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月の黄経不等の第4項、年差の周期は何故長い(長さん)

以前、囲碁の日本での立ち上がりと関連して、儀鳳暦
の”ツイタチ”決定の為の朔瞬間を計算する天体力学
上の、”月の黄経に関する不等”を議論した。その際、
第3項の二均差までは、奈良-長安間の月黄径の時差
誤差の0°.5よりも大きいが、第4項の年差は、
0°.19程度であり、これより小さいので無視、
しえるとの旨を本ブログで述べた。しかしながら、

この第4項には、周期が365.26日と跳びぬけて
長いという謎がある。

すなわち第1項の中心差が近点月の27.5546日、
第2項の出差が朔望月から朔望月近点月差を逆外挿し
た31.8日。第3項の二均差が朔望月である
29.53059日の1/2の14.76530日。
第10項の月角差が、29.53059日(朔望月)で
ある。振幅は記載を繰り返すと、中心差が6.29、
出差が1.27、二均差が0.66、年差が0.19、
月角差が0.03の、それぞれ角度の度である。
間違いかと思ったので、何点か成書をあたったが、
間違い無さそうであった。そもそも、太陽地球間距離
が変わると第2項の出差が変動しそうであり、周期は

朔望月+(朔望月-近点月)

であるから、近点月や朔望月と年差が関係してもよさ
そうなものだ。特異な状況と見て、追加で理由を調査
してみた。が、結論を述べると、よく判らなかった。
なお、長沢工氏の”日の出日の入りの計算”に
海上保安庁の黄経不等の計数表が載っていて、
第4項の年差よりもかなり小さく、振幅0°.06
程度で第7位になるようだが、出差の地球軌道扁平
の影響と見られる、出差と周期の近似している項が
あるようだ。

長沢氏日の出日の入り.gif

以前のシミュレーションの状況から、太陽が近づくま
たは遠ざかると月の軌道が、わずかに拡大収縮して、
全体として公転周期が近点年の365.26日で、
フラツイていて、何れにしても何か、

その誤差が第4項年差として見えているのではないか

と疑われた。では、論を続ける。
 月の黄経不等に関しては、以前述べた古在由秀氏
執筆の恒星社、1979年”月と小惑星”だけでなく、
荒木俊馬氏執筆の”現代天文学事典”、1971年
恒星社の”第33章 太陰理論”も読み返してみた。
 後者で式の展開の途中で、出差と年差がくっつけて
あるので、何か関連性が有りそうだが。”セクション
442の黄経の時間による表現”は、さいしょの方
が、私には良く判らず、その後を読んでも年差の周期
の謎は解けない。
 結局、以前シミュレーションしたときの様子から
判断して、公転周期が月の黄経不等の第4項の年差が
ある場合と無い場合とで4~5ヶ月間位、”系統的に、
黄経がズレるのだろう”と、想像するより仕方ない
との結論になった。
 地球の公転軌道の離心率が0.017程度と小さい
ので、太陽がその分接近したり離れたりしたときに、
黄経不等のサインカーブに生じる、第2項の出差によ
る”唸り”の状態の変化が、現われそうなものだが。
結果には大きくは現われずに、月の軌道が相対的に、
太陽の作用がわずかに変化する事で、膨らんだり縮ん
だりして公転周期が変動して、黄経に僅かな系統差が
出た状況だけ、年差として見えているのではないかと、
疑う事にしたと言う事である。
 尤も月の軌道の近地点は、前後に揺れながら、全体
として年に40°程度も前進している。だから、その

大局的前進の、1/200程度が振動して見えても、
地球の公転軌道に約1/60程度の離心率があり、
1/20程度、太陽潮汐摂動力が年変動するとみられ
る場合には、特に不思議も無い

のかもしれない。
 ちなみに、荒木俊馬氏の説明を読んで、私は気が
ついたのだが、e=(4/3)×m、ただしeは、月の
離心率、mは太陽と月の平均日運動角比が、
だいたい成り立つのが、私には不思議に見えた。
このため中心差の振幅と、年差の振幅の比が、2×e’
(ただし、e’は地球の公転軌道の離心率)に近い
のである。
 ここまで来ると、webの情報網も頼りになるとは、
私にはとても思えなかったので、web内を懸命には
調査しなかった。そこで少なくとも本ブログでは、月
の黄経不等の第4項”年差”の、周期が跳びぬけて長
いという謎については、以上のような解釈を、取りあ
えず、さしあたっては取る事にしようと決めたという
事である。(2020/05/24)

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