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荻生徂徠の広将棋。荻生と広将棋譜愚解の差は車と車総か?(長さん)

前に、荻生徂徠の広将棋の、荻生没後40~50年後に
書かれたルール本、広将棋譜愚解の、千葉県野田市の
図書館、せきやど図書館蔵本の、2ページ落丁の謎につ
いて話題にした。
 広将棋については、(1)騎総が強すぎて、相手陣の
仏狼機の只取り筋が、指し初めに生じるという問題と、
(2)弓、弩、砲、仏狼機駒等が、ほとんど相討ちにな
り、終盤まで1枚も残らない事の多い、不自然さがある
点以上二点について、本ブログで問題にした記憶がある。
荻生徂徠のゲームデザイン力が、政治学の本職に比べれ
ば、たいしたことがないというニュアンスで、あのとき
は済ましてしまった。しかし最近、没後40~50年後
のルール本の一部、せきやど図書館本に乱丁があるのを
見て私は、荻生徂徠の広将棋は、没後40~50年後に、

ひょっとして、再現に失敗した箇所があるのではないか

と、私は疑うようになってきた。
 今回は、ずばり、荻生徂徠の広将棋を、少し後代の関
係者が再現するときに、何処が間違っていたのかを、論
題とする。
 回答から書くが、証明は次回以降にしようと思う。
では回答を書く。

車と車総の初期配列が、全部1段高い。荻生は6段目で
はなくて、5段目に配列していた。
また、車のルールが違う。5升目走りではなくて、2升
目走りが、オリジナルだった。

なお、欲を言えば、砲の射るのルールを変え、
現行の碑、車、車総、砲車、神機車射れるを、
碑射れる、車、車総、砲車、神機車は射れないので、弓
類駒相取りの車が残って、更に邪魔になるを、入れたほ
うが良いかもしれない。
 では、今回は車のルールが”臭い”という証拠を、以
下に指摘しよう。
 まず騎総で、相手仏狼機が、序盤最初に簡単に狙えて
しまう理由を考える。これは、初期配列で、7筋6段目
の車が、浮いているからである。車が全体として1歩、
後退した位置に初期配列であれば、仏狼機の騎総による
トン死は、生じないのである。だから車と車総の初期配
列を、再現のときに間違えた疑いがあるように、私には
思える。なお話が中断するが、国文学研究資料館の、
新日本古典書籍データーベースにある、広将棋譜愚解を
見る限り、騎総は後戻りできない(居喰いは出来る)と、
後段に書かれており、世界の将棋の表現が厳密に合い、
岡野伸氏自身の中国の諸将棋での解説と、wiki-
pediaの表現は、散漫なように私には見える。この
駒は居喰いできるが、”空升目跳び返り”は禁止と書い
てあるようだ。

馬兵成り騎総.gif

 次いで車の初期配列の、間違い仮説の傍証としては、
広将棋の初期配列の空升目は、桂馬跳び模様になるのが、
本来なのではないか。そうなっていないのは車と車総を、
1段高く配列している間違いが原因のように、私には見
える。
 次に、車や車総は、射るの例外ルールで、弓や弩の、
本来邪魔駒になり、相取り等が、歯止め無しに起こるの
を、避ける働きが備わっているはずである。しかし実際
には、車駒に関して、その性能が全く発揮されて居無い
理由を考えてみる。これは簡単で、現行の5升目走りが、
強すぎて、車同士の相取りが最初に起こってしまい、
相手の弓や弩や砲が、繰り出されるまでには、車自身が
消えているからだ。
 だから、
広将棋に関する広将棋譜愚解の、車の5升走りルールは

不自然

だ。2升目しか走れないとすれば、中盤まで、前段にあ
るのが原因の、互い取りが起こりにくくなり、その結果
消えずに残るので、弓や弩や砲、仏狼機同士の、単純な、
中盤の互い取りの、邪魔をする働きを、強くしたはずな
のである。だから車のルールは、5升目走りではなくて、

縦横2升目走りを、荻生徂徠は考えていた疑いがある

と私は思う。
 この事に関しては、次のような傍証もある。
 砲車や神機車の”5升目走り、前者の5升先まで射る
と、後者の7升先まで2駒射る”の、”5升目走り”は、

過剰だ。

2升目程度、砲車や神機車が走れれば充分な事は、実際
にゲームをしてみると直ぐに判る。
 砲車の車、神機車の車が、車だったので、動きをそれ
に掛けて、車と同じ形にしようとしているのだと、私は
思うのだが。後世の再現者は、そもそも車のルールを間
違えていたから、これらも間違えて、こうなったのでは
ないのか。
 そして5升目を2升目走りに変えれば、車の方は、冒
頭で述べたように、序盤に互い取りしにくくなる。する
と、碑と同じように、中盤まで車が残るようになるので、
少なくとも弓と弩が、すき放題に、相手駒を射る事が、
よりできにくくなるような気がする。
 それでも砲は、車を射れるから、砲同士の互い取りは、
従来通りだろう。それなら、火砲は、車や車総や、砲車
や神機車という、車の付く駒は、いっそ射れなくしたら
良いのではないか。そうすれば、車が目障りになり、砲
の射る働きも、従来よりは少し弱まるだろう。
 これで、近々広将棋をチェックしてみようと思ってい
る。結果は、そのときまた紹介しよう。
 何れにしても、車や車総のルールは、千葉県野田市の
せきやど図書館蔵の、広将棋譜愚解で抜けている部分に
あり、これで広将棋が改善されるようなら、抜けた原因
は、検討中であったものを、その他の場所で、リークし
て無理やり公にしてしまい、そこに間違いが有ったので、
広将棋そのものが、完全滅亡してしまったという、
荻生徂徠にとっては不運だが、名誉は回復されるという
ストーリーに、将棋史上の解釈は、将来代わる可能性が
有り得ると言う事になるだろう。(2019/03/10)

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