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今小路西鎌倉市福祉センター中将棋木札を習字した(長さん)

前に述べたように、目下、中将棋の史料で古い順に
挙げると、目下次のようになる。
(1)尊経閣文庫蔵二巻物色葉字類抄”き”雑物等
の中将棋記載(12世紀中ば)
(2)今小路西鎌倉市福祉センター中将棋木札
(鎌倉時代末から南北朝時代。14世紀)
(3)遊学往来(大将棊・中将棊)(南北朝時代。
14世紀)
(4)花営三代記。”足利義持奔王出して勝ち将棋”
(室町時代。15世紀)
 従来は、(3)が最も古いとされたが、写書時の
加筆の程度の判断が難しく、(4)を確実と見る
空気も、中将棋の棋士の間では強かった。
 現在は、色葉字類抄二巻物の記載がダントツ一位
である。
 ただしこのケースは、後続の三巻物に、将棋駒の
記載らしいものが、まだ見つかっていない。その事
から成立が、写書された、14世紀初期以降とすべ
きとの情報が、八木書店発行本の解題部に、示唆さ
れているように見える等、混沌としている。写書の
1回目なら(1)と(2)が近い線で、
(1)が少し早くなるが、2回目の写書時の加筆だ
と、
(4)とほぼ同率にまで、後退を余儀なくされる。
特に本ブログのように、
銀将の添え字の金と、香車の添え字の金今の取り合
わせが近世以降の作駒風であるという説が正しいと、

(1)が戦国時代末期の16世紀中まで一気に後退

してしまう。
 外れていれば良いがと、主張している本人も思う
のだが、はたして今後どうなる事であろうか。
 つまり、チャトランガの二人制が先か、四人制が
先かという論争の、バールフトの彫刻といっしょで、
このケースは、最古とされる史料の年代が不安定で、
話がひっくり返る可能性が、まだあるのである。
 更に言うと、2位の(2)が一位に浮上する可能
性が有り得るので、(2)は大切だが、それ以上に
(3)にも、繰り返すと写書時の加筆の疑いがあり、
江戸時代まで(3)が後退してしまう恐れが、中将
棋の研究家等で知られる岡野伸氏により、かなり前
から示唆されている。
 (3)の不確定性について、以前は個人的には楽
観視していた。が、群書解題の石川謙氏の、
”遊学往来は、そもそもが異制庭訓往来の、大幅加
筆本”という説を読んでからは、中将棋の記載箇所
の日付で、たしか5月7日と6日が、ひっくり返っ
ていた事を思い出して、私もかなり心配になってき
た。
 何れにしても(1)と(3)がコケてしまうと、
(2)の価値は更に大きくなる。
 そこで、最近私は、細書きの筆ペンで、(2)の
文字を写す練習をし出した。先入観で、将棋のルー
ルが記載されているように、間違って読んで居無い
か、念には念を入れて、更にチェックする為である。
 なお(2)の写しは、成書を手本にするだけであ
る。と言うのも、鎌倉市で30年程度前に行った、
遺跡の発掘調査結果展示会の終了直後に、現物が盗
難に会い、現在は見当たらないとされるからである。
だから、誰が複製の作成を試みようとしても、とり
あえずは、平凡社(1989)の、
”よみがえる中世3 武士の都鎌倉”221ページ
の写真を写すだけである。なお実物は、名刺大の大
きさだとの事だ。

白犬中将棋写し.gif

以上の写真の字は、書の写しを、私がやり始めたば
かりなので、この書写はかなり未熟である。
 本ではなくて、2~3行の木札の字を写している
だけなので、この程度の努力なら、私にも出来そう
である。もう少し書道に力を入れて練習に励み、そ
のうち、模型でも作ってみようかとも考えている。
(2019/05/06)

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