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虎関師錬の時代、占い36禽の資料は摩訶止観他五行大義が有り(長さん)

前に、虎関師錬が、異制庭訓往来の将棋の説明を記載した際に、
彼の言う36禽は、摩訶止観の知識からのみのであろうと、
本ブログで述べた。その際、36禽の元になる資料が、南北朝
時代の時点で、日本には、少なくとも代表的には、仏教の経典
の、摩訶止観の煩悩の項目に関する記載位ではないかと、ここ
では考えたからであった。その後、36禽について、中世の
日本人が入手可能だった、大陸伝来の書籍を捜索した結果、

日本の陰陽寮で平安時代から、教科書として使用されたものと
見られる、中国の隋王朝時代に蕭吉(しょうきつ)によって編
纂された、”五行大義”が有る事が判明した。

 webに、漢文で全文が載っているページがある。
そこには、確かに子~亥までの、36禽のリストが記載され、
”名数数詞辞典”と似たような、動物名のリストが、この史料
では子から亥まで並んでいる。

.子.朝爲燕.晝爲鼠.暮爲伏翼
.丑.朝爲牛.晝爲蟹.暮爲鼈
.寅.朝爲狸.晝爲豹.暮爲虎
.卯.朝爲狐.晝爲兔.暮爲貉
.辰.朝爲龍.晝爲蛟.暮爲魚
.巳.朝爲蝉.晝爲蚯蚓.暮爲魚蛇
.午.朝爲鹿.晝爲馬.暮爲麋
.未.朝爲羊.晝爲鷹.暮爲鴈
.申.朝爲猫.晝爲猿.暮爲猴
.酉.朝爲雉.晝爲鶏.暮爲馬
.戌.朝爲狗.晝爲狼.暮爲豺
.亥.朝爲豕.晝爲契蝓.暮爲猪

子の最初が、猫ではなくて燕、巳の真ん中が、鯉ではなくてミ
ミズ、申の最初が尾長ザルではなくて、猫に変わるくらいの差
のようだ。なお、記載場所は書籍の最後の部分であり第二十四.
禽蟲就 二.三十六禽 となっていた。
日本には現在、元弘3年(1333年)と天文年間の写本が完
本として残っていて、中国には他の陰陽五行説の書籍が多数あ
った為に、不要と見られて、全部廃棄されてしまい無いという。
 ちなみに36禽自体は、この本の記載によると、漢代の書籍
がオリジナルだという。
 以上の状況から見て、南北朝時代の時点で、

五行大義ないし、陰陽道の占い関連の中国からの、今は無い
書籍を、京都に在住した虎関師錬は、経典の摩訶止観とは別に、
参照できた可能性がある

と考えられた。なお、私は確認していないが、日本の書籍とし
て二中歴に、”36禽”の内容は、転載されているとの情報が
英語のwikipediaにある。言葉自体が、さほどマイナー
ではない事だけは、確かなようだ。
 よって結局の所虎関師錬は、密教も学んでいるので、占星術
関連で使用されると聞く、エジプト起源の黄道36星座は、
五行大義等で、名前を聞いた上で、他の占いに関する当時は
存在した中国からの書籍で調べて、内容を知っていて、”1年
の日数の1/10の数”の動物名の羅列だと認識した上で、
異制庭訓往来に載せた可能性も、

残念ながら、否定できない

ようだった。
 なお、造形物として、わが国にも36禽の像等は、幾つか
有り、京都の祭りの、屋台の飾りにあるとも聞いている。
 星占いと言うと、星座は12、室も12が今ではポピュラー
だが。36室制にしようと思えば、出来るわけだろう。そうす
ると、地面に固定のいわゆる、”第一赤道座標”の時角の、
36禽表記が、当然時制の一種と見なせると言う事だろう。
つまり、

虎関師錬が、星占いの世界でだけ使われる、特殊な時刻の表記
は理解できるような、占星術に関する専門的な知識を、有る程
度は持っていた可能性を否定できない

という事かと見る。
 なお、今に伝わる36禽説話の内容から見て、摩訶止観の教
義の三十六禽は、形の上では仏教の説法だが、”座禅等仏法修
行中の星が、40分単位で、36星座星占いで使われる、
第一赤道座標の経度(時角)の類の、ホロスコープの『室
(ハウス)』を変えてゆく”と言っているのと同じであって、
実質これは”星占いの話”だ。
 禅僧だから、密教系の星占いの情報資料として、具体的には
摩訶止観を、頭に描いている疑いも大きいのだが。”将棋は、
天文・占い道と同程度に帝王にとって大事だ”と異制庭訓往来
では、漠然と言っているだけの可能性も、完全には否定できな
いと言うところかと、私は結論した。(2018/12/24)

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