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なぜマダガスカル象棋サマントシィの馬16方跳び(長さん)

イスラムシャトランジの色を濃く残す近世の
象棋に、アフリカマダガスカル島の象棋の、
古形サマントシィがある。駒の動かし方ルー
ルは現在、西洋チェス化しているとの旨が
世界の将棋に出ている。が、古くはイスラム
シャトランジ型の動きだったと同書に記載さ
れる。ところがその中で馬の駒だけが、八方
桂の動きに加えて、跳ぶ飛龍と跳ぶ猛牛の動
きを加えた、16方向動きになっているとい
う。このような動きのルールは、20世紀の
アメリカの駒多数チェスにあると言われるが、

馬を取り替えたと判る例は無い。

そこで今回はマダガスカルの、イスラムシャ
トランジ型象棋の時代のゲームの馬が、16
方向動きなのは、どうしてかと、それから何
が判るのかを、論題とする。回答から書く。

外国文献を現地人が読んで広めたゲーム

てかつ、文献の表現が曖昧なのでそうなった。
そしてこの事からは、

中国の宝応将棋の天馬が”3尺飛ぶ”と玄怪録
に書かれていても、八方桂や桂馬の動きの事だ
と、疑って良い事を示している

と考えられる。
 では論を開始する。
 梅林勲氏と岡野伸氏共著の、『世界の将棋』
(改訂版)将棋天国社、西暦2000年の66
ページによると、アフリカ、マダガスカル島の
象棋、古形サマントシィの、駒と動かし方ルー
ルは、以下の通りとの事である。
王:八方歩み
大臣→皇太子:猫叉
象→銃:跳ぶ飛龍
馬:16方1升目先跳び。八方桂馬+跳ぶ飛龍+
跳ぶ猛牛
戦車→鳥:飛車。ただし、隣接縦横升目に他の
駒が居る場合、その障害物を跳んでから、その
先は走るとの説がある。
兵→子供:ポーンの動き。ただし初手1升動の
み。最奥段で、インド型の相手初期配列駒に
成るが、ただし王位置では世界の将棋に明確な
記載は無いものの、恐らくは皇太子に成るとい
うルールとみられる。
 以上の事から、この象棋は、

イスラムシャトランジではなくて”世界の将棋
のインド2人制チャトランガ”である

事が判る。
 馬のルールについては、近代に入ってインド
近世象棋の文献が、現地にもたらされて、その
文献を読んで普及したと考えるのが、尤もらし
いとみられる。理由は、

マダガスカルとインド間は、イスラム世界より
も遠い

からである。インドの将棋文化のチャトランガ
が著名という説は近世、18世紀以降になると
よく知られたから、インドの将棋文献は、将棋文
献の中では、マダガスカルでは一番伝来しやす
かったのだろう。
 馬駒の動きが、

”3つ目の升目へ跳ぶ”と表現されるのは将棋
の古文書に関して良く聞く話

である。だから、

文献だけ読んで、インドの象棋をマダガスカル
で始めたとすれば、馬が16方向跳びになるの
は、少なくとも有り得る話

なのではないか。よって、少なくとも原因とし
て、マダガスカルでは象棋・将棋は、文献によ
る文化の伝来だったのではないかとは、一応疑
うべきだと私は思う。
 そして、このような例が有るという事は、古
来より、桂馬跳び動きが3升目先跳びとか、
3尺跳んで行くとか、表現されることがまま有っ
たと言うことであろう。だからたとえば、

玄怪録岑順/小人の戦争の天馬の記載も、見か
け、力士の斜め跳びのような書き方であっても、
実際には桂馬跳びだったのではないかと疑うべ
きである事を示している

のではないか。以上のように私はマダガスカル
の象棋のルールからは、推定するのである。
(2020/04/21)

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