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成り条件則変化。平安小将棋をどう変えた(長さん)

前に述べたように、二中歴の将棋は、平安小将棋も平安
大将棋も、相手陣に入った所で成れるだけの、ワンチャ
ンス成りルールだったとみられる。しかし、このルール
だと、不成りも選択できるとすれば、駒によっては、相
手陣奥で、身動き取れなくなる。そこで、持ち駒ルール
が西暦1300年前後に、平安小将棋についてだけ、発
生するとまもなく、ワンチャンス成りは現日本将棋の、
”その駒着手毎回自由成り型”へと変わったと見られる。
それによって、平安小将棋の人気は上昇したと考えられ
るが、今回は、その変化と理由について議論する。
 結果を述べる。
 8×8升目型が残存していたとみられるが、見栄え以
外で大差は無く、これについて変化はほとんど無かった。
9×9升目36枚制の標準平安小将棋は、旦代の難点が、
半歩改善されたので、まともな将棋類が他に無ければ、

我慢して、指される程度にまでなった。

 では、以上について、以下に説明を加える。
 8×8升目の原始平安小将棋の持ち駒有りタイプにつ
いては、将棋は変わってしまうが”スローな日本将棋”
のイメージに、差は無かったとみられる。学会でもマイ
ナーなこの将棋についての議論は、面白いと感じる方が
少ないだろうから、この位にする。
 問題は、皇族の標準将棋だったと出土駒王将分布から
本ブログの推定する、今の日本将棋から、飛車角を除い
た、持ち駒ルールの標準的な平安小将棋で、実際の将棋
試合の駒落ちと違い、平手で指す場合であろう。
 こちらについては、旦代型に行き詰まると、どうしよ
うもなかった将棋に、多少の薄日が差してきたようだ。
 所で、本ブログに於いて、旦代の難点というのは、つ
まりは以下の写真を、仮想的な初期配列とする、将棋が
成立するのかという、意味である。

旦代初期配列.gif

 写真でこのケースはここから、持ち駒ルールの有る、
通常の日本の将棋を、改めて指そうとしているという
意である。成書、持駒使用の謎(木村義徳、日本将棋連
盟)を参酌すると、どう攻めても、攻め側の駒損が、解
消されるような手が見当たらないため、

先攻め側に、有効な手が存在しないと見られる局面

とされると、本ブログではみなしている。
 そのため、このような局面に到達する事の出来る、
9升目36枚制の標準型の平安小将棋は、持ち駒ルール
にしたとしても、ゲームとしての難が残るという点で、
旦代の難点は、解消されないという言い方がされると、
少なくとも本ブログでは、理解している。
 それでも最もマシなのは、上から、桂馬損覚悟で攻め
る手と、私には思われる。つまり、以下▲2五歩、△同
歩、▲同桂、△同桂、▲2六銀、△2四銀と指したとす
ると、当然以下の写真のようになると見られる。

歩歩桂桂銀銀.gif

局面、無理攻めを開始した先手の桂損であるが、文字通
り”先手の得”は有る。ここで、先手の持ち駒に歩兵が
有るので、普通なら、▲2三歩と歩の打ち込みの手が、
自明に有る。が、西暦1320年前後までは相手陣内に、
後戻りの出来ない駒を打ってしまうと、

成れないルール

だったはずである。だから、この局面で

▲2三歩は成立しなかったとみられる。

ところが、陣奥で後戻りできない駒が、身動きできない
のが見苦しかったため、西暦1320年頃に、
成りの条件則が、ワンチャンス成りから、駒着手毎回
自由成り型に変化したと考える。すると、▲2三歩は、
一応意味が有る手として、遊びの将棋程度では、指され
るようになったとみられる。
 むろん、後手にも△2七歩打等が有るから、ヘボい手
ではあるが。一応、手が発生したという意味では、平安
小将棋についての、

問題解決への半歩前進

ではあったのだろう。そのため、
普通唱導集時代の1290年型普通唱導集大将棋(仮説)
に、自明定跡の問題が発生して、上級者の中で、指され
なくなると、上級者も敵が攻めてきたときには、将棋盤
を盾代わりに出来る事も考慮に入れた上で、平安小将棋
の9升目盤は、鎌倉時代末期、太平記の11に筑紫合戦
に記載が有り、その中に出てくる、九州の豪族少弐氏の
統領のものとみられる将棋盤の例に有るように、

少弐直資の身近に置く程度には普及したのかもしれない。

 ただ実際にはこの後で、中将棋という面白いゲームが、
しばらくして出来ると、そちらに人気が流れてしまう程
度ではあったのだろう。しかし鎌倉末期のこの時代の時
点で、小将棋類が、やがて日本将棋へ進化して行く着実
な歩みは、引き続き起こっていたとは言えるのではない
かと、結論できるように私には思える。(2019/04/30)

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