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一乗谷朝倉氏遺跡、角行駒の過剰度(長さん)

前回の記載と前後するが、一乗谷朝倉氏遺跡の出土将棋駒について、”角行が多い”
と、前回私の書いた、詳しい状況について、以下記載する。たとえば、
天童市将棋資料館編の「天童の将棋駒と全国遺跡出土駒」(2003年版)に
よると、一乗谷朝倉氏遺跡から、その時点で、180枚の将棋駒が、発掘されて
いるという。そのうち、書いてある字の不明な遺物が、34枚程度あり、それを
除くと、全部で146枚程度になる。酔象以外が、定説のように全部日本将棋の駒
とみなせるとすれば、1を引いて20で割って、7.25人の競技者分の駒
(約3.63セット分)である。なお、酔象は1枚だけなので、もともと以下の
計算には、ほとんど影響しない。
 もし、公平に駒種が分布しているとすれば、
玉将3.6枚、王将3.6枚、金将14.5枚、銀将14.5枚、桂馬14.5枚
香車14.5枚、飛車7.3枚、角行07.3枚、歩兵65.3枚程度のはずである。
実際には、
玉将2.0枚、王将5.0枚、金将12.0枚、銀将11.0枚、桂馬15.0枚
香車17.0枚、飛車7.0枚、角行12.0枚、歩兵64.0枚
と、”理論値”と比べやすくするため、小数点以下桁数を、合わせて書くと、この
ようになる。以上のように、4.7枚過剰と、著しく差があるのは、確かに
一乗谷朝倉氏遺跡の将棋駒については、角行だけである。
 次に前に、興福寺出土駒の金将をチェックしたときと、同じ手法で、ポアソン分布
表で、7.3回出るのが平均のケースで、12回も出る確率を調べてみる。数表を
引くと、

約31回に1回と出る。これは、偶然にしては、やはり多いと見るべきではないか。

なお、10枚だったとすれば、12.5回に1回位になる。このケースは、角行
が二桁出土になったら、”角行を更に他所から集めてから、駒を捨てた理由”を
一応考えるべきだと、個人的には思う。ただ飛車が、ピタリと理論値に合っている
のは、前回私の述べた+角2型と、+飛車2+角2型が、偶然ほぼ同セット数、
たまたま有るとして、本当に良いのか。あるいは、角行が多い、別の訳を示唆
しているのか。これだけの情報からは、あまり詳しい事は判らないように私は思う。
(2017/07/19)