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シャッツロンの斜め取りしない兵は何処から来たか(長さん)

カンボジアでは、シャッツロンという象棋類
が指されている。9路型が近世には8路型に
なったと聞いている。ルールは独自性がやや
強く、イスラムシャトランジ群のひとつだが、
大臣駒の動かし方が、微妙に違う。また、
表題にあるように、

兵が日本の将棋の歩兵型の動きをする。

今回は、最後の点を論題とし、

恐らく、中国シャンチーの影響だろう

と結論する。
 カンボジアのシャッツロンのルールについ
ては、web上に余り無く、将棋天国社の
改定世界の将棋(梅林勲、岡野伸)が、今の
所唯一の情報源である。
 王と大臣駒、象、馬、車駒一段配列。
3段目が兵で、兵は中央ライン越えで相手陣
四段目(恐らく)大臣成りだという点は、
マークルックや日本の原始平安小将棋と
類似であるとみられる。成りが更に1段早い
が、シャンチーと関連性が有りそうだ。
 駒の動かし方ルールは、世界の将棋による
と次の通りとなっている。
 王は八方歩み、馬は八方桂馬、車は飛車な
ので、シャトランジ型だ。兵は日本の歩兵で
あり、相手駒を前1升目で取るのが、特徴的
である。
 大臣と象は変わっていて、次の通り。
 大臣駒は猫叉の斜め歩みの動きだが、後方
で相手駒が取れないという。
 象は八方歩みで、前方計3升でだけ、相手
駒が取れる。

理由を推定するのは困難であるが、象は銀将
動きが元で、引き分けを少なくするため、
やや強く、カンボジア内で調整した

との心象を持つ。猫叉の後方取りは、実戦で
は余り出てこないので、これも、単なるカン
ボジアでの調整と考えて、矛盾はあるまい。
 そこで、本題の兵の歩兵化の理由を考える。
本ブログでは、日本の平安小将棋の歩兵の
非ポーン化は、

どこで起こったのか、はっきりしない

と今の所見ている。カンボジアシャッツロン
に関しても、だから確定は困難だろう。
 ただし、シャッツロンの場合、明らかに、
中国シャンチーの影響で一時、兵が4段目化、
線置き化しているので、斜め動きが、その時
代に消失したと考えても、今の所大きな矛盾
は無いと見られる。

 この程度の理由だが、今の所、9路化した
ときに、シャッツロンのポーン型の兵が、
タイのマークルックと違って、歩兵型に変化
した

のかもしれない。なお、兵のルールが変わる
と、序盤の攻め筋は大きく変わるが、それだ
けの理由で、変化の経緯を特定するのも、困
難だろう。なぜなら元々、小型の将棋類は、
さほど複雑なゲームという訳でもないので、
プレーヤーの世代が代われば、流行り廃れで
比較的容易に、ひっくり返る程度のものだっ
ただろうからだ。
 そもそも、シャッツロンの場合、

動かすときと、相手駒を取る時とで、動きを
同じにしようとしていない。

つまり、兵は同じになったが、別の国の象棋・
将棋と違い、大臣と象は、むしろ、独自に差
を付けるようになっているのである。
全体としてカンボジアのシャッツロンと、
タイのマークルック等との差が、近世の調整
のためであるように、少なくとも見えるのは、
その為のような気がする。
 よって、カンボジアのシャッツロンの兵の
非ポーン化は、恐らく中国起源で、時期は比
較的最近。日本の平安小将棋の非ポーン化は、
原産地での調整または、日本国内の調整であっ
てかなり古く、起源は

別々である

と、今の所私は考えている。(2019/09/13)

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