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玉回りだけ駒が集中しない、持駒ルール大将棋のテスト(1)(長さん)

前に述べたように、盤升目が二桁以上の日本の将棋は、持駒
ルールで指す事も、駒の全体的な攻撃力を防御力に対して落
すと原理的にできるが、駒が玉駒に王手を掛ける地点にだけ
集中して、棋譜としての見栄えが良くないという理由で、取
り捨て将棋、ばかりになったというのが、本ブログの論だ。
 しかし、それについても、中段にある相手の駒の取りを掛
けるための打ち駒は、通常は、互いの玉陣からは遠い事が普
通なので、以上の限られた手に持駒の打ちを制限して、取り
捨て将棋から、持ち駒ルールに移行するという手が有る。
 今回は、特に後期大将棋で、実際にそういう将棋を指して
見たので、紹介しよう。
 基本的なルールは、今回は、成り等が中将棋パターンで、
かつ、飛龍、猛牛、鉄将、石将、悪狼、嗔猪、猫叉の成りを
金将とする、wikipediaの説明等で、汎用性の高い
近世・近代の後期大将棋とした。なお、中将棋の獅子に関す
る特別な規則は、この後期大将棋については、適用しないと
した。そして、問題は持駒ルールだが、

中段に居る、相手の走り駒取りを掛けるという条件ならば、
二歩にならない限り、自由に持ち駒を打てるというもの

である。なお、後期大将棋の獅子や麒麟、鳳凰等は、走り駒
ではなくて、跳び駒ないし、踊り駒だとして、中段標的駒に
今回は含めない。
 実際指すと、一局終了局面の例として、以下のようになっ
た。なお、この局面で、後手玉が詰まれて先手の勝ちである。

後期大持駒.gif

 なお、今回このようなルールで指す駒数多数の将棋として、

後期大将棋を選択したのは、元々、デスフェンス(守備力)
過剰の、代表的将棋種と、本ブログの管理人が認識している

からである。後期大将棋は、中盤の後半で、息切れするのが
普通と、少なくとも本ブログでは、当然のように見ているの
である。

だから、普通唱導集の大将棋は15升目130枚制の後期
大将棋では無い

と、本ブログでは常々、がんばっているという事情だ。
 それはともかくとして、状態を見て判るように、この将棋
は、今述べた条件程度に、持ち駒ルールを少し添加して、

オフェンス(攻撃力)を上げると、攻守のバランスが、だい
たい取れる

ようになる。なお、局面で2枚獅子が、先後手共に出来てい
るが、獅子に駒取りを掛けられないので、残りやすいためで
ある。つまり”相手の中段の獅子にも取りを掛ける事ができ
る”といった調整や、”中段の走り駒”を、”互いの玉から
4升目以内、最大81升目の中に居無い走り駒”にする等、
バリエーションが、元々幾らでも考えられる。それについて
は、将棋種毎に調整する必要がある。つまり、

後期大将棋の場合が、”中段の走り駒”程度でちょうど良い

と言う事だ。
 ただし、終局局面を見てみると、この将棋のゲームデザイ
ンは、失敗だ。なぜなら、

石将、桂馬、猫叉、嗔猪といった、袖の小駒が、明らかに
”余り駒”傾向

になっているからだ。これは、
玉将が、猛豹と銅将とで作る棒状構造を持つ、囲いの配列の
中だけでしか、一局中動き辛いためである。つまり、

猛豹と銅将とで作る棒状の、囲いの機能を持つ配列構造

が、袖を対局の間中、遊び駒にさせてしまい、ゲーム性をや
や落している事が判る。袖に玉は逃げないので、事実上、

酔象、(2×)盲虎、金将、銀将を討ち取れば、玉は詰む

という決まった終盤の将棋になってしまったのだ。
 従って、今回の後期大将棋は、ディフェンス(防御力)
過剰な駒数多数将棋に、持ち駒ルールを部分導入して、
攻守バランスを調整する例示に留まり、それで性能の良い
ゲームになる事は、示せなかった。
 なお、写真の右の方に、使われる場所が無くなったため、
乱雑に置かれた、持ち駒を示した。この手の将棋に、

日本将棋ほどの、持ち駒の打ち駒の着手に対する、ゲーム
としての奥深さは、余り無い。

持ち駒打ちの手を、全体の着手を選択思考するときに、重点
的に考慮する、日本将棋の棋士の脳内思考回路に、不快感を
与えないためだけの、持ち駒ルールに近い。すなわち、大量
に、取った駒は有るが、使う事の多い駒は、後期大将棋の、
このテストバリエーションでは、例外は幾らでもあるものの、

香車、反車、飛車、角行、竪行程度に、限られる場合が多い

のである。(2019/01/13)

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