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南方熊楠の随筆”四神と12獣について”に36禽の説明あり(長さん)

南北朝時代の西暦1350年頃の往来、異制庭訓往来で、
虎関師錬が、将棋を一文で比較的詳しく説明している。
その中に”36禽の獣の列位を象り”とあり、小さい将棋
は9×9升目36枚制の標準型の平安小将棋のようである
と見るのが、今の所一般的だ。
 ただし、小将棋は、将駒が3種あり、獣駒だけで出来て
いる訳でもない。従来は、この点について、はっきりと解
明されていなかった。ところが最近私は、南方熊楠の、
表題の西暦1919年に、人類学雑誌に発表された随筆に、

36禽の説明があるのを見つけた。

 南方熊楠によると、36禽の記載は、中国伝来の仏教書
で、仏教宗派の天台宗が重視する経典、

”摩訶止観”に説明がある

という。

12支の子丑寅卯・・・を、12の動物ではなくて、3つ
対の36の動物に対応させたもの

と言う。たとえば、寅には虎と豹と狸、戌には狗、狼、豺
を対応させるとの事だ。この話から、今回は何が判るのか
を論題とする。結論から先ず書く。

西暦1350年の異性庭訓往来成立時に、”摩訶大将棋”
という名前の12支の動物名を、将棋駒種類に多数含む、
駒数多数将棋が存在していた事を示唆している

と見られる。
 では、以上の結論につき説明を加える。
 元々、お経の摩訶止観は、中国伝来の経典であるから、
異性庭訓往来著者の虎関師錬には、馴染みの文献だったと
みられる。ここで重要な事は、

36禽の獣の列位を象るのは小将棋であるが、その内容は、
摩訶大大将棋の摩訶を表題に含んだ、お経の摩訶止観に書
いてある内容だ

と言う事である。つまり次いで記載された大将棋は、
360の一年の月日の数に則るのであるから、”36禽の
獣の列位を象り”というフレーズを、コンピュータプログ
ラム言語で言う、マクロとみなして”摩訶止観の”という
文字列で置き換えると、
”摩訶止観の”+”多い360の一年月日の数に則る将棋”
という文字列が合成される。つまり異性庭訓往来の将棋は、

”摩訶大将棋”は、36禽の獣の列位を象った摩訶止観の
一年の月日の数に則る大将棋である

という、暗号文を含んでいるようにも見えるという意味だ。
 36禽は小将棋の説明でも有るが、摩訶大(大)将棋は、
19×19=361の囲碁升目の将棋であって、12支駒
が、ほぼ全部入っている。だから、

異性庭訓往来には、この時代に、今の摩訶大大将棋の特徴
である、12支駒を含んで、囲碁升目である将棋が、その
時代に存在している事を、淡くだが示唆

しているという事になるようなのである。
 36禽・・のは、確かに異制庭訓往来で小将棋の駒数を、
虎関師錬は表現しようとしたのだろうが。摩訶止観の、
36禽の説明をここに持って来ているのは、駒数多数将棋
が具体的には、摩訶という名前で始まる盤升目361升の
将棋である事を、短い異制庭訓往来フレーズの中に、落と
し込むための、ものだったようにも見えるのである。
 次回以降でこの点を、より詳しく確認したいと思う。
(2018/12/20)

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