ直線が、碁盤状の将棋盤の盤の
平面に対して、行儀良く、ぴたりと垂直になるように置くよう
にするには、熟練と秒数がかかる

と予想される。もし、上から見下ろした将棋駒の形が、円や
偶数正多角形となる囲碁の碁石、シャンチー、チャンギの駒等
なら、駒の重心は図形から、容易にプレーヤーに判断できるの
で、行儀よく、駒を配列する事が簡単に出来る。が、図形が
前後非対称になると、五角形駒程度の、比較的簡単な図形の駒
であっても、駒の少し下部の、どのへんに将棋駒の重心点があ
り、盤の交点の真上に合わせる重心点は、どこなのかを把握す
るという事につき、

容易には判断できないのではないか

と思われると言う事である。ましてや、立体駒のように造形が
複雑になると、見積もりは更にめんどうだろう。

だからそのような立体駒を、交点置きにするのは不便であるか
ら、やらないのではないか

と、本ブログでは考えるという訳である。
 そこで、以上の一般論を前提として、問題の摩訶大将棋の、
駒の交点置きについて考えてみる。まず、通常のように五角形
駒を仮定した場合には、上で述べたように、重心決定困難の難
点が五角形駒でも出る。だから、五角形駒の交点置きは、少な
くとも無いだろう。そこで造形で駒種を表す、彫り駒・立体駒
のケースを、仮定的に想定してみる。
 ところで本ブログの見解では、摩訶大将棋の立体駒がある
とすれば、その玉将、金将、銀将、銅将、鉄将、瓦将、石将、
土将は、それぞれ敵味方同じ色のネフライトの白、金色、銀色、
銅色、鉄黒、陶器色、灰色、土の色で、やはり駒種を区別する
のに使用されざるを得ず、敵味方互いに同色となるとみる。
そこで、

本ブログのこれまでの議論に従うと、駒は前後が、絶対に形で
区別できなくてはならず、駒の重心の判別が難しいという、
以上の難点は、個別、摩訶大将棋でも、我々の仮説の立体駒で
は、日本将棋と同様に克服されない

とみる。
 よって、高見研究室の最近の仮説である、”摩訶大将棋の立
体駒、ないしは、五角形の書き駒は、囲碁盤のような将棋盤で、
交点置きだったかもしれない”という論は、

本ブログのこれまでの論の流れとは、すこぶる相性が良くない

と言う事になるのである。ちなみに、大大将棋の木将も茶色で
有る点を考慮すれば事情は同じ。その他の駒数多数将棋は概ね、
摩訶大大将棋の将駒の、一部のみを含むゲームなので、その他
の将棋についても、事情は同じである。
 以上で、今回の論題には答えたと判断するが、蛇足として、
この事は、前に話題にした、中国の怪奇小説、玄怪録岑順物語
に出てくる、

金銅製の立体駒の将棋

にも成り立つ点を指摘しておきたい。なぜなら、敵味方で本来
色分けは可能であったはずなのだが、かの怪奇小説ではなぜか、

物語中に現われた将棋駒は、敵味方を色で区別せずに、金銅色
のままであり、恐らく兵士の形に成形してあるのだろうが、
顔と体をどっちに向けているのかで、敵味方を区別していると
みられる

からである。つまり、(伝)牛僧儒と、玄怪録の読者の中国人
は、升置き型の象棋が、唐代にはイメージできたのである。
 次に、その小説の将棋の元ネタと、本ブログでは推定する、
宝応将棋の駒についても、

本ブログの見解によれば、王の駒と軍師の駒の交点置きは少な
くとも都合が悪い

とみる。なぜなら、本ブログによれば、王は金将という名称
(動きは玉将)であって、敵味方金色同色。軍師は銀将とい
う名称(動きは金将)であって、敵味方銀色同色である。従っ
て、この2枚は、敵味方を、置かれた向きだけで区別するはず
で、前後非対称な形に、上から覗いたときの形がなっていると
見るから、同じ難点が有るのである。
 以下、宝応将棋から、現代の日本将棋まで、日本の将棋の駒
は、立体駒の時代は、将駒について全部事情は同じ。五角形駒
になっても、前後非対称である点は同じであるから、

日本の将棋について、交点置きに適した将棋駒が現われるとい
うケースは、敢えて碁石のような駒に字を書いた、荻生徂徠の
広将棋と七国将棋以外に日本では、今まで現われた事が、余り
無いのではないか

と本ブログでは疑う。よって以上のように本ブログのこれまで
の見解を前提にすると、日本の将棋が、歴史の最初から今まで
一貫して、交点置きには、かなりなりにくい事だけは、恐らく
確かであろうと、結論するのである。(2018/09/06)

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