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中将棋の作者が普通唱導集大将棋猛牛、飛龍、桂馬、嗔猪を猛豹に交換した訳(長さん)

 仮説13×13升目108枚制普通唱導集大将棋が、仮に中将棋のルーツで
あるという考えが、正しいとすると、桂馬、嗔猪が、唱導集第2節で出てくる
事から明らかなように、普通唱導集大将棋の定跡発生の戦犯駒であるから、し
かたないにしても、猛牛と飛龍は”無実”であるはずである。しかし、中将棋
を作成した作者は、これらの駒を残さずに取り去り、代わりに猛豹を入れたと
考えられる。ではなぜ、わざわざ猛豹を考えたのであろうか。
 純粋にゲームが面白いかどうかという点に関して言えば、猛豹は猛牛であっ
ても、余り変わらないと私は思うし、むしろもともと角行の動きだったとみら
れる飛龍は、残した方が、良いくらいかもしれないと思う。ただし、猛牛は、
1升目に止まれない走りというのが、日本の将棋にはマッチしていなかったし、
飛龍は角行が存在するにもかかわらず、それとルールが同じになるのは、気に
入らなかったというのは、あるかもしれない。だから龍王や龍馬は、同じ龍駒
でも残されたのだろう。ただし、以下の点もあるのではないかと、私は思う。

結局、普通唱導集大将棋から、猛牛、飛龍、桂馬、嗔猪を取り除くと、減らさ
ない12支駒が、盲虎だけになってしまった。その為、12支のうちの2つだ
けを残すと、「古来より、12支の駒を、将棋駒へは使うべき」と主張する、
”保守派”から、「どうしてその2種類が、特別なのか」と、攻撃される恐れ
があるのを、避けるため

に、虎のメスと、当時は考えられた豹を新たに作り、「虎が龍並みに強いから」
と言う点が、強調できるようにした。また盲と猛でほぼ同じ意味のため、豹駒
は、名前を猛豹にした。
 つまり、ルールの都合ではなくて、名前の語呂合わせから、猛豹を作ったと、
考えられるのではないかと、言う事である。逆に言うと、豹駒は、12支駒で
削除しないのは虎駒、という局面になったとき、だけになって初めて、入って
いてしかるべき駒と、考えられたのであろう。だからやはり、普通唱導集大将
棋には、12支に含まれない猛豹は、無かったと結論した方が、良さそうだと
私は考える。
 なお鉄将も戦犯では無いが、取り除いた訳は上記より、解釈が難しい。ある
いは、当初、猛豹は現在の位置の前の升目にあり、後期大将棋の動きの鉄将は
存在して、中将棋は96枚制だったのかもしれない。ところが相手の龍馬と角
行に初期位置で、経路が当たっている竪行に、後退路があった方が、端攻めが
恒常化しないと、考えたのかもしれない。その結果、中将棋の成りが決まる直
前に、鉄将が取り除かれると同時に、猛豹がひょっとすると、1歩下げられ、
今の位置に、有るのかもしれないと私は思う。(2017/06/27)