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増川宏一著「将棋Ⅰ」の”庭訓往来に小・中・大将棋記載”とは何者(長さん)

ここで述べる内容については、まだ正確には正体が判って居無い。
前に本ブログで、庭訓往来には将棋の項目が、発見されないとの旨
を書いた。しかし、思い出したのだが、表題の著書、増川宏一氏の
著書、には、西暦1386年頃作の庭訓往来に”将棋・中将棋・
大将棋に関する記載が書かれている”とされていたと思う。記載
されているのは調べなおした所、正確に言うと、

ものと人間の文化史23-1「将棋Ⅰ」の後期大将棋の説明部分

であった。だから”将棋の種類には、将棋・中将棋・大将棋がある
と庭訓往来に書かれている”との旨が、上記増川氏の著書、将棋Ⅰ
には、確かに記載されている。
 しかし、中将棋の南北朝期の文献は、岡野伸氏の自費出版著書
「中将棋の記録」等によると、

遊学往来だけ

のはずである。なお、岡野氏の上の著書には、遊学往来の正式名称
として、尊円流庭訓続遊学往来と記載されている。”・・・将棋・
・、賭博の種類として、・・大将棋、中将棋・・・がある”と書か
れた、有名な一文だ。

増川氏の将棋Ⅰの記載は今の所、この文献と錯誤している

と考えるしか無い状態である。なお、将棋Ⅰの文献集では、庭訓往
来は、石川松太郎校注の東洋文庫の”庭訓往来”(1973)と、
群書類従(1893年)の庭訓往来をリストしている。
 なお、増川氏の別の著書、将棋の歴史、平凡社、2013年では、
中将棋が発生した下りで、”異制庭訓往来に、大将棋、中将棋、
小将棋が記されている”との旨の記載がある。つまり庭訓往来が、
異制庭訓往来に、明らかに取り替えられており、

更におかしくなっているよう

だ。
異制庭訓往来に、将棋種の具体的名称が書かれているとの話は、私
は聞いた事が無い。
 ”将棋の歴史”の方は、明らかに間違いだろう。しかしそもそも、
”中将棋が庭訓往来に書いてある”という、同じく増川氏の将棋Ⅰ
の話自体が、”中将棋が遊学往来で初出する”という正しい話の、
そもそも間違いである可能性が、かなり高いと私は思う。
 その後、群書類従(正・続)を調べた限り、中将棋が出てくるの
は、遊学往来(”続庭訓往来”と群書類従には副題がある)であり、
他方”360の一年の月日将棋”の方は、やはり異制庭訓往来の、
しょっぱな1月6日の所に有った。可能なら更に、古文書を当たっ
てみるつもりであるが、増川氏の流儀は無視して、群書類従の古文
書の書名が間違えにくいので、それで、統一表記すべきであろう。
(2018/09/12)

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