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あい嚢鈔”玉・王溶け合い説明”は不整合文脈(長さん)

本ブログでは、表題のあい嚢鈔”玉・王溶け
合い説明”(西暦1446年成立)は、これ
まで

無視して来た。

今回は、無視して来た理由と、正当かを問題
にする。結論から書く。

正当とみられる。

無視したのは、国の概念が無いからとの増川
宏一氏の将棋Ⅰ(1977)によったからで
あるが、これは

失当だった

とみられる。では、論を開始する。先行文献
として、増川宏一氏の法制大学出版局、将棋
Ⅰは、以下のようになっている。

「両王イマサン事ヲ忌ミテ、必ず一方ヲ玉ト
書ク」(西暦1446年撰の「あい嚢鈔」)
とされていて、このいい伝えは「寝覚硯」
や「萩原随筆」にも引用されているが、実際
にはまぎらわしいので区別したと考えられる。
 江戸時代初期に将棋所がつくられて、上覧
の将棋の報告書は初代宗桂より四代目宗桂ま
では王将の駒は対局した双方ともに<玉将>
とされていたが、五代目大橋宗桂以降、まぎ
らわしいために一方を<王将>もう一方を
<玉将>としたのが真実であろうし、<国に
二王>あるを忌むという概念、というより
<国>そのものの概念が中世初期に一般に
あったかどうかは疑問である。

上記将棋Ⅰ(1977)であるが、鎌倉時代
の中期、モンゴル帝国来襲のときに、亀山天
皇が、敵国降伏という書を書いている。敵国
という単語を認識していたと言う事は、

国という概念が、有ったと考えられる。

だから、将棋Ⅰの説明は、正当でないと私は
思う。つまり”西暦1446年撰「あい嚢鈔」”
に、それより後世の加筆者が存在するとすれ
ば、その点でボロを出しては居無い。
 そこで、国会図書館のデジタル書籍を、最
近私も、チェックしてみた。すると、以下の
事実が明らかとなった。

あい嚢鈔の第2冊/15冊(西暦1646年)
の項目番号38の後に、字型の似た漢字を
ペアで書いた、色葉字類抄を思わせる、漢字
リストがある

ようである。なお「将棋駒に玉と王が有るの
はなぜか」は、

その直前の段落番号37に記載

されている。つまり、

少なくとも私には”あい嚢鈔”が”色葉字類抄
解説本”と、混合してしまっていて、意味の良
く判らない、漢字のリスト部に、記載が近い

と言う事である。
 そこで、その周辺をよく見てみると、次の
事が判った。
項目番号35、37、38以外は、”このよう
に言い回しが行われるのはなぜなのか”という
問い形式で、同類古文書の、塵袋調である。
それに対し、項目番号で第2分冊の

35は、漢字の使い方で、”充て字”とは何か。
37は、玉駒に点の有るのと、無いのがあるの
はなぜか。
38は、土と言う字に点を打つものと、打たな
いものが、あるのは何故か。
その後、棒が1つ有るか無いか等で、別の字に
なる等の漢字例が、書き方のスタイルに関して、
色葉字類抄を連想させるような、漢字のリスト
が多数示されている。
なお、第2分冊は、項目名38で終了する。
以上の事から、

以上、江戸初期本の第2冊/15の第2冊の
終末部分の、35、37、38の3項目は、

”塵袋に似た『あい嚢鈔』”というイメージ
から、ほど遠いと結論される。

 元々この部分は西暦1446年より後世の、
いわゆる代表的辞書類

”色葉字類抄”の、見方の理解のための凡例の
ような働きの、別の文書の内容が混入

しているのではないか。なお、尊経閣文庫蔵の
八木書店(西暦2000年)発行、二巻物の
色葉字類抄の1分冊/4冊の奥書にだけ、

大将基馬名と小将碁馬名将棋駒名リストがあり、

前者の玉駒が玉将、後者の玉駒が王将となって
いて違う点については、以前に本ブログでも述
べた。また、”中将棋駒名”だとみられる、
尊敬閣文庫蔵二巻物の、色葉字類抄の本文中、
”き(木)”の玉駒は、”玉将”とバラバラで
ある。そして、

これら3つの部分が西暦1565年成立である

というのが、本ブログの主張である。
 つまり、慶長書写本を作成するときに、将棋
の玉駒が、色葉字類抄でバラバラなのはどうなっ
ているのかと”あい嚢鈔”慶長本作成者が、他
人から、かつて問われた記憶が有った。そこで、
写書のときに、項目名2-37を新たに作り、
日本将棋の玉駒は、玉将と王将1枚づつである
べきだと予め決め付けた上で、事の次第を説明
をしたとも、解釈できる部分という意味である。
 だから、

 第2冊の段落番号35、37、38は、
西暦1446年より後の、後世加筆ではないか。

以上の点が、少なくとも私には疑われた。
つまり成立が新しいとすると、概ね

”将棋の王将と玉将とはなぜ1枚づつ有るのか”
の作文は、安土桃山時代から江戸時代にかけて
の、慶長年間程度に成立した疑いもある

と、以上の点から私は、個人的には考える。
 よって、理由は以前とは取り替えようと思う
が。王と玉の溶け合いの問題に関し、本ブログ
では以降も、”あい嚢鈔”の将棋の王将、玉将
説明は、参考にしないという考えで、行きたい
と思っている。(2019/11/23)

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