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ミャンマーシットゥイン自由陣形起源インドか(長さん)

増川宏一氏書、ものと人間の文化史134
遊戯・その歴史と研究の歩み(2006)
の248ページに、アンドレアス=
ボックラーミンクの”インドのチェスと
関連した盤上遊戯の文献資料”(1995)
の紹介があり”ミャンマーのシットゥイン
の自由陣形ルールは、インド起源か”とい
う増川氏のコメントがある。今回はこれも
有り得る話だという観点から、内容を紹介
すると共に、簡単にコメントしたい。
増川氏の前記著書に次のように書いてある。
引用:
16世紀のインドのチェスの一種は、事前
に5段目まで、互いに陣形を整えてから競
技を開始する方法があったことを紹介して
いる。今日まで続いているビルマの将棋の
原型であろう。(以上引用)
 結論から述べると、
アノーヤター王の頃に成立したはずの、
ミャンマーシットゥインが16世紀のゲー
ムから、分岐するとは考えにくい。
 だから最近まで、この成書のこの記載は、
解読不能と感じられた。つまり

インドで成立した年代は、もっと古い

と考えなければ、つじつまが合いにくい。

しかし、自由配置は13世紀にも存在した
と考えさえすれば、

余りおかしくない話だ

と、その後、思うようになった。
 つまりインド人は、駒の動きのルールは、
思想的ではなく、写実的であるべきだと考
えやすい民族であろう。だから駒の動きを、
彼らの感覚からみて不自然に、強く変える
以前に、

王を高上げして、攻撃に参加させ、バラン
スが悪いのを、緩和する事を最初に考えて
もおかしくない。

よって、ミャンマーのシットゥインのルー
ルのすべてが、バガンで考えたとも、言い
切れないのかもしれない。
 そう考えると、成立した年代の推定が
おかしいものの、

インドで先に、自由配置ルールが考えられ

て、ミャンマー等で取り入れられたが、
インド本国自体では、不充分と見られて永
続せずに、今に残らず、残ったのは定形型、
今に残るインド二人制チャトランガ(象・
馬・車が、銀将、八方桂、飛車型で、配置
は中央王、副官、象、馬、車、二段目ポー
ンで、相手陣対応駒ポーン成りルール)だ
けだったのかもしれない。
 なおインドには、ミャンマー・古シットゥ
インの、兵の左3段右4段の高上げ位は、
情報として伝わっていたと考えられる。
 更にインドが、イギリスの植民地化した
とき西洋チェスに、移行をし始めたので、
”今に残るインド2人制チャトランガ”の
ディフェンス過多は、結論的に言うと、
置き去りにされ、放置された結果残存した
のであろう。
 成立が16世記ではなくて、13世紀で
あり、記録としては16世紀のものにも有
るというのなら、自由配列はインドが起源、
その後、モンゴル帝国に攻められ衰退しつ
つあるバガンのミャンマーに伝来したでも、
余り、おかしくないのかもしれないと思う。
(2020/02/09)

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Monozuki

先日コメントを投稿したMonozukiです。少しお役に立てたようで嬉しく思います。
前回は、ボックラーミング博士による「マーナソーラーサ」のチェスに関する部分のドイツ語翻訳・解説の論文についてご紹介しました。ただ、貴ブログでご紹介のあった増川氏の「遊戯」(2006)の記載内容も気になりましたので、少し調べてみました。
この論文は、The Literary Sources of Indian Chess And Related Board Gamesという表題で、インターネットでも読むことができます。(http://history.chess.free.fr/library.htm )
論文は「マーナソーラーサ」第5部の634~712のバックギャモンの記述は盤や駒の大きさや形態についても語っており、チェスの記載よりももっと興味深いくらいだ、と博士は述べています。またこの論文は「マーナソーラーサ」以降の盤上遊戯文献の紹介しています。その中に16世紀の「ハリハラチャトゥランガ」という14x14の大型チェスが紹介されています。そして、この大型チェスは駒が32x2=64枚で、2人が互いに好みの陣型を選んで対局が始まる、とされているようです。増川氏の「遊戯」はこの大型チェスのことを述べている可能性もあると思いました。興味深い資料ですので、一度お読みになってみてはいかがでしょうか。
by Monozuki (2020-02-14 12:25) 

df233285

Monozuki様、たいへん貴重な情報の御提供、誠に感謝
致します。さっそく確認し、レポートするようにします。(長)

by df233285 (2020-02-15 06:43) 

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