SSブログ

六博盤を象棋盤状に変換しルール解析後象棋化不能を証明(長さん)

六博が中国象棋等、チャトランガ類の先祖で無い事は自明
だと私は思ってきたが、現時点でwebのサイトを眺めて
みると、そう考えられては居無いとの印象だ。”六博が進
化して象棋・将棋になった”とか、”六博は盤双六と将棋
の両方の性質がある”等を指摘するサイトが、結構目に付
く。そこで今回は、

六博のゲーム・ルールを、より正確に把握する事により、
それらのサイトの間違いを指摘する

事にしよう。
 結論から書くと、

どう似せても六博ゲームには、直進して相手陣に到達する
兵駒が作れないので、象棋に連続的には進化できない

という事になる。
 では例によって次に、詳しく説明しよう。
 まずは、いわゆる六博のTLV盤(VはYが正しい)を、
中国シャンチーの象棋盤流になおして、

長方形駒を、円形駒に置き換えても、等価なゲームになる

ようにした。
 考え方とやり方は、次の通りである。
 まず、長方形六博の駒が、何ゆえに長方形なのかについ
て、次のように本ブログでは解釈する。

TLV盤の線分2本の少なくとも一部に、必ず同時に接触
させて、六博の駒は置くルールだから

である。ここで、”TLV盤の線分”は、通常の数学的な
線分とは異なり、

分岐点をも端点とみなし、分岐点が1つある線分模様は、
2本の線分を、角度180°で繋げたものと考える

という事である。なお各六博駒は、別の六博駒とは、必ず
跨ぐ線分の、どちらか一方を別の線分にしなければ、なら
ない、量子論の、パウリの排他率のようなルールとする。

これは、シャンチーの1交点には1つの駒しか置けないの
と、かっこつけて言わなければ、いっしょという事である。

 そして、象棋盤にある”線”は、駒の跨いでいる、一方
の盤線分を、他の線分に変えるように動かしたときに、到
達する、駒状態形に対応する交点を、隣と定義し、結びつ
けた、いわゆる数学的グラフとする。
 すると、六博のTLV盤は、駒を置く交点に小さな○を
つけて、より判りやすくすると、中国シャンチー流の象棋
盤流に表現して、以下のような模様の盤と等価になる。

囲碁式六博盤.gif

 次に、中国シャンチーに六博ゲームができるだけ似るよ
うに、出土史料を、

好意的に解釈

するとしよう。すなわち、

1)サイコロと、棒のような30本の物品は、使用しない
ゲームバージョンも有ると仮定する。象棋・将棋系ゲーム
では使用しないが、サイコロは、6面体の簡易型と使い方
が等価で単純なものも、かつては有ったのだろう。
2)六博の駒の、駒の名前は元々有ったが、たまたま名無
しの道具が出土してしまった。

 シャンチーでは、まず盤に敵味方の領域区別がある。
 上の写真では、斜めになってしまったが、右下が味方の
領域、左上が相手の領域というふうに、

尤もらしい、象棋の初期配列が作りやすいように、最大限
好意的に仮定

した。
 次に六博の六は、駒の数から来るとみられるが、もっと
もらしいのは、図の二重丸の所に、駒を置いた場合である。
ただし、これではシャンチーへは進化しにくい。
駒の数が、この場合は68目になるとみられる、盤升目数
に比べて

少なすぎる

のである。これでは中国チャンチーの先祖にしては、最初
から終盤の駒枯れ状態だ。
 そこで恐らく、出土品の小さい駒30枚のうち、20枚
を追加で使う、ゲームバージョンも有ったと、

更に好意的に解釈する。

並べる位置は、竪横のそれぞれの袋小路陣の、漢字の”日”
の形の中段と下の段部分に、計8個で兵駒相当、斜めの各
4つの袋小路部分のそれぞれに、既に大きな駒の置いた、
後ろの目に、帥/将相当と士/仕相当の副官駒を並べると
いうパターンの初期配列が、例示できる。
なお大駒は、適宜、象、馬、車を2枚ずつ割り当てれば、
駒数と、盤升目数のバランスは、駒総数32枚なので、

64升目が68なら僅差であるから、インドの
二人制チャトランガ類とほぼ同じ

だ。
 ただし、問題は、

個別の駒の動かし方のルールの割り当て時に発生

する。理由は、

単純には、普通のチャトランガ系ゲームのように、六博盤
を上記のように、象棋升目盤に変換した時に、縦横の規則
正しい盤升目になっていない

からである。象と馬の

斜めの動きは、表現不可能

だ。そこで、象・馬・車は、暫定的に次の動かし方で動く
と、象棋類には、なるべくなるように仮定してみよう。

象:やり方に制限無く2目動く。ただし途中の他駒を飛び
越せない。
馬:やり方に制限無く3目動く。途中の他駒を飛び越せる。
車:やり方に制限無く1~4目動く。ただし途中の他駒を
飛び越せない。
 ただし、象・馬・車共に、同じ線を一回の動きで、複数
回通過してはならないとする。

 車駒が、車と命名されるのかどうか謎だが、これなら、
多少は象棋らしいであろう。
しかし、六博盤には、次の象棋盤には無い、深刻な問題が、
TLV模様に起因して発生する。すなわち、

け高い山脈状の”方”と名づけられた領域が中央にあり、
相手陣へは、左右の端列からしか突入できない

のである。そのため、
前段前列に整列していて、指し始め以降、相手陣に向かっ
て歩んでゆく兵駒という駒自体を、駒数で言って、仲人の
2枚程度以上は作れないという、チャトランガ・シャンチー・
チェス・将棋類の仲間に入れるにしては、

致命的な問題

が発生するのである。ようするに、このケースには、

”互いに戦争などしないで、険しい山脈の両側に別れて、
それぞれ平和に暮らしなさい”と言わんばかりの、地形の
ゲーム盤で、わざわざ戦争ゲームをするという、不可解さ

が有るという意味だ。ようするに六博のゲームの盤の
デザインが、

”こんなゲームの無い国の方が、象棋ゲームが、むしろ発
生し易いのでは無いか”と、懸念されるほどの性質である

と言う事である。
 そのため具体的には、

六博盤では、兵駒と帥/将駒、士/仕駒との動きに区別は
付けられず、中央上段に置かれた兵駒には、後退できる
ルールがないと、敵陣間近の大山脈の行き止まりで、立ち
往生となる恐れも発生する

のである。
 だから、本ブログの管理人に言わせると、
最初にチャス・象棋・将棋型ゲームを発明したゲームデザ
イナーが、六博を指せた可能性は否定できないが、
六博から、チャス・象棋・将棋型ゲームが出来た可能性は、
兵駒を発明すると共に、そう考えるのが当たり前だが、
直交座標のような囲碁型の盤へ、六博の気高い中央山脈の
ある路構造に変換される遊戯盤は、取り替えないと駄目だ
と気がつかないと、発明できない。だから、六博から象棋
への移行が、仮に有ったとしても、

別種のゲームへの移行と、明らかに見なせる

と、結論できるように考えるのである。
 そもそも、この盤が、普通にサイコロを使う、盤双六盤
だという別の、学会では定説と私が認識する見方で見ると、
二重丸の所に、双六の駒を置いて、中央近くの黒い目を目
指し、黒丸の目から1か4のサイコロの目が出たときに、
個別の駒が上がれる。が、この黒い目では必ず止まるよう
に、出目時の駒の移動を調整してから、次の自分の番か、
1回以上止まってから、上がらなければならない。また途
中路で駒を動かすときに、同じ線は1回しか通過できない。
以上のルールで指す、6升目しか無い、簡易的な双六ゲー
ムと、等価に近いゲームと、ほぼ自明に推定できるように、
本ブログの、独自の見方としてはする。なお双六ゲームと
しての内容の議論は、ごちゃごゃになるのを避けるために、
このページでは、この位にしておこう。
 以上のように、”六博→囲碁等価盤”を作成して、象棋
ゲームとして、考察した結果、

やはり六博は、中央部に行き止まりのある形式の盤である
がために、使用駒種類が、象棋に比べて異形かつ作れる種
類が限られ、従って、そのような発明を飛び越して、自然
に連続的に、象棋に進化したものではない

と考えられた。
 以上の考察以降”六博は象棋の先祖”だとか、”六博に
は象棋の要素が有る”と主張する、webサイトには、
遊戯史の研究者によるものとみなせる、文献研究の出典が
示されて居無いケースでは特に、その主張内容の真実性に
関して、充分に疑って掛かる必要があると、私は個人的に
は考えるようになったのである。(2019/02/04)

nice!(1)  コメント(0) 
共通テーマ:趣味・カルチャー

nice! 1

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。