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平安大将棋初期配列の熊澤良尊説は妥当か(長さん)

平安大将棋は、左右対称なので、中央列から袖に向かって
初期配列を書くと、普通は4段目から下が次のようになる。
注人口口口口口口口口口口口口
歩兵歩兵歩兵歩兵歩兵歩兵歩兵
横行口口猛虎口口口口飛龍奔車
玉将金将銀将銅将鉄将桂馬香車
それに対して、前世紀の後期に、現在も書き駒師として著
名な熊澤良尊氏が、二中歴の大将棋の記載の誤記から、平
安大将棋は、以下のような初期配列と解釈できるという説
を、出典は将棋雑誌とみられるものに、掲載したと、私は
聞いている。
注人口口口口口口口口口口口口
歩兵歩兵歩兵歩兵歩兵歩兵歩兵
横行口口猛虎飛龍口口口口奔車
玉将金将銀将桂馬銅将鉄将香車
本人のブログがweb上に公開されているので、ひょっと
すると、探せばそこにも書いてあるかもしれない。
今回は、その熊澤説の妥当性を論題とする。
 先に結論を書く。
従来の説が勝ると見る。ただし、

完全否定は無理だ。

ちなみに、上記結論を本ブログが出した根拠だが、確かに
二中歴の大将棋の初期配列の記載には、誤記がある。
そこで、著者の立場に立って、執筆時に誤記する過程での

心理分析をしてみると、熊澤氏の言うような真配列から、
間違えたと見るには、無理な所があると本ブログは考える。

以上が理由である。
 では、以下に説明を加える。
 まず事実認識として、二中歴の大将棋の記載の間違いと
いうのは、内容を羅列すると以下のような3点である。
1)桂馬が書いてない。そのかわりに2回銀将が出てくる。
2)鉄将の横の動きは、銅将や桂馬、香車のルールから
見て、本当は無いのではないかと、少なくとも本ブログで
は疑っている。
3)最後の十文字の内容が不明で、誤記のように見える。
ここで問題にするのは、初期配列に係わる、

1)の桂馬と銀将の位置の記載の問題だけ

である。
 次に、この1)の点に着目しながら眺めると、二中歴の
記載内容は、およそ次のようなものである。
①最初に玉将を真ん中に置くと書き、次に金将と銀将の
位置を、その前に記載の駒に関して”隣に何を置くのか”
という回答として述べている。
②次に、”ついで”という接続詞を使って”銀将、銅将
鉄将が並んでいる”との旨述べている。結果、銀将が、
続けて2回書かれている。

③桂馬が書いてない。

④”次ぎに鉄将”に続けて、”次に香車を置く”との旨を
書いている。
⑤以下、銅将と鉄将の駒の動かし方のルールが書いてあり、
ここにも間違いが有るが、初期配列ではなくて駒の動かし
方ルールのカテコリーなので、⑤からしばらくは、ここで
の議論に関係が無い。
⑥横行の位置と駒の動かし方ルールが書いてあるが、⑥も
変わらないので、ここでの議論に無関係。
⑦猛虎の位置と駒の動かし方ルールが書いてあるが、⑦も
変わらないので、ここでの議論に無関係。

⑧飛龍の位置が桂馬の前の升目らしい事が書いてある。

⑧は桂馬の位置に関する事なので、ここの議論にきく。
動きのルールは、ここでの議論に無関係。
⑨以下に、奔車と注人の位置、駒の動かし方ルールがある。
ここでの議論に無関係。本ブログの解釈では、以下に注人
を例に引いて、成りに関するルールが書いてあると見る。
それで終了と見るが、ここでの議論に関係ない。
以上である。
 単刀直入に言うと、
 熊澤説を取るとするならば、
A)①で玉将と金将と銀将と桂馬の位置を書くつもりで、
桂馬を落としたか、または、
B)②で桂馬、銅将、鉄将が並んでいると述べるつもりで、
桂馬の代わりに銀将と書いたか
のどちらが間違いのパターンとしか、私には考えられない。
そこでA)だとすると、その場合だと、
②はもとのままで、銅将から始まり、単純に1枚駒種が足
りなくなるだけのはずなので、A)では無い。つまり、

B)の場合だけ精査すれば良い

という事である。
 大事な点は、B)だとすると二中歴の著者が、

現実として、桂馬と書くつもりで、銀将と今まさに書き
出していると言う事

である。
 心理的に見て、間違って桂馬と書くつもりが、銀将と書
けば、二中歴の大将棋の著者が少なくとも、正しい配列を
頭に入れて、その後に書いているとすれば、また桂馬と、
頭の中に、又思い浮かべるのが、普通なのではないかと、
私は疑う。

だから、桂馬と書くつもりが、銀将と書いてしまえば、
また桂馬と書こうとして、はたと自分の間違いに、気が
つくのが常

なのではないか。
 だから、B)のような事は、現実には起こるとは考え
にくいのではないかと、私は疑う。
 つまり、熊澤氏の言う配列が、真配列のケースは、二
中歴のような実際の配列混乱のパターンとは、別の記載

A)のように誤って、銀将がだぶって、2回にはならず
に1回になる”単純桂馬落し”のパターンになる

のではないかと、私は疑うのである。
 それに対して、従来のように、
①を書いてから、何処まで書いたのか忘れて、銀将を
ダブらせて②を書いてしまい、袖の2種類の駒は、筆者
の、存在に対する意識が、将型の駒に比べて低かったので、
桂馬は忘れたと考える、という間違いの原因推定の方が、
説得力の点で、

熊澤説よりは、相対的に勝っている

と私は評価する。
 だだし、古文書が間違えているから、その心やホント
の内容に関して、複数の説を比べるという議論に関して、

さほどの精度が出るとは、私にも思えない。

だから、

熊澤説を否定するのは困難で、せいぜい”2番手である”
と順位付けできる程度

だと考える。
 ちなみに、熊澤説が正しい場合には、その熊澤型二中
歴大将棋は、次のような、熊澤型普通唱導集大将棋へ移
行するだろうと、本ブログでは予想する。

香車鉄将銅将桂馬銀将金将玉将金将銀将桂馬銅将鉄将香車
反車猛牛嗔猪飛龍猛虎麒麟酔象鳳凰猛虎飛龍嗔猪猛牛反車
飛車横行竪行角行龍馬龍王奔王龍王龍馬角行竪行横行飛車
歩兵歩兵歩兵歩兵歩兵歩兵歩兵歩兵歩兵歩兵歩兵歩兵歩兵
口口口口口口仲人口口口口口口口口口口仲人口口口口口口
口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口
口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口
口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口
口口口口口口仲人口口口口口口口口口口仲人口口口口口口
歩兵歩兵歩兵歩兵歩兵歩兵歩兵歩兵歩兵歩兵歩兵歩兵歩兵
飛車横行竪行角行龍馬龍王奔王龍王龍馬角行竪行横行飛車
反車猛牛嗔猪飛龍猛虎鳳凰酔象麒麟猛虎飛龍嗔猪猛牛反車
香車鉄将銅将桂馬銀将金将玉将金将銀将桂馬銅将鉄将香車

一段目が違うが2段目も、右辺猛虎飛龍嗔猪猛牛の方が、
”地”に変わるので、

麒麟と鳳凰の位置が、逆転するはず

だ。再度、カンマを付けると下のようになる。

香車,鉄将,銅将,桂馬,銀将,金将,玉将,金将,銀将,桂馬,銅将,鉄将,香車
反車,猛牛,嗔猪,飛龍,猛虎,麒麟,酔象,鳳凰,猛虎,飛龍,嗔猪,猛牛,反車
飛車,横行,竪行,角行,龍馬,龍王,奔王,龍王,龍馬,角行,竪行,横行,飛車
歩兵,歩兵,歩兵,歩兵,歩兵,歩兵,歩兵,歩兵,歩兵,歩兵,歩兵,歩兵,歩兵
口口,口口,口口,仲人,口口,口口,口口,口口,口口,仲人,口口,口口,口口
口口,口口,口口,口口,口口,口口,口口,口口,口口,口口,口口,口口,口口
口口,口口,口口,口口,口口,口口,口口,口口,口口,口口,口口,口口,口口
口口,口口,口口,口口,口口,口口,口口,口口,口口,口口,口口,口口,口口
口口,口口,口口,仲人,口口,口口,口口,口口,口口,仲人,口口,口口,口口
歩兵,歩兵,歩兵,歩兵,歩兵,歩兵,歩兵,歩兵,歩兵,歩兵,歩兵,歩兵,歩兵
飛車,横行,竪行,角行,龍馬,龍王,奔王,龍王,龍馬,角行,竪行,横行,飛車
反車,猛牛,嗔猪,飛龍,猛虎,鳳凰,酔象,麒麟,猛虎,飛龍,嗔猪,猛牛,反車
香車,鉄将,銅将,桂馬,銀将,金将,玉将,金将,銀将,桂馬,銅将,鉄将,香車

 上の配列をエクセルに、コピー読み込みして、チェックして
みてもらいたいが、右袖への攻めが、左袖に変わる点に
注意が要るが、猛牛は塞象眼がある2升目先制限走りと
仮定するので、飛龍と交換しても、守り方のパターンは、
普通唱導集大将棋第2節のままであって、変化が無い事
に注意すると、
”仲人と嗔猪が腹を合わせ、桂馬を飛ばして角アタリは
防御して、支え”ようとするだろうが、飛龍と龍馬が、
共同で、相手左飛車に当たるようになるので、2枚の

飛龍が、初期攻撃に加わる効果は甚大だろう。

そのために、猛牛が袖に来る事により、防御力は多少は
増すものの、唱導唄のようには”支えられない”
のではないかと、私には疑われる。つまり、

元が熊澤配列で、そこに駒を足したのでは、普通唱導集
に唄われている普通唱導集大将棋(仮説)とは合わない

とみられると、言う事である。
 ただし繰り返すが、熊澤説は、②で桂馬と書くべき所
を銀将と書いたら、

気がつくはずだ

という、筋の細い推定によって、かろうじて疑われてい
る程度だ。
 このような議論には一般に、閉塞感が充満しているの
は当然であり、将来なんとか、別の根拠が見つかるのを
期待するのが当然だと、私も当たり前だが思っている。
(2019/04/13)

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