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京都の安井金比羅宮は、東山区の観勝寺と左京区の観勝寺を吸収(長さん)

西暦1300年頃の大将棋を記載する、普通唱導集の編者良季は、
京都市の東山区に在り、後に安井金比羅宮となった、真言密教の
寺院、光明院観勝寺の住僧だったとの情報が、webに有る。
 崇徳上皇を祭った寺であり、その御前で藤原頼長が大将棋を
指した事で知られるため、少なくとも本ブログでは、良季が、
普通唱導集に、小将棋だけでなく、大将棋の唱導をも載せる、動
機になったのだろうとみなした。
 ところで、良季の時代は、モンゴル帝国の伸張と、日本への
来襲で有名な、鎌倉時代中・後期であり、龍神や釈迦を日本の守
護神や守護者と見なして、祈祷をした事に習って、平安大将棋の、
従来の空き升目等に、龍王、龍馬、成太子酔象を導入する、動機
になったのであろうとも、本ブログは見なした。しかし東山区の、
崇徳上皇が主の観勝寺で、蒙古来襲の祈祷が繋がるという保障は
無く、108枚制の将棋が密教金剛界曼荼羅と関連するとしても、

中身の駒種類を特定する情報には、乏しかった。

ところで最近、これに関連して、以下の成書から、安井金比羅宮
は後に、もう一つの京都の観勝寺を吸収して、2寺合体で成立し
たとの情報を得た。

㈱淡交社(1984年)「京都大事典」佐和隆研他編集

上記書籍によると、左京区粟田口大日山町の東岩倉山に、もう一
つ観勝寺があり、のちにこちらの寺は、東山区の安井金比羅宮に、
近世にだけ、存在したという。この寺は、”もともと東山区の
安井金比羅宮にあった”と、webの情報からは読み取れる、
崇徳上皇を祭るための、”普通唱導集編者の僧良季の居た観勝寺”
と、繋がりが当初からあったようで、

左京区の方は亀山天皇の勅願寺で、奈良東大寺系の在来仏教の寺

だったと、されるようである。
 今回の論題は、普通唱導集製作の時代に、真言密教の寺だった
とみられる、東山区の観勝寺が、亀山天皇の勅願寺とみられる、
京都左京区の観勝寺と(関係は、wikipediaの、”安井
金比羅宮”の注釈を読んでも、私には完全には理解できないが、)

両方の観勝寺が関連する事から、どんな結論が得られるのか

とする。まずは答から書く。
亀山天皇が良季の時代に、左京区の観勝寺で勅願したとすれば、
護国の札を作成して、方々に配布していた事で著名な

亀山天皇は、京都市左京区の観勝寺で、モンゴル帝国軍の壊滅を
祈ったとみて間違いないから、良季の言う大将棋には、龍王、
龍馬、成り太子酔象駒が有る方が、より尤もらしい形である

と結論できると考える。では、以下に上記結論について説明する。
 まず、モンゴル帝国退散の祈祷の際、龍神を日本の守護神と
考えて、その力にすがった事については、たとえば、

岩波新書831、岩波書店(2003年)「龍の棲む日本」
黒田日出男

の、本カバーの題目の左部分にも書いてある。長野の諏訪大社が、
モンゴル帝国軍壊滅の祈祷をする際、龍神を守護神に据えた事等
も上の書籍の本文にはある。昔は神仏混合だったので、亀山天皇
が、寺で勅願する際も、八百万の神のうち、強そうな神仏である、
明王や龍神を選んで、異国排除の祈祷をしたと考えられる。
 この亀山天皇ゆかりの京都左京区の観勝寺は、良季が普通唱導
集を編集するときに居た、密教曼荼羅の寺院、東山区の観勝寺と、
寺の本末関係は、むしろ亀山天皇の勅願寺が上とみられるが、隣
組の関連寺であったと、当然みなせるのではないかと、私は思う。
 従って、108煩悩と金剛界曼荼羅に絡んで、13升目のまま、
ただし68枚制から108枚制に変化したとみられる普通唱導集
大将棋には、

亀山天皇のモンゴル帝国退散を支援するように、龍神としての、
龍王、龍馬が在り、また仏教の本尊であり、仏教徒の心のより
どころである釈迦を成りとする酔象が、西暦1300年の大将棋
にはあったと考えた方が、良季のいた環境上、より相応しい

と、私には思える。
 そして、酔象を玉将の上に置けば、横行は端列に移さざるを得
ず、対で堅行を作らないと釣り合いが取れないため、それはでき、
関連して、角行も生じると見るのが自然である。だから、
普通唱導集大将棋の第3段目の配列が、13枚の駒が並んで、
飛車、横行、堅行、角行、龍馬、龍王、奔王、龍王、龍馬、角行、
堅行、横行、飛車という、行き所のルールについても、規則的な
配列になるのは、必然なように、私には思えるのである。
 つまり、単に真言密教の寺だったばかりでなく、関連する寺と
して、モンゴル帝国来襲の排除の、皇族の祈祷寺ともグループを
作っていたという寺に住んでいたので、普通唱導集の大将棋の唱
導を編集した良季は、

本ブログの13升目108枚制普通唱導集大将棋が、ピタリと決
まった環境に、大将棋の唱導唄を作成したときには居たはずだ

と、少なくとも私はそう思えるというのが、結論となるのである。
(2018/10/11)

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