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新たな中将棋との接点「どうぶつしょうぎカフェ/深川いっぷく」(長さん)

 都内では千代田区の”奥野かるた店”に以前店頭にあった、
佐藤敬商店製の中将棋の盤駒が、”現在品切れで、受注
有り次第の、注文生産の状態”のようなため、関東圏に
於いて「中将棋がやりたければ、いつも」という状態に、
2016年12月の現時点では、残念ながらなっていない
ようだと、私は数回前のこのブログで指摘した。
 しかし、たいへん幸いな事に、元プロ女流将棋棋士で、
”どうぶつしょうぎ”の開発に参画、特に盤・駒のデザイン
部分の商業的な、ゲーム用具の製作での寄与の大きかった、
藤田麻衣子女流プロが、自身の会社、PIECOデザイン社
で今年7月立ち上げたどうぶつしょうぎ等のボードゲーム
カフェ

”どうぶつしょうぎカフェ/深川いっぷく”
 江東区白河(清澄橋通り旧道と見られる路沿いの商店街)
にて、今回、多数のボードゲーム用の備品の仲間に囲まれて、

中将棋道具は、この都内の場所に置いてくださる事になった

旨をまずは、ここでも報告する。
ちなみに直近、
藤田女流プロのツイッターでも、店に置かれた中将棋の
盤駒が写真入で紹介されている。

なお藤田女流プロのツイートにある写真の中将棋の盤駒は、
このブログの以前の画像と同一物品だが、盤が多少劣化して
いるので、藤田さんの方で、盤だけ升目線を、破線表示に
なるよう画像処理して、見てくれをきれいに掲載してくだ
さっていて、たいへん嬉しい。また藤田麻衣子女流プロは、
佐藤敬商店製の中将棋歩兵駒と、ほぼ同じ書体の日本将棋
の歩兵を所持されているが、「日本将棋の歩兵に比べて、
中将棋の、佐藤敬商店製の歩兵の成り金の崩し方が、
『成り香車』並で崩しが弱い」との、貴重な御指摘をして
くださった。
 ”と金”は、古文書でも出土駒でも、複数の崩し方がある
ようなのだが、この中将棋駒を作成した駒の書体作成の職人
の方に、中将棋の書体について、何らかの昔からの言い伝え
が、代々伝承されている可能性も、充分有り得ると思う。
ひょっとすると、貴重な情報が含まれているのかもしれない。
ありがたい御指摘である。
 なお、持ち駒ルールの無い駒数多数の日本の将棋では、
元駒を裏から推定する機能が不要になるので、成り金の書体
には一般に、より自由度が高まり、歴史の痕跡が残りやすい
と予想される。
 また、お伺いしたさい、藤田麻衣子女流プロの御知り合い
で、シャンチーの団体戦、日本代表の松野さんとその息子さ
んより、私もシャンチーの指し方について、たいへん丁寧に
御指導を、していただいた。そのとき得られた情報からは、
このブログで直近紹介している、新作ゲームのチェックをす
る際にも、たいへん有益な情報が、たくさん含まれていた。
この場を御借りし、御指導を賜った松野さん親子に、たいへ
ん感謝致す次第である。ちなみに、松野さんの息子さんから
対局中にいただいた、”シャンチーでは、炮で王手を掛ける
ために、跳び越え用の『飛び箱』役をする自駒を、一旦間升
目に運んでおく手を、自分で一手使って指すのが常套”とい
う、手筋に関する御指摘を頂いた。これはシャンチーを、
指した事が無い私にとっては、特に見逃しやすい手であり、
たくさんの有益な情報の中でも、順位付けを敢えてすると
すれば、第1級の知見であったように思えた。
 なお親父さんの松野さんは、私と同様、奥野かるた店で昔、
中将棋に接されているとの事だったので、複雑系ゲームの
古典である、中将棋もシャンチーの合間に是非御家族で、指
し込んで下さるよう、丁寧にお願いした。
更にあつかましくもこのブログで前に紹介した、88升目制
川中島将棋を、盤駒を用意し、私から簡単に説明する機会を、
運よく頂戴する事ができた。
ちなみに、このブログでは15行15列升目での、この将棋
のテスト結果だけを報告したが、

その後、14行15列で、より、シャンチーのパターンに
近づける、改善変更を行っている。なお改善後には兵駒が、
紹介したゲームでは9段目ではなくて、8段目で成るが、
その他は、このブログで紹介した通りのルールである。

 思えば最近、第2回叡王戦決勝3番勝負で、佐藤天彦将棋
プロ名人が2連勝し、来年春に将棋の名人対コンピュータ
頂上ソフトの対局が実現するという、大きなニュースが
あった。
これと”深川いっぷく・どうぶつしょうぎ等のボードゲー
ムカフェ”とを関連付けるとすれば、藤田麻衣子女流将棋
プロ棋士が開発に参画した、どうぶつしょうぎは、
日本将棋の持ち駒ルールを持つ、日本将棋以外の盤升目数の
将棋という、直近で私が何回か、このブログで展開している
ゲーム作成パターンの、普及型ゲームとして、草分け的存在
であった。
つまりこの動きでは、どうぶつ将棋がその端緒だった訳で
あるが、標準的な汎用ゲームを小規模化したり大規模化し
たりし、コンピュータ将棋におけるゲームの検索木を、さま
ざま量を変化させる事によって、コンピュータにとっても、
よりいろいろな、人間のチェス・将棋型ゲームに、切り込ん
で行けることになり、人工知能の研究者は、情報を増やして
ゆくことが可能になったと評価されよう。
 藤田女流プロのゲームカフェは、日本将棋の入門としての、
どうぶつしょうぎの拠点であると同時に、コンピュータに
よるAI技術の発達を助ける、研究題材の拡大にも、寄与
する、研究者と民衆の接点にも、なりえる、貴重な場所の
提供と言える。
 聞く所によると、9×10升目制のシャンチーは、日本
将棋のように持ち駒ルールが無いため、ほぼ今から10年
前の2006年前後に、人間の頂上、”大師”に、コン
ピュータソフトが、追いついたらしい。14×15升目
88枚制の、私の作成した川中島将棋の拡張試作ゲームは、
駒数で32枚のオリジナルシャンチーよりは明らかに複雑
になり、日本将棋よりも、更に少し複雑度が高いという
レベルになる。従って、たとえばこのゲームで、人間の試作
ゲーム大師に、コンピュータゲームソフトAIが追いつく
のは、技術が進歩して、2020年前後という計算になる
という具合かもしれない。このようにコンピュータと人間の、
抜きつ抜かれつのシーソーが、人間があきらめずに、ゲーム
を開発し、その種類数さえ増やせば、これからも、かなり
の後まで続くことが、当然予想されると私は思う。
シャンチーの方が、日本将棋より、同じパターンのゲームで、
盤升目の拡大は、少し、しやすいという事であるようなので、
中国本土でも、シャンチーの複雑化の試みが自然発生的に
起こって今後は発展し、AIの研究の進歩に寄与すると
すれば、これからはそれがとても良いことだと、私は
感じる。(2016/12/21)

6×6升目の中将棋的ゲーム(長さん)

 前々回の、各国チェス・将棋類の発展手法のまとめに
於いて、中将棋の盤升目適用性を「12升目と跳んで、
15~18升目」と表現した。これは、獅子に関する
特別則が存在する、獅子駒の”獅子的踊り”数が、
2踊り以下と、3踊り以下のケースに対応している。
しかし、自然数には1もあり、以下ここでは、「小獅」
と名づける踊り数が1以下であるから1たけの獅子駒
が存在する、6升目程度の、中将棋的ゲームは、はたし
て成立しえるのかを考えてみたので、結果を記す。

 ここで、中将棋的ゲームとは、獅子という動きの大きい
駒が存在するという点が特徴なのではなくて、
”獅子は互い取りが出来ない”という獅子に関する特別
な規則が有る為に、終盤まで獅子が1枚づつで残りやす
い、将棋ゲームの事である。

その獅子の作用で、余分な侍従小駒の駒余りの問題は、
中将棋の場合、解決され、発展したと考えられるのであ
る。
具体的にこのテストミニ将棋では、
6×6升目の一例として鯨将棋の盤を用い、2段自陣で、
次のように、駒を並べて開始した。以下は、相手陣を、
こちらから眺めた形で、示している。

一段目は右端から、飛車、桂馬、金将、玉将、桂馬、角行
二段目は右端から、歩兵、歩兵、小獅、歩兵、歩兵、歩兵

ここで、駒の動かし方は、小獅を除いて、日本将棋と
同じとする。そして、

小獅は、玉将と同じ動きとし、この駒は取られても勝負
には関係ない、玉駒ではなくて一般駒である。和将棋の
熊眼や、大局将棋の毒狼などの働きと、同じである。
敵陣2段目以降で、中将棋のルールで成り、成り駒は、
日本将棋と同じである。すなわち、元の位置の駒に書くと、

一段目は右端から、龍王、金将、不成、不成、金将、龍馬
二段目は右端から、と金、と金、不成、と金、と金、と金
である。なお、言うまでも無く、この将棋に「持ち駒ルー
ル」は、適用しない。駒は全部取り捨てである。

そして、ここで大切な事は、小獅にも「獅子に関する特別
な規則」形式の、禁手をこの将棋でも入れたことである。
すなわち、

①次の手で取り返される手があるとき、小獅を小獅で、
取る事ができない。(足の付いた、または、影足の付いた
獅子の規則)
②小獅以外の駒で、相手が自分の小獅を取った時、更に、
取り返す手が相手に有っても無くても、ただちには次の手
で、別の所に居て、相手の前の手では使われていない、相
手の小獅を、取り返す事ができない。ただし、▲を自分、
△を相手と仮にしたときに、△小獅取り、▲別の手、
△別の手、▲小獅取りと指すのは良い。(”強い”先獅子
の規則)

とした。
なお、この将棋では、小獅の2枚目以上が双方とも、発生
する可能性は無く、この6×6升目制将棋の小獅は、中将
棋の獅子と違い、隣接升目1歩しか動かせないので、付け
喰い、居喰いは無い。
 実際これでこの将棋を指してみると、中将棋より成り易い
のと、桂馬が走り駒に成らない、直ぐに太子に成ってしま
うので、酔象が入っていない、以上3点が少し中将棋と違
う感じがする。が小獅が適度に残って、たとえば8×8升
目金1枚づつ制の、私の言う、(原始)平安小将棋よりは、
小型の割には、少しましな、取り捨て型ゲームになるよう
な感じがした。
 よって、ひょっとすると、中将棋的改善ゲームの適用升目
は、先にのべた12升目付近と、15~18升目付近の、
2つの不連続領域だけでなく、6升目にも、跳んで存在し、
ひょっとすると全部で、3つの不連続領域に、分かれて存
在しているのかもしれないと結論された。(2016/12/20)

11×11升目の”幽”駒将棋(長さん)

 前回、一方に8枚づつ、玉の周辺でしか、駒の取ったり
取られたりをしない、特殊な駒”幽将”を導入した、摩訶
大大将棋のゲームとしての良し悪しに関する報告をした。
その結果19×19升目では、こうした”幽霊”駒の導入
は、有効である事が判ったが、多の大きさの升目ではどう
なのか、やはり疑問だったため、ここでは、11×11升
目の将棋ゲームを新たに作成し、”幽”駒の効果について、
テストしてみた。

ゲームは11×11升目盤の下段4段に、以下のように、
駒をびっしり並べて始める、88枚制の取り捨てで、獅子
の特別則も、成り条件の工夫も、特に無い、中将棋の成り
条件で駒が相手陣で成る、中将棋程度の将棋とした。
まず、駒の配列は、相手陣の相手左辺を見込む感じで、

一段目中央から、玉将、金将、銀将、幽炮、幽炮、香車
二段目中央から、酔象、麒麟、盲虎、横行、桂馬、反車
三段目中央から、奔王、龍王、龍馬、角行、竪行、飛車
四段目中央から、歩兵、歩兵、歩兵、歩兵、歩兵、歩兵

なお、右辺は二段目中央より2列目の麒麟が鳳凰に代わり、
五段目に仲人は、この将棋では全く置かない。
右側は、中央から反対向きに、ほぼ対称的に並べて、敵味
方で、合計88枚になる。
ここで、動かし方のルールは、幽炮を除いて、中将棋と
同様だが、幽炮は、前回の幽将の要領で、狙う相手により
ルールが変わる、主として取り合いの相手が金将、銀将に
なるような、幽霊駒である。
ただし、前回の幽将よりも、この幽霊駒は強く、従って、
別の名前を仮に付けている。すなわち、

幽炮は、飛車と同様、縦横に無制限走りである点で、
3升目までしか走れない、幽将とは異なるとした。

この調整は、19から11升目へ落ちると単なる「敵陣成り、
その後、敵陣で敵駒を取った時、次回の成り判断」という、
中将棋の成り条件則を、今回のように採用したとしても、
成り麒麟の獅子が出来やすくなるために、摩訶大大将棋に
比べて、この11×11升目将棋では、幽霊駒を、やや強く
調整する必要があるためである。
そのため、3升目迄の走りの幽将から、無制限の走り駒で
ある幽炮に変えている。なお、その他のルールは、幽将と
幽炮とで同じであり、たとえばよって、両方とも相手と、
切り合う駒が、相手玉周りの、25升目の駒だけである。
なお、幽炮自体は不成りとした。その他の成り駒は、中将
棋とほぼ同じだが、念のため元駒の位置に書くと、次の
ようにした。

一段目中央から、不成、飛車、竪行、不成、不成、白駒
二段目中央から、太子、獅子、飛鹿、奔猪、金将、鯨鯢
三段目中央から、不成、飛鷲、角鷹、龍馬、飛牛、龍王
四段目中央から、金将、同左、同左、同左、同左、同左

なお、麒麟に対応する鳳凰は奔王に成るとする。
ところで前回も、気が付いていたのだが、このタイプの
将棋では、幽炮が、典型的な走り駒になるため、幽炮対
幽炮の取り合いの関係で、ルールが多少ややこしい事に
なる。実際には元のルール則の原則を考えればほぼ判る
ようにも思えるが、一応記す。

①幽炮自体の相手駒の跳び越えは、だいたい出来ないが、
中間での幽炮同士の跳び越えは、自由に出来るとする。
以下も同理屈だが、幽炮自体も「幽炮に関しては特殊な
跳びに変形した走り駒」として、扱うためである。
②幽炮自体が、侍従駒として、玉の隣接2升目以内の、
最大24箇所のどこかに居るという、病的な陣の幽炮を、
一般の相手攻め駒は、通り抜けてしまい、奥に別の駒が
居れば、奥の方の別侍従駒を取る。
③②は、取り方の駒が、別の幽炮である場合、つまり、
幽炮対幽炮でも、攻め側の幽炮は、すり抜けて幽炮は取れ
ないで、多くの場合別の侍従駒を取る。すなわちこういう
ケースは、守り方の幽炮は、玉の守り駒としての役目を、
もともと、ほとんど果たしていない。
④③のケースで、逆に守り方の幽炮は、攻め方幽炮を、
取れないだけでなく、攻め方幽炮を玉の近くの今居る升目
からは、飛び越す手が指せない。手前で停止するだけであ
る。幽炮は、自分の玉近接2升目からは、相手の幽炮と、
切りあいできる”変形走り駒”なのではあるが、中間領域に
存在する相手幽炮は、通常の相手駒同様”壁駒”扱いに
なるのである。
⑤自陣の玉周り最大2升目離れの24升目の位置の幽炮同
士が、遠見で睨みあっている、別の病的なケースについて
は、今の場合と異なり、互いに相手の幽炮を、手番で、取
り合う事が出来る。
⑥自陣、相手陣の間で、たとえば一直線上に、自玉、自奔
王、敵幽炮、敵玉と並んで自奔王と敵幽炮が直射、敵玉と
敵幽炮の間が空升目のとき、自玉と自奔王とが2升目近以
内のときには、敵幽炮が敵玉の侍従駒の役割を、一応果た
している。しかし、次の自分の手で、自奔王が、少し前進
して、自玉との間が3升目以上に達すると、奔王は、敵幽
炮取りは無くなる代わりに、敵玉には効いて王手になる。
同時に、敵幽炮による、奔王取りも解消する。
⑦なお、踊り駒の途中幽炮取りも、普通の行き先升目での
幽炮取りと、制限は同じとした。このように、

ルールを書くと、”幽炮”の字がたくさん並ぶので、この
11×11升目88枚制中規模将棋は、”幽炮将棋”とで
も、名づけると良いかもしれない。

実際にこの”幽炮将棋”を指してみると、通常このタイプ
の将棋は、成り麒麟の獅子で、追いかけ詰みになるのが
普通なのだが、予想通り、成り麒麟の獅子と幽炮との連携
で、玉を追い詰める将棋になったので、目論見は成功のよ
うに思われた。よって、この手法によるゲーム改善方法で
も、単に侍従小駒を無くす方法と同じで、極端な盤升目の
制限は、余り無いようだ。ただしいかんせん、最終局面付
近で、手の合禁判断が、余りにややこしくなり過ぎる感は、
どうしても拭い切れないように思えた。(2016/12/19)

幽将入り摩訶大大将棋のテスト結果(長さん)

前回のべた、摩訶大大将棋への縦横3升目走り「幽将」駒
16枚の導入について、以下補足する。

結果としてこのやり方で、終盤の摩訶大大将棋に見られ
る、提婆、無明、金、銀、銅、酔象、盲虎等の駒余り感は、
完全に解消される事が判った。

多少、細かいテスト条件を補足すると、ゲームは基本的に、
wikipediaの摩訶大大将棋のルールで行い、桂馬
を桂馬跳び、夜叉を縦横5升目、斜め2升目の大駒とし、
獅子を早めに相討ちにさせるとともに、3段目の仏教駒は、
終盤に守りには、付かないようにした。大阪電気通信大学
のルールは、袖が獅子で荒らされるため、幽将はより少な
くて済む。逆に1枚しか元々無い夜叉が、大阪電気通信大
学ルールでは、守り駒として残るが、その効果は、駒数が
1枚だから、さほどではないとみられる。そこで全体とし
ては、幽将駒がより少なくても、大阪電気通信大学ルール
の方が今回の条件より詰みやすくなろう。そこで、今回の
条件でOKなら、大阪電気通信大学ルールの摩訶大(大)
将棋でも、恐らく問題は無いと思えた。
 なお、「取って成り、自陣・敵陣が無い」成り条件で、
幽将の枚数は、普通の日本将棋の敵陣成りよりも、幽将は
やや少なくて済む。
なお今回のテストは、
所詮一回ぽっきりの19×19升目盤のケースだけであっ
たので、他の大きさの升目への拡張についても次に、当然
考察せねばなるまい。
 以下予想だが。このやり方では、具体的に残る小駒の数
で、「幽霊駒」の数を調整するだけで、升目の形に余り依
存していないような印象を受ける。また更には、幽霊駒の
動かし方のルールも「縦横3升目走り」に、絶対にしなけ
ればならない、理由も特にない。そこで、幽霊駒である事
を変えない範囲で、任意に調整できる。よってこの「第5
の道」は、拡張性が結構あるような、印象だった。

ただし玉が頻繁に動くと、合禁領域が、めまぐるしく変化
するので、幽将ルールは結構、従うのがしちめんどくさい
ルールである。よってこのやり方のゲームが、一般的なも
のとして、発展する可能性があるのかどうかについては、
やや謎との印象も受けた。

それ以前に、歴代で、こんな駒の動かし方のルールを考え
た者が、実際あったかどうかも不明だが。ともあれ、この

「金、銀類の侍従駒とだけ相互作用する駒」

を考える人間が仮に、近世以前に居たとしたら、たとえば、
日本の素粒子物理学会に於いて、ニュートリノが、日本の
中世の時代に於いて既に、理論的に、存在が予想されてい
たという事が、ある位の驚きではないかとの感覚を、
私が得たのも確かな事であった。(2016/12/18)

5番目の解決法”幽将”駒の導入(長さん)

前回まてで、チャトランガ時代から有った、チェス・象棋類
ゲームの難点、”終盤まで余る、副官、象駒の低戦力感”が、
①チェスでは、小駒の排除
②日本将棋では持ち駒ルールの導入
③シャンチー等では九宮と銅将の動きの師/将の弱体化
④中将棋では、互い取りをしないで残る獅子の導入
で、それぞれ解決が試みられたと解析し、そうだとすれば、
盤升目数を変えた場合に、効果はどうなるのかを考察してき
た。
万能なのは、やはり最も安直に、”問題駒自体を無くす”と
いう、①の手法が、”初期陣の玉段とその上1段の駒密度を、
75%に下げる”という追加改善をしさえすれば、盤升目数
によらず、制限が少ないようであった。
 その他は方形の盤升目について、②は3~11升目、③は
7~17の奇数升目盤、④は12と跳んで15~18升目盤
の範囲で、限定的に有効な手段のように、私には思えた。
ちなみに以上のように、四通りも有るとなると、当然かもし
れないが、

第5以上の方法は有るのか?

が疑問に思えて来るのではなかろうか。ので、さっそく表題
の方法を考えてみた。
すなわち、

⑤終盤余る小駒とだけ相討ちになる専用の駒種を作る。

という、やり方である。その駒は、ここでは仮に”幽将”と
いう名前にしてみる。
ここで、幽将の”幽”は、幽霊の幽であり、簡単に言うと、

金将、銀将等の侍従小駒としか、取り合いをしないで、
他は通り抜けてしまう駒である。

つまり、侍従駒とほぼ同数の専用の相手駒を作り、これらは
この間だけで、互いに相討ちになってもらい、結果として、
侍従駒は余って残らないようにして、チェスと同じような
結果になるのを狙う。すなわちここで、

幽将の動きは、
縦横3升目までと、最大升目数に制限のある、走り駒であり、
着地は、通常の駒と違い、相手の駒を取って、その升目へ
進むことが出来ず、空いている升目でしか、普段はできな
い。ただし、これには次の例外がある。すなわち、相手の
玉と、玉から2歩の範囲で行ける、最大25升目の範囲の
相手の駒の居る升目へは進め、相手の玉から2升目以内の
駒や、玉将自身を取ることはできる。(太子が有る将棋に
ついては、玉将と同じ扱いとする。)

 また、この将棋では、全体として「走り駒」等の定義を、
次のように変更する。走り駒は、途中の駒を跳び越せない
が、自分と相手の「幽将」は、自由に飛び越せるとする。
だが、着地については、自分の「幽将」の地点で止まれない
のはもちろんの事、相手の「幽将」のところでも止まれない。
つまり、通常の位置の駒は、相手の幽将を取る事ができない。
ただ、幽霊のように、自分は素通りして向こうに抜けるだけ
である。(幽将の方は飛び越せないので、幽霊らしくないが。)
ただし、これにも例外があり、玉将から2升目以内の、玉近
位置に動かす前に居る走り駒等は、幽将の位置で着地でき、
幽将を取り除くことができる。ただし幽将を跳び越える等の
動きはできなくなる。なお、今、相手の駒が走りの場合に
ついて述べたが、跳び駒でも、踊り駒でも、実は小駒も同じ
理屈とする。そのため侍従小駒とだけ、多くの場合”幽将”
は討ち合いを演じることになる。
また、玉将には、普通の相手の駒のように扱えるものとする。

なお幽将は終盤に余分な侍従駒を排除するための、相討ちの
相手駒が趣旨であるから、初期位置は、最下段が順当なので
はないかと考える。数は、侍従駒の総数等に合わせて決める
と良いのではないだろうか。たとえば、

摩訶大大将棋で、無名/堤婆、金将、銀将、銅将の数に合わ
せて、鉄将、瓦将、石将、土将の、双方左右4枚計8枚づつを、
上の”金剛”に近い強さの「幽将」に変えて、狛犬、夜叉、
金剛、羅刹、力士を繰り出す、中盤後期のタイミング等で、
8枚の幽将をも互いに進める将棋を指すと、結構面白い将棋
になるかもしれないと、私は思う。(2016/12/17)

獅子駒導入による中将棋型ゲーム改良の限界について(長さん)

 昨日の結論部分で、小駒の余りを気にしなければ、獅子の
踊り数を増加させても、中将棋型の将棋は、どんな升目数の
ゲームでも問題が無いかのように書いたが、この結論は、い
ささか軽率であった。獅子の踊り数を増加させる事によって
生じる、敵陣奥の余り駒は、小駒が何なのか内容に係わ
らず、踊り数をN踊りとした時に、余り駒段数dが、概ね、

 d=0.75N(段)

と、比例して増加するだけだからだ。つまり、2踊りの普通
の中将棋の場合には、このdが1.5段程度となり、もとも
と存在する、玉周辺の小駒の数、13枚の1/12×1.5
前後になって、ちょうど良い程度になっているだけである。
3踊りにすると、この枚数は17升目が適正だとすると、
26枚前後で、dが2.25で、1/17×1.5がdに合
う勘定になり、1段目15枚の小駒のほかに、2段目以降に、
6種類程度の小駒が、終局時にほぼ残存する勘定になる。
15升目130枚制後期大将棋は、ほぼこのケースの小駒種
の数があり、3踊りの獅子のゲームでは、これらの小駒が、
すべて余り駒になる。ただし、3踊り程度ならば、小駒の
配置が、ゲームの最中、多少は移動して、戦闘の跡位は、残
すようである。
 しかしながら、踊りの数が4になると、この余り駒が、た
だ余るだけではなくて、ほぼ初期配列のまま、取り残される
だけになると見られる。まず、余り駒の数自体は、dが3段
となり、升目数を、仮に22段とすると、45枚程度で、
1/22×1.5がd=3となり、2段以上の小駒種の種類
数は、13種程度になる。これは、摩訶大大将棋の小駒の種
類数14種類前後にほぼ等しい。
 ところで、4踊りの獅子は、行き所が80箇所あるため、
敵陣の真っ只中にある、効き駒の無い升目の発生確率、
ほぼ、0.5の8乗の1/256の逆数を掛けた、”敵陣浸
透確率”、31%の、真っ直ぐ、やや右辺、やや左辺の3系
統分が、ポアソン分布期待値で1に近くなり、4踊りの獅子
をトドメに用いて、ほとんど陣を崩さずに、ミミズの足跡の
ような、潜入痕を残した上で、敵玉を詰ましてしまう可能性
が、きわめて濃厚になる、レベルに達すると見られる。

つまり、4踊りの獅子駒のある、摩訶大大将棋級の中将棋型
ゲームをすると、摩訶大大将棋の小駒の配列が、ほぼ最初と
同じ形で、すっぽり残って、終局になるようなイメージの、
ゲームになる可能性が、非常に高い

という事である。無論、小駒は、22×22升目盤の、大方
下の4段に残っているだけなのであろうが、ゲームが終わっ
た時点では、その小駒しか無いわけだから、この初期のそれ
と全く同じ配列は、ひときわ目だってしまい、ゲームの見栄
えはかなり悪くなるだろうと、予想する事ができるだろう。
 以上の事から、このケースも見栄えが理由で、獅子駒の踊
り数で調節する、中将棋型のゲーム改善方法も、だいたい、
18×18升目前後の、3踊り獅子の使用までで、限界が、
来てしまうのではないかと、私は昨夜から余る大方小駒の姿
を冷静になって考えた上、今はそう結論するようになって来
ている。(2016/12/16)

獅子が3踊りの15×15升目130枚制大将棋(長さん)

 日本に於ける駒数多数将棋は、前回までにのべた、チェス
の全大駒方式、日本将棋の持ち駒ルール方式、シャンチーの
九宮の弱い王方式の何れも、その進化の過程で取らず、獅子
の導入という第4の改善方式を取った。ここで、獅子は2踊
りだけが現存するが、江戸時代の将棋の書、”将棋図式”の
中将棋の駒の動かし方ルールの冒頭に有るように、升目の多
い将棋では、任意に獅子型の不正行度の踊りの範囲を、拡大
したものを、想定するという方式だったと推定される。
 すなわち、”将棋図式”によれば、「天竺大将棋以上では、
獅子は3または5踊りのルールで使う」とある。
 そこで、ここでは試しに、15×15升目130枚制大将
棋に、3踊りの獅子を適用してみたので、結果を報告しよう。
なお、文献では「天竺大将棋以上」になっているが、天竺大
将棋では、今回チェックしなかった。理由は、獅子以外に、
副将、獅鷹、火鬼が2枚と、複数の踊り駒類が、初期配列の
時点でこの将棋には有り、模式的なゲームではないと、私見
するからである。ちなみに、獅子は2踊りで中将棋の12行
の盤を、下から上段相手奥へ、5~6手で移動する。他方、
3踊りに変えると、15~16行の盤なら5手で、自陣下段
から、相手上段へ到達する。
よって、15×15升目盤で3踊りと言うのは、やや狭いが
まあ我慢できる程度の、比率のように思えた。
なお、ここで、”3踊り”とは、具体的に
は以下の動きと定義した。

①着地点は、空き升目か、駒が有っても相手駒であって、自
分の駒で無い升目であって、相手駒がある場合は、取り除き、
②自分の駒、相手の駒に係わらず、経路途中の駒は飛び越せ、
③経路途中の相手駒は、任意に取れ、
④経路は、玉将の隣接升目8方向の何れの升目へも、1歩ご
とに繰り返して行く、獅子型の不正行度の動きで、
⑤後戻りや、酔歩も任意にでき、
⑥1~3歩の範囲で、踊る数を範囲指定できる、ピンポイン
ト型では無い、範囲の広い踊りである。
⑦なお、8方塞がり時のじっとの手も、酔歩の合禁が決めに
くいため、今回は暫定的に禁手にしない事にした。

ちなみに、この後期大将棋は、江戸時代型の中将棋の成りを
取り入れたルールとする。すなわち、龍王、龍馬が、飛鷲、
角鷹に成る等し、飛鷲、角鷹の前斜め、前方のそれぞれ2踊
りも、上の獅子の踊りとした。

次に、獅子を不正行度3踊駒とした場合、中将棋同様、その
ままでは、後期大将棋の場合も、獅子が獅子で簡単に取られ
てしまう。そこで、ここでも、獅子に関する特別規則を次の
ように、加えた。

①獅子を獅子で2歩目で取るケースは、3踊り目が出来ない
ものとする。すなわち、3踊りだった獅子は、2歩目が獅子
取りのケースだけ、動きを2踊りまでに制限され、以下の獅
子に関する特別則の特に②は、事実上獅子を2歩目と3歩目
に取った、2通りの場合について、適用されるようにする。
②盤上に獅子が敵味方1枚づつある局面に於いて、そこから
獅子を獅子で取った手の次の手で、獅子を取られた相手が、
別の駒等で、獅子を取り返す手段があるときには、獅子を
獅子では取れないとした。(足のある獅子を獅子で取る禁手)
ただし、盤上の獅子の枚数が、敵1、味方1以外のケースか
ら出発する場合は、獅子を獅子で自由に取ってよい。
③盤上に獅子が敵味方1枚づつある局面に於いて、そこから
自分の獅子を相手が、獅子以外の駒で取るか、味方の獅子を、
相手が麒麟で取ってたまたま獅子に成ったとき、別の所にい
る獅子についてだけ、味方の残りの駒で、相手の別の所の獅
子を、連続的に取り返す事はできない。なお、このルールは
獅子を獅子で取るケースの次の手で、相手が使った獅子を、
取り返す事に対しては、無関係なルールとする。すなわち、
取り返せるのなら、獅子を獅子で取った時には、次の手で、
相手の使った獅子は、取り返しても、自分の側は禁手になら
ないので、そもそも、最初に相手が獅子を取る手を指すと、
相手が②の事から、反則負けになるとする。
なお、2手先の自分の手で、相手の獅子を同様に取ることに
ついては、今述べた制約は無い。
また、相手の獅子を取った後、別の駒で相手が、殊勲の駒を
取り返せなくても、中将棋のルールと違って、獅子取りの続
け指しは禁手とした。(強い先獅子)
ただし、盤上の獅子の枚数が、敵1、味方1以外のケースか
ら、相手の獅子取りが始まる場合は、獅子を連続して取っ
てよいとする。
④②には例外は無く、付け喰いも、ここではできないものと
した。(付け喰いやその例外、および獅子を討つ手の規則は、
設けなかった)

なお、その他のルールは、中将棋の成りを取り入れた、15
×15升目130枚制後期大将棋のルールの通りとした。
すなわち悪狼、嗔猪、猫又、飛龍、猛牛、鉄将、石将、桂馬
等は、金成りとした。
飛龍、猛牛は、後戻りが不能な点だけが、飛鷲や角鷹とは違
う、1または2の踊りと、ここでは多少強く調整してみた。

結果、この将棋の獅子が3踊りとなって強くなった分は、
ほぼ、盤升目が多くなった事によって相殺され、
獅子自体は中将棋並みの”ちょうどよい強さ”に
思えた。
しかし結果は総合的に見ると芳しくなく、
初期陣形で、袖の4段目の配列、
中央より、
奔王、龍王、龍馬、角行、竪行、横行、飛龍、飛車の
6、7番目が、縦走りになっていないため、序盤、ただち
に3踊り獅子に袖から攻め込まれるという、”陣の欠陥”
が、現行の後期大将棋のままだと発生する、致命的な難点が
ある事が判明した。すなわち、

後期大将棋の獅子を3踊りとした場合は、角行、横行、飛龍
(2踊)を、中将棋の袖歩下段のように、概ね”縦走り駒”
に変える事が、ほぼ必須であるようだった。

なお、そのためには、3段目の配列、すなわち、中央より
獅子、麒鳳、悪狼、空升、嗔猪、空升、猛牛、空升
(”麒鳳”は左が麒麟、右が鳳凰)にも、
適宜、4段目駒として、不適な種類の駒を移動させる必要が
あるようだ。それには、前に104枚制普通唱導集大将棋を
104枚制現代大将棋試作1に、変更したやり方にほぼ習い、
飛龍を上記2踊駒から、角行の動きと同じ駒、更に金成りか
ら不成りの、平安大将棋型”飛龍(角行型)”に戻した上で、
元々の角行の位置に移動させ、

たとえば、4段目を、
奔王、龍王、龍馬、飛龍、方行、竪行、竪兵、飛車
3段目を中央から、
獅子、麒鳳、悪狼、空升、角行、横行、横兵、空升
(”麒鳳”は左が麒麟、右が鳳凰)にする必要が必須のよう
だ。
なお竪兵、横兵、および後述の車兵、水牛は天竺大将棋の動
きと同じとすると良いと思う。ただし竪兵、横兵や後述の、
車兵、水牛のそれぞれ縦や横の2升目動きは、現代大将棋の
横兵で示したように、角鷹や飛鷲の、前や斜め前の、”戻り
可能正行度2迄踊りの動き(居喰い可能)”とした方が、
覚えやすくて良さそうだ。
ただし5段目は歩兵だけ、6段目は飛龍(角行)の2つ前に
仲人とそのままだし、(仲人は酔象に成る)
2段目は中央より、
酔象、盲虎、空升、猛豹、空升、猫叉、空升、反車
1段目は中央より、
玉将、金将、銀将、銅将、鉄将、石将、桂馬、香車
のままである。
そして、前の改善と同様に、嗔猪と猛牛は取り除く。

まとめると結局、後期大将棋は次の形に変化する。
4段目は中央から、
奔王、龍王、龍馬、飛龍、方行、竪行、竪兵、飛車
3段目を中央から、
獅子、麒鳳、悪狼、空升、角行、横行、横兵、空升
2段目は中央から、
酔象、盲虎、空升、猛豹、空升、猫叉、空升、反車
1段目は中央から、
玉将、金将、銀将、銅将、鉄将、石将、桂馬、香車
となっている。(麒鳳は、左辺が麒麟、右辺が鳳凰)
なお、5段目は15枚の歩兵、6段目の飛龍(角行動き)
列に、双方にそれぞれ2枚の仲人が来る。
更に

鉄将、石将、桂馬、竪兵、横兵、方行の成りを、
竪兵、金将、横兵、車兵、水牛、不成

程度へ調整しても、良いように思えた。(成りの条件は、
このケースは、”中将棋型獅子入り改善方式のため”
中将棋型のままでも良いと思える。)
4~1段目の成りは、対応する、上に示した元の駒の配列の
位置に示すと、
4段目が
不成、飛鷲、角鷹、不成、不成、飛牛、車兵、龍王
3段目が
不成、獅奔、金将、空升、龍馬、奔猪、水牛、空升
2段目が
太子、飛鹿、空升、角行、空升、金将、空升、鯨鯢
1段目が
不成、飛車、竪行、横行、竪兵、金将、横兵、白駒
となる。(なお、獅奔とは、麒麟の成りが獅子で、鳳凰の成
りが、奔王との意味である。)また、5段目15枚の歩兵は
それぞれ金将へ、6段目飛龍(角行型動き)列の2枚の仲人
は、それぞれ酔象に成る。
何れにしても、中将棋型の改善方法だと、終局時、盤の陣の
底の方に、幾分か小駒が溜まったままの状態で、玉が、実質
的な”跳び超え駒の獅子”で、詰まれる状態が、普通の将棋
になる事が、前提になるのだろう。しかし獅子の踊り数の調
整で、このやり方でも、事実上、盤升目の拡張は、可能升目
数が、20升目以下の場合は、離散値(とびとび)感がある
が、一応幾らでも可能とみられるようだと、私には今回認識
できたように思われた。(2016/12/15)

15×15路シャンチー型ゲームのチェック(長さん)

 前回、日本将棋の持ち駒ルールによる改善コンセプトでは、
12×12升目程度で、盤上駒余りが無いゲームが作りにくい
というテストについて述べた。世界のチェス将棋型ゲームの
発展方式としては、玉将を弱くし、小駒が侍従駒として存在
しても、バランスでルールを改善した、別の流れが存在する。
中国、シャンチー型のゲーム改善手法である。シャンチー等の
場合、玉将駒が日本将棋で言う、▲側から見て、4七、4九、
6九、6七で囲まれる9つの升目領域にしか動けず、かつ、
動きも平安大将棋の銅将のように、斜め動きが無く、さらに
相手の玉の間に、駒が存在しないと、その列には動けないと
言うように、弱めるによって、チェスに比べて余分な小駒、
すなわち士や相の、”強すぎる守りの効果”を相殺させ、
大駒だけのチェスに、ゲームの進行度を近づけ、面白くする
という手法を取っている。
ただ、この手法も盤の大きさが100路とか1000路とか、
きわめて大きくなると、チェス型ゲームの改善にあたる、
13×13升目104枚制現代大将棋試作1の改善の所で
述べたと同じような理屈で、九宮に向かう列への走り駒や
炮駒の、真っ直ぐな「トンネル堀攻め戦法」が極端に
なり、袖部分の余計な、車、馬駒の駒余りが、結果として
目立ってくるだろうと予想される。そこで、今回はその事を
確かめるため、

15×15路88枚制シャンチー型ゲームを試しに作成して、
上記点を、チェックしてみたので報告しよう。

駒の初期配列は、中央列から左袖方向を、相手の陣を見る向
きで示すと、
一段目を、師、仕、相、騎、馬、車、馬、車
二段目を、空、空、麟、象、空、空、空、空
三段目を、空、空、鳳、空、馬、車、馬、車
四段目は、空、空、空、空、空、空、空、空と、皆空交点。
五段目を、空、空、炮、空、炮、空、炮、空
六段目を、兵、兵、空、兵、空、兵、空、兵
と、六段組に並べてみた。
ちなみに、師は相手方は将になり、字が違うが、テストなの
で同じにした。他の駒の字についても、事情は同様である。
なお、相がシャンチーの象と相であり、このケースは、象が
以下のように、”チャンギの象”の動きをする。
そして上記は配列の約半分であって、左右は対称で、右の袖
方向へは、中央列から反対向きに、同じ駒を並べる。敵味方
で合計すると、これで88枚になっているはずである。
なお、シャンチー型ゲームの場合、成りは相手陣ではなくて、
河を越えたところで起こり、このケースは9段目に達したら、
兵が、通常のシャンチーと同じパターンで、後ろへ動けない
後期大将棋の”嗔猪”の動きに変わるとした。
 次に、駒の動きで、元々のシャンチーに加えた駒について、
説明する。
師は、縦横一目だけ動き、仕同様九宮を出る事ができない。
また、相手の師と直射させてはいけない。これでシャンチー
と同一パターンのルールになっているはずであった。
相は、シャンチーの象、相の動きと同じである。以下も同様
のパターンであるが、間の升目に駒が居ると、一般にシャン
チーの駒では跳び越す事が出来ず、また、隣接升目に、止ま
ることも出来ない、斜め2升目先に行く動きだけである。
またこの駒だけ、シャンチーと同一パターンで、7段目まで
しか、行けないとした。
騎は、七国象棋の”騎”を取り入れた。つまり、縦横に一升
目進んでから、斜めに3升目進む駒である。この駒もその経
路中に他の駒が有ると、飛び越せないし、4・3の進み先で
だけ止まれる。なお、侍従駒も相と仕以外は、敵陣へも行く、
チャンギの方にあわせた。
馬はシャンチーの八方桂馬であり、シャンチーと同じく、縦
横隣接升目に動いてから、向こう側の斜め隣接升目に動く。
途中に他の駒が居ると、飛び越せなくなり、また桂馬の位置
にしか、進む事ができない。
車は、日本将棋の飛車に等しい。
麟は、麒麟の略で、日本の中将棋の麒麟の動きをする。ただ
し、猫又の斜め動きを2回して縦横2升目先に跳び、途中の
斜め升目に駒が居る場合は、飛び越せないとした。ただし、
この駒は、斜め隣接升目でも、止まる事が、できるとしてみ
た。跳び駒では無いので、動かし方のルールは、中将棋とは
違ってしまった。
象は、相の相手の駒名ではなく、ここでは相とは別の駒で、
シャンチーではなくチャンギから象を導入した。すなわち、
この”象”は、隣接縦横升目に1升目動いてから、斜めに
2歩進む。この経路内で、途中に別の駒が有れば、飛び越
せないし、また3・2の位置にしか行けない。チャンギの
方の象等と、同じルールの駒で、この駒は相と異なり、8
段より奥へも、到達できるとした。
次に鳳は鳳凰の略で、日本の中将棋から取り入れた。斜め
2升目先と、隣接縦横升目へ行ける。ただし中将棋と異な
り、斜めに行くときに、途中に駒があると、シャンチーの
相・象のパターンと同じく、飛び越せず、また2升目先で
しか、止まれない。中将棋の鳳凰とは、少し違ったルール
になった。
炮や兵は、飛び方や成りも含めて、シャンチーに合わせた。
なお、兵はこの象棋がたまたま奇数目のため、成りは8段
目ではなくて、9段目に入った所とした。
 実際のゲームは、15×15路の碁盤ではなくて、見易
さのため、15×15升目の将棋盤で、金の裏の無地に、
字を書く、馬と車は、桂馬と飛車で代用する等して、テス
トしてみた。
結果だが、試作ゲームもそこそこ、面白いと思った。つま
り、

予想に反し、シャンチー型のゲームでは、
玉を守る小駒として、更に、麒麟、鳳凰、シャンギ象、
七国象棋の騎を、玉駒近くに更に加える余裕があり、
実際それを加えたため、
15路でも、”袖の飛車、八方桂馬の駒余り”は、
依然、さほど目立たないようであった。

ただ、これを17路に拡張すると、いきなり馬・車駒は、
双方8枚から、いっきに3段組18枚に増える。
恐らく17路になると、”中央列ばかりの攻め”が、
袖駒の余り駒の存在で、目立って来るのではなかろうかと、
予想される。何れにしてもシャンチー型のゲームの場合、
17路の碁盤程度の、駒数多数ゲームにして欠点が、初め
て目立つようになり、日本将棋型持ち駒有りゲームの適否
境界11升目よりは、いくらか条件が緩いような印象を受
けた。(2016/12/14)

12×12升目型の日本将棋の試作(長さん)

 3回前の13×13升目100枚制現代大将棋試作2を、
13×13升目104枚制現代大将棋試作1から改善する
所で述べたが、西洋チェス流の玉と歩兵以外を大駒にして
ゲームを改善する方式は、玉の序盤からの逃げ道を作成す
る、という改善が、更に必要なことさえ知っていれば、8
×8以上のどんな升目のゲームでも、ゲーム作成のコツが
多少判れば、誰にでも面白く作る事が出来るという、性質
を持っている。ところが、ゲームとして成功した別の方向、
すなわち”持ち駒ルール”を持つ事によって改善した、
日本将棋のような改善方法は、盤升目が概ね10×10升
目までが限度で、それ以上の多升目になると、「見てくれ」
の問題が出てくると考えられる。すなわち、
日本将棋流の持ち駒ルール付与の方法、すなわち

”持ち駒ルール導入手法”では、どのような将棋でも対局
中、中盤以降まで進んだ”局面を、見栄え良くするように
作り出せる”という訳ではない

と考えられる。上の事は、
升目の数が、偶数か奇数かは余り関係が無いと、私には
思える。そこで前回の所で話に出てきた、中将棋の12×
12升目盤を用いて、話を判りやすくするため、日本将棋
に使用する駒だけを用いて、日本将棋型の持ち駒ゲーム、
12×12升目56枚制新日本将棋試作1を作成し、この
点を確認してみたので、以下に紹介しよう。駒は日本将棋
の駒だけなので、動かし方や成り駒が何なのか、成り駒の
動かし方はどうなのか、以上の説明は不要だろう。そこで、
以下には、まず初期配列を示す。相手側の配列を見た向き
で、以下書くと、

①段目は香、桂、銀、金、銀、金、玉、銀、金、銀、桂、香
②段目は空、飛、空、空、空、空、空、空、空、空、桂、空
③段目は空、空、飛、空、空、空、空、空、空、角、空、空
④段目は歩、歩、歩、歩、歩、歩、歩、歩、歩、歩、歩、歩

とする。自陣が日本将棋では3段目以降であるが、この
将棋では4段目以降に変わる。他のルールは日本将棋と
同じだし、成りも同じである。従って12升目と9升目と
で違うが、残りは日本将棋と同じであり、これ以上のこの
ゲームに関する説明は、たぶん不要なのではないかと思う。
実際にプレーしてみると、この将棋は面白いが、

角替わりをさせてしまうとそれ以降は、いきなり終盤になり、
歩兵や桂馬がほとんど、動かないで終わるゲームが多い、

という結果になる。
実は、この試作を作る前に、
②段目を空、空、桂、空、空、空、空、空、空、空、角、空
と変えて、飛車1角2にしたゲームもしてみたのであるが、
上記の試作より、いっそう駒余り感が強かった。

元々日本将棋でも序中盤すぐに、角は攻撃駒となりやすく、
活躍するのであるが、この将棋では角が動くと、それだけ
で、潤沢な持ち駒が出来、その攻防で双方に
必要以上に”持ち駒”が出来ると、中盤を飛び越して、
12升目将棋では、いっきに、いきなり詰め合いの局面
へ移行してしまうのである。そこで角を2枚から1枚に減
らし、その傾向を低下させようとして、冒頭の配列にした。
それでも、角が存在すると、その傾向は消えず、飛車が2
枚に増えたので、守り駒として飛車が加わる事による(!)
寄せの為の手数が、少し増加し、終盤が長手数になった点
が、幾らか変化しただけであった。
 当然だが、極端な角替わり急戦将棋のため、歩兵が5段
目以上に上がっている列は、少ないし、玉が逃げた側とは
逆側の袖の駒は、初期配列のまま取り残されて、「局所戦
のまま終局」のイメージが強かった。駒の打ち合いという
意味での持ち駒将棋は、指している棋士からは、それなり
に面白そうでは有ったが、陣形を見ている観客からみると、
妙に中段や袖が、そのままの形で、ゲームが進んでいるよ
うに、見え不自然間はぬぐえなかった。
 以上のように、以前から予想していた「持ち駒ルールの
将棋では、11×11升目以上では”見栄えのする”新し
いゲームができない」という説は、12×12升目盤で、
実際にざっとゲームを試作してみても、正しいのではない
かと、私には今回も、確認できたように思われた。

 なおこの実験に使用するための、駒数多数将棋用の将棋
盤は、見栄えさえ気にしなければ、自作調達が、さほど難
しい訳では無い。だが、上記のようなテストを、私のよう
に手軽に、例えば子供が遊びながらするには、身近に、
中将棋用の将棋盤が販売されていて、潤沢にそれが揃って
いたほうが、便利なことだけは確かだと思う。

 大は小を兼ねるで、中将棋の将棋盤には、以上のように、
けっこう使い道が私には有るのだが、12×12升目盤が、
中将棋の関東に於ける衰退と共に、都内から消えつつある
というのは、誠に残念なことだと考える。(2016/12/13)

厳しい中将棋用具の安価な購入(長さん)

12月10日、東京千代田区神保町の奥野かるた店へ、
将棋の道具の販売状況のチェックをしに行った。一昨日、
佐藤敬商店の中将棋の駒について紹介したが、他の
サイトにも紹介があるように、私も奥野かるた店で、
それを、30年近く前に購入した。その後販売が開始
された禽将棋が、ほぼ当時の中将棋と同じ廉価で、今も
奥野かるた店には陳列してあったが、

中将棋は、何時の間にか消えていた。恐らく現在では
佐藤敬商店でも、常時は作成していないものと、思われ
る。
以上の事から、2日前に紹介した、

”入手しようと思えば、中将棋の道具は、いつでも入手
できる”という状態には、現在は、なっていないように
思える。

 単純なゲームだけが、人々に熱望されるという
”幻影”が広まりすぎたのか、少なくとも関東圏では、
駒数多数将棋類の研究は、だんだんきびしい状況に、な
ってきたようだ。
 それを見て、あわてて私はwebをざっと調べたが、
どうやらほぼ3年前に、今と同じ状況になったようであっ
た。なお中将棋の駒に関しては、奥野かるた店
で佐藤敬商店で製作した駒を、個人的には2組、買い置
いてあると記憶している。使っているのは1組だけである。

syougi4.gif

また3段目に聖目の有る、購入した、何か将棋史の謎を
解くヒントを、内在させているようにも思える、不思議
な同メーカー制の将棋盤もあるが、私にとっては必要な
らベニア板で、再度自作して、聖目問題についても、
記録しておけば充分という状態である。
「中将棋の道具を都内に陳列してある場所が、3年前には
奥野かるた店1箇所、しかし現在は0箇所」というのが、
これから少し調べてみても間違い無いとしたら、どこか
都内の施設にでも、12升目盤もろとも中将棋駒を寄付
して、そこでは中将棋等が常時指せるようにして、

私たったひとりの力ででも、
元通り「中将棋の陳列地、都内にも1箇所」
に、そのうち戻してみせようか、

と現在、思案を巡らせているところである。(2016/12/12)