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補足・中将棋の成立以前に、天竺大将棋が無い根拠(長さん)

前回、中将棋の成立以前には、日本に原始平安小将棋以外に、偶数列升目
の将棋は無いと、私は述べた。しかし、現行で知りえる歴史的な将棋とし
ては、偶数升目のものとして、中将棋以外に、大局将棋、天竺大将棋の2
種がある。ただし大局将棋については、日本では江戸時代以前に、知られ
ていたとの記録の無い七国象棋ないし、荻生徂徠作成の、19升目の和製
広将棋の影響により発生したと見られる、弓兵、弩兵等が存在する。ので
この将棋は、江戸時代の作と推定される。なので南北朝時代より存在する、
中将棋よりは、大局将棋は明らかに後の時代の物である。では、残り16
升目制の天竺大将棋が、中将棋に、先行して存在しない理由として、明確
に挙げられる根拠は、有るのであろうか。一般には、水無瀬兼成の将棋部
抄に無く、その他天竺大将棋が、安土桃山時代以前に、文献に現われた例
が無い点を、挙げるケースが多いのかもしれない。ただし、水無瀬兼成の
時代には発見できず、その後どこからか、出てきたという可能性は、本当
にゼロなのであろうか。
 この点について、本日は補足を書く。すなわち私が根拠として挙げると
すれば、以下の点があると思う。すなわち天竺大将棋に存在する、事実上
不正行度踊りに近い働きをする、火鬼2枚、四天王(4枚存在可)、副将、
獅鷹、師子の9枚の、ジグザグ複数動き駒を含む将棋が先ず有って、それ
を調節して師子1枚だけが、ジグザグ動き駒である

1枚の駒だけ、ジグザグに複数動きをする中将棋だけが、後で結論的に残
る可能性は、ほとんど無いのではないか

と考える。たとえば、14升目程度の中間的将棋が存在し無い事が、根拠
になるのではないかと思う。つまりもしそうだとすれば、9枚が2枚とか、
3枚程度に散漫に減らされた、上記の升目数程度の将棋も、おおかた後に
残って、記録が残るのではあるまいか。逆に、師子が存在し、更に”特別
な規則”によって、それが余り消失せずに残る、中将棋の存在が、最初に
有って、しからば師子のような駒の数を、桁違いに増やしたら、という発
想から、天竺大将棋が作られたら、今見る形になるのだろう。私にはそれ
が現実のように思えてならない。ただし、南北朝時代以前の文献に、
天竺大将棋が現在は発見されていないため、上記の私の推定は、現時点で
の史料とは矛盾が無い。が何か別の史料、たとえば、鎌倉時代の遺跡から、
火鬼と書かれた駒が、将来出土してしまうと、上記の推定は、あっけなく、
修正を要するようになる事も、また確かではある。(2017/06/26)