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奈良時代正倉院沈香木画双六局は将棋盤で無い(長さん)

本ブログでも、将棋の伝来が奈良時代では
無いとの立場を取る。ところで奈良東大寺
正倉院に、用途不明の遊戯盤が存在する。
表題の、沈香木画双六局である。双六盤の
ように、2列に12ずつの升目があるわけ
でもなく、囲碁のように19路の線がある
わけでもない。3×5の15升目に、面積
のせまい、20のヘリ升目があり、とりあ
えず、15升目の日高駒よりも更に大きな

規格外に大きな将棋駒を使う、駒数少数型
の将棋盤のように見えなくも無い。

奈良時代に、将棋の類が有ったとしたら、
定説は大きく覆る。が、将棋駒を使う将棋
盤ではないという証拠が、具体的に何か有
って、否定できるのかどうかを今回は論題
とする。回答を書く。

将棋盤では無いとみられる。

根拠は、角の花形紋に接続された短線が斜
めであり、駒が奇数角形の駒で無く、具体
的には

8の倍数角形ないしは円柱であり、五角形
将棋駒は使わないゲームと推定されるから

である。
 では、論を開始する。
このゲーム盤が奈良時代の成立であるのは、
今の所、同系統の正倉院の宝物から見て、
そう考えるしか無いだろう。だから、将棋
盤の類だとすると、伝来時期が大きく遡っ
てしまい、定説は完全に覆る。
 そこで、この遊戯盤の模様を観察すると、

周囲補助升目の花形紋に短線が付いている。

問題は、そのうちの角の花形紋であり、下
の部分拡大図のように斜めに書かれている。

沈香木画双六局.gif

この事から、使用する駒は奇数角形の、そ
れ自身で方向が判る形の物ではないと推定
できる。花形紋に短線を描かないと、駒の
向きが判らないような、形態の駒を使用す
る遊戯用と考えるのが自然である。
 また、短線の向きが盤の端線に垂直な
ものもあり、角以外で垂直。また、升目自
体が四角であるから、駒は一例で、

正多角柱で8の整数倍か、円柱

のはずである。なぜなら、45°回転させ
ても支障が無いから、短線方向が盤縁線に
垂直なものと、そこから45°回転したも
のの、2種類があるとみられるからである。
よって、このゲーム盤は、

推定される駒の形から、少なくとも現在の
形の五角形駒を使う、日本の将棋の系統に
使う遊戯盤では無い

事が判る。
 以上で証明は済んだが、この盤が何なの
か、一応の推定はしてみよう。

たぶんだが、一種の弾碁の盤で、このケー
スは、相手の駒に当ててはいけないような、
特殊なルールのもの

であろう。ルールは盤双六を、混ぜたよう
なものなのかもしれない。
 最初に、8枚づつ双六の駒を持ち、花形
紋の所で、長方形の部分に2個、四隅に
1個づつ初期配列するのではなかろうか。
陣地は、中央3升目が中間段であり、残り
の2列6大升目を、プレーヤーが左右どち
らかずつ持つのだろう。四つ角の花形紋の
短線の両方に2つずつ、花形紋が余分に有
るのは、四つ角に駒を置くと、方向短線が
隠れてしまうのを、補うつもりなのだろう。
 ゲームは駒を指で弾いて進め、ラインに
乗ったら面積の大きい方へ、入れなおして
整頓して良いのだろう。ただし最初だけ、
弾く方向が、短線方向と決められているの
かもしれない。
 また弾いて他の駒をその升目の外へ出し
てしまった場合は、普通の弾碁とは逆に、
ヘリの出発点に、戻されてしまうのだろう。
他と干渉せずに、別の升目に弾けたときだ
け、升目を移動できる。このとき、自分の
駒だけの升目か、相手の駒が1枚しかいな
いか、駒の無い升目ならば移動でき、相手
の駒が2枚以上の所へ、間違って入れた場
合も、ヘリ升目へ戻されてしまうのだろう。
落下したり、中央15大升目以外へ入って
しまった場合も、振り出しに戻りだろう。
なお一つの升目には、4個程度しか駒は、
入らないとみられる。以上のエラーのケー
スは、スタート地点5箇所のうち、空いて
いれば、自分で出戻り先を決めてよいと見
られる。
 ただし、相手の駒が一枚だけの升目へ、
移動できた場合は、相手の駒を相手陣の縁
升目のどこか、自分に好きな所へ押し込む
事ができるのだろう。囲碁と違い、初期縁
升目に駒が残っている場合でも、升目数が
双六盤より少ないため、差別しても無駄だ
から、どの駒も弾いて動かせるのだろう。
 そして、それを互いに繰り返し、相手の
陣地の6升目のどれかへ、自分の8枚の駒
を全部移動できたら、そのプレーヤーの勝
ち、かつ形勢差によりさらに、ブレミヤが
付くというゲームなのではないだろうか。
 一般に弾碁の盤は、双六盤に逆L型の足
が付いていて、中央が盛り上がったものが
よく知られている。弾碁盤は双六盤に似て
いるわけであるから、恐らくこの正倉院の
ゲーム盤も、その類の可能性が大きいよう
に私には思える。(2020/02/14)

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