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13×13升目108枚制仮説新普通唱導集大将棋のチェック(長さん)

前回このブログで紹介した、酔象が中国象棋の相/象の動きをする
”猛牛”を含んだ、私の説による普通唱導集大将棋の”新作バージ
ョン”のチェックを行った。なお、この将棋の初期配列は、
下記のように、1段目から5段目まで、相手の陣の中央から左辺を
見る形で、

一段目:玉将、金将、銀将、銅将、鉄将、桂馬、香車
二段目:酔象、麒鳳、猛虎、猛牛、嗔猪、飛龍、反車
三段目:奔王、龍王、龍馬、角行、竪行、横行、飛車
四段目:歩兵、歩兵、歩兵、歩兵、歩兵、歩兵、歩兵
五段目:空升、空升、空升、仲人、空升、空升、空升

である。なお”麒鳳”の所は、左辺に麒麟を、右に鳳凰を置く。
駒を並べると、下のように、こんどはぎっしりと並ぶ。
初期.gif
成り駒は、今回は、酔象が太子、麒麟が師子(踊りだけで跳べない、
自駒上で踊れない)、鳳凰(現行の動き)を奔王とし、

他の駒は概ね不成りとした。

他には歩兵だけ、金将に一応今回はしている。酔象はシャンチーの
相/象と同じ動き、猛牛はその斜めを縦横に変えたもの、猛虎は、
平安大将棋の猛虎である。
成りの規則は、敵陣4段目以遠で、中将棋パターンとした。
 普通唱導集の特に第2節、”仲人と嗔猪が腹を合わせ、桂馬を跳
ばして、(端攻めを喰わないように、右仲人の、先手なら4九の
地点を)支える”と取った、私なりの解釈に従い、初手からは、
▲5九歩、△9五歩、▲3九歩、△11五歩、▲3八歩、△11六歩
▲3七歩、△11七歩、▲11九歩、△3五歩、▲3八竪行、△11六竪行
▲3十一嗔猪、△11三嗔猪、▲3十嗔猪、△11四嗔猪、
▲3九嗔猪△11五嗔猪、▲2十一桂馬、△12三桂馬
▲13九歩、△1五歩
と22手までは、先手後手同形で進め、この後から適当に変化させ
て、ゲームの性能に、問題が無いかどうかを確かめてみた。
なお、右辺が狙われるのは、将来師子に成らせる事をめざす麒麟が、
各々の左辺に有るためである。
以下は、22手まで進めた、盤面の姿である。
22手.gif
そこで結論からすると、このゲームは麒麟が早く、師子に成った方
が、ほぼ勝ちとなるゲームである。
理由は酔象、猛虎に、日本将棋の”金気”のような玉を守る力が、
ほぼ無く、玉の守りが、横並びの金銀銅だのみ、だからである。

成り麒麟が出来た後は、それが侍従駒を喰い荒らせば、詰みがほぼ
自明形になっているため、寄せの手順を読むのが、余りにも容易で
ある。それがこの将棋の”最も面白く無い部分”であろう。かつて、
故溝口さんより「成り麒麟が、相手陣を喰い荒らす点について、
普通唱導集に記載が無いのは、普通唱導集大将棋に麒麟が無い
証拠では無いのか」との、指摘を受けた事があった。
 当時私は、”シャンチーの相の動きをする酔象というルールが、
普通唱導集の大将棋にも適用される”という可能性を、
不覚にも見落としていたために、”成り麒麟の師子による喰い荒ら
し”の局面にも、ある程度の”見せ場”があると錯覚していて、
この溝口さんの問いに、普通唱導集にはゲームがつまらなく感じる
ような、要素は記載しないという観点からは、正しく答えられてい
なかった。今なら、

麒麟が成った時点で、この将棋では寄せの手順は自明となり、双方
それを読みきって、挽回不可能な側が投了するケースが圧倒的多数

と、正しく答えられるので、彼の批判が当たらない事を示せただろ
う。気が付いてしまえば、何でもなかったが、普通唱導集時代の
大将棋の酔象のルールに関するこの錯覚は、当時の議論に、ひどく
悪い影響を与えてしまったものだと、今にして思えば、痛烈に反省
させられる。(2017/04/13)