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鶴岡八幡宮境内遺跡出土、”3枚目の歩兵”裏面は何か(長さん)

大坂電気通信大学の高見友幸氏により、”奔成り”と指摘
のある、鶴岡八幡宮境内遺跡出土の、成書”天童の将棋駒
と全国遺跡出土駒”で、5番とナンバリングされた駒の、
問題の成り面の文字について、今回は何なのかを論題とす
る。答えから書き、今回は背景を含めて、その後で説明し
よう。

比較的崩しの少ない、一文字”金”と見て、矛盾はない

と、本ブログでは考える。
 では、以下に最初から説明する。
 神奈川県鎌倉市の鶴岡八幡宮境内遺跡からは、本ブログ
の見解によると、後期大将棋系の駒および、平安小将棋類
とみられる歩兵駒が、出土していると言う事になっている。
 天童の将棋駒と全国遺跡出土駒に、全部のスケッチと、
香車の裏と、不成り歩兵駒の裏を除いて写真が載っている。
また成書、よみがえる中世3、武士の都鎌倉に、カラー写
真で、オモテ面の写真のみが載っている。
 天童の将棋駒と全国遺跡出土駒のナンバーで表現すると、
以下のような構成だ。
NO.1 成り楷書奔王鳳凰駒(後期大将棋系)
NO.2 成り”と金”歩兵駒(小将棋?)
NO.3 不成り剥がれた墨跡香車駒(後期大将棋系)
NO.4 不成り歩兵駒(後期大将棋系?)
NO.5 初期鑑定で飛車成り金将駒(中将棋?)

今回は汚れが酷く、異説が幾つも有る、”3枚目の歩兵”
と本ブログでは呼ぶ、NO.5の出土駒について、問題に
している。
 本ブログは、

オモテ面を”歩兵でも矛盾無し”と主張したが、裏面につ
いて、これまでは、言及してこなかった。

 先行研究は、次のようになっている。
 鎌倉考古学研究所の鑑定で、汚れがひどく、本ブログ以
外には、断定的に駒名を示した事の無いオモテ面について、

金将と鑑定した。

そして、同時に裏面については、上部の二画目のカーブや、
その右上の筋から、

裏面は楷書の飛車と鑑定した。

 表面については、卒や傘の上半分にも見える程度に、汚
れが酷いのだが、研究は進まず、金将に賛成する意見も多
かった。
 他方、今回問題にする裏面については、その後研究例は、
しばらくなく、?とする意見が多かった。しかしながら、
最近になって、大坂電気通信大学の高見友幸氏により、
楷書の”飛”に見えている字は、”奔”ではないかという
意見が出てきた。
 以上の程度だと思うが、苦情が出てから、”失念したの
は確かに悪かったが、これほど汚れが酷いのに、断定でき
るため、忘れてならない先行研究とまで、言い切れるのか
どうか”という立場から、本ブログでは、より詳しく反論
をしたいと思う。
 他方オモテ面の本ブログの主張について、簡単に復習す
る。特に強い墨跡は、最上段だけであり、

歩兵であるという説を、否定できるほど、きれいな状態の
出土駒では無い

というのが、本ブログでの見解だった。しかし、

金将では絶対無いとは、言うつもりは最初から無い。

 さて、今回は、鶴岡八幡宮遺跡出土のNO.5駒の、成
りを問題にする。ポイントは、

飛車の上部だと判定した、金とは少し違うと見たらしい、
第2画目のカーブの仕方は、栃木県小山市神鳥谷曲輪出土
の成り一文字金角行の金の字の、2画目のカーブと瓜二つ
である。つまり、

前半が凸、後半が凹になる、金の字の第2画目のカーブは、
金としては、普通の範囲内である。だから、

この駒は、普通に、やや崩しの軽い、金成り歩兵駒である

と見ても大きな矛盾はない。ただし、成りがと金だったり、
不成りだったり、軽い崩しの金だったりと、ばらばらな理
由は、問題になるだろうが、今の所、私には解明できない。
 NO.5番目の駒は、NO.1の鳳凰駒とは、カラーで
見ると少し色が違うようだが、汚れているので、鳳凰駒と
の仲間で無いとは断定できない。しかし、気まぐれで平安
小将棋の歩兵の、裏の金の文字が、崩しが弱かったと、本
ブログではみると、言う意味だ。つまり、より価値の高い、
中将棋の飛車成り金将が出土したという説を、絶対おかし
いと、完全否定は出来ないものの、

もっと無難な見方を、逆に完全否定できるほど、出土駒は
綺麗とは言えない

と、本ブログでは考えると言う事である。
 なお、裏面の字の一番最初を、飛と見るよりは、奔と見
た方が、マシだと、本ブログでは見ている。奔の字の大の
部分の第3画目のカーブと、金の字の第2画目のカーブは、
似たり寄ったりであり、

飛と見るのは、やや無理があるが、奔でも金でも同じ程度
だろう

と見る。つまり、その右上に有る、”ノ”の字のような部
分は、墨跡ではなくて、”汚れ”だと言う説を、本ブログ
では取るという意味である。
 以上で、本ブログの主張は終わる。
 なお、この駒を紹介した、天童の将棋駒と全国遺跡出土
駒の、この駒に関するスケッチ図が、元面と成り面で、逆
に書いてあるのを最近みつけた。
 卒ないしは、傘の崩れたように見える書体がある方が、
成り面であり、

相当に無理があると、私は個人的には思うのだが、”金”
と書いてあるスケッチが表面

である。駒が欠けていて、その欠け面の形が、スケッチと
写真とで、裏表がアベコベになっている。
 汚れで字の変形が酷く、この書を編集するときに、うっ
かり間違えたのであろう。(2018/12/26)

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