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9升目平安小将棋が真似将棋で仕掛直前行き詰まるのは、桂馬の配列の為(長さん)

日本将棋のプロ棋士であり、将棋連盟関西の元の将棋博物館の館長でもあった
木村義徳将棋9段の「持駒使用の謎」によると、9×9升目36枚制の、
このブログの表現での標準型平安小将棋で、後手が先手のほぼ真似将棋を指し
たときに、仕掛け直前の局面で行き詰まるのは、”旦代晃一氏によれば、

①歩兵を五段目に出すと、先出し側が不利であること
と、
②桂馬同士で交換が生じやすく、消耗してしまう

ため”との意味に取れることが書かれている。そしてだから、二中歴の小将棋
には、8×8升目型とされる異説があると、議論が続いている。
 さて、①と②についてであるが、本ブログでの見解は、

②だけが大問題なのであって、①は基本的に有っても、一般論として特に問題が
無い。また正しくは”消耗”が原因ではなくて、このケースは”先攻め方が、
「その先どう指しても、駒損が大きく必敗になる」と見て、手の指しようが、
無くなるのが問題”

が正しい表現と見ている。なお、以上の議論は、別のページで木村義徳氏も再度
取り上げているが、

持ち駒ルールが無くても、有っても結論がひっくり返らない

と私もほぼ、断定している。理由は仕掛け前の局面までの、先後手、どちらに
も持ち駒の無い局面までについての、問題だからである。
①が議論に、余り絡んでいないことは、9×9升目36枚制標準型平安小将棋の
初期配列は、

(A)
香車、桂馬、銀将、金将、王将、金将、銀将、桂馬、香車
空升、空升、空升、空升、空升、空升、空升、空升、空升
歩兵、歩兵、歩兵、歩兵、歩兵、歩兵、歩兵、歩兵、歩兵
空升、空升、空升、空升、空升、空升、空升、空升、空升
空升、空升、空升、空升、空升、空升、空升、空升、空升
空升、空升、空升、空升、空升、空升、空升、空升、空升
歩兵、歩兵、歩兵、歩兵、歩兵、歩兵、歩兵、歩兵、歩兵
空升、空升、空升、空升、空升、空升、空升、空升、空升
香車、桂馬、銀将、金将、王将、金将、銀将、桂馬、香車
である。が、これを、

(B)
香車、空升、銀将、金将、王将、金将、銀将、空升、香車
空升、桂馬、空升、空升、空升、空升、空升、桂馬、空升
歩兵、歩兵、歩兵、歩兵、歩兵、歩兵、歩兵、歩兵、歩兵
空升、空升、空升、空升、空升、空升、空升、空升、空升
空升、空升、空升、空升、空升、空升、空升、空升、空升
空升、空升、空升、空升、空升、空升、空升、空升、空升
歩兵、歩兵、歩兵、歩兵、歩兵、歩兵、歩兵、歩兵、歩兵
空升、桂馬、空升、空升、空升、空升、空升、桂馬、空升
香車、空升、銀将、金将、王将、金将、銀将、空升、香車
と、全部の桂馬を1升目前に出したり、

(C)
香車、空升、銀将、金将、王将、金将、銀将、桂馬、香車
空升、桂馬、空升、空升、空升、空升、空升、空升、空升
歩兵、歩兵、歩兵、歩兵、歩兵、歩兵、歩兵、歩兵、歩兵
空升、空升、空升、空升、空升、空升、空升、空升、空升
空升、空升、空升、空升、空升、空升、空升、空升、空升
空升、空升、空升、空升、空升、空升、空升、空升、空升
歩兵、歩兵、歩兵、歩兵、歩兵、歩兵、歩兵、歩兵、歩兵
空升、空升、空升、空升、空升、空升、空升、桂馬、空升
香車、桂馬、銀将、金将、王将、金将、銀将、空升、香車
と、桂馬を片一方だけ1升目前に出したり、

(D)
香車、桂馬、銀将、金将、王将、金将、桂馬、銀将、香車
空升、空升、空升、空升、空升、空升、空升、空升、空升
歩兵、歩兵、歩兵、歩兵、歩兵、歩兵、歩兵、歩兵、歩兵
空升、空升、空升、空升、空升、空升、空升、空升、空升
空升、空升、空升、空升、空升、空升、空升、空升、空升
空升、空升、空升、空升、空升、空升、空升、空升、空升
歩兵、歩兵、歩兵、歩兵、歩兵、歩兵、歩兵、歩兵、歩兵
空升、空升、空升、空升、空升、空升、空升、空升、空升
香車、銀将、桂馬、金将、王将、金将、銀将、桂馬、香車
と、朝鮮キャンギ流に、銀将と桂馬を、片側だけ交換したりすると、

(B)、(C)、(D)の初期配列の将棋では何れも、上の旦代晃一氏が
議論した”9×9升目標準平安小将棋の、真似駒組仕掛け直前行き詰まり
問題”が起こらない

と、このブログでは、見ていると言う事である。

つまり、桂馬同士が”合い当たり”する事だけが、問題であると見ている

という訳である。
 以上は、将棋の道具を持っている方なら、誰でも確かめられるであろう。
また仮に道具が現行無い方も、一人でも多くの方が、百円ショップ等で、
日本将棋の盤・駒を購入して、確かめて頂きたいものだと、当ブログでは
常々望んでいる所である。
 次に木村義徳氏は、その原因になった、後手の”真似駒組”について、
”作法として、余り行われなかったのだろう”との旨を、持ち駒使用の謎で書い
ている。それに対するこのブログでの見解は、

そのような作法は実際には無く、朝廷での御前試合で、しばしば現実に
行き詰まって、西暦1080年代以降に、さぞや問題になっただろう。

と見ていると言う事である。つまり、

朝廷の御前試合でしか、9×9升目36枚制標準型平安小将棋は、西暦
1080年~90年頃には、真面目に指される事は無かった

と考えたほうが、判りやすいというのが、当ブログの見解である。しかし、

朝廷の御前試合で、指される将棋なので、少なくとも上流社会では、
標準化された、今の日本将棋に繋がる、この9升目タイプの平安小将棋は
重く見られていた

と、当ブログは推定する。よって結局の所、

二中歴の(平安小)将棋の記載は、8×8升目32枚制原始平安小将棋と
9×9升目36枚制標準型平安小将棋の、どちらを記載しているのか、
曖昧に、誤魔化した表現に”実際に”、つまり意識的になっている

というのが、当ブログの見解である。つまり、

西暦1080年~90年頃に、下々一般社会では、盛んに指された
平安小将棋ゲームは、8×8升目32枚制の原始平安小将棋の方だった

と推定するというのが、本ブログの”基本的予想”である。なお、

9×9升目36枚制標準型平安小将棋は、恐らく西暦1080年頃に、
”日本将棋の作者”と、誤って伝えられたことで著名な、初期院政派の、
大江匡房らによって、宮中で指される将棋について決められた、
”標準”だった

と、このブログでは、ほぼ断定している。そして繰り返すが、9×9升目
36枚制標準型平安小将棋の冒頭の問題は、実際に御前試合で指すと、
しばしば発生したため、宮中では問題になっていたと私は見る。もともと、
その将棋は日本に伝来した8×8升目32枚制の、もともとの形、
原始平安小将棋が、その初期配列の将駒構成形から、”藤原貴族が日本を
支配しているかのような、匂いのするものである”事を嫌って、初期院政派
が、政治的に手直ししたものであったと、ここでは見る。

香車、桂馬、銀将、金将、玉将、銀将、桂馬、香車
空升、空升、空升、空升、空升、空升、空升、空升
歩兵、歩兵、歩兵、歩兵、歩兵、歩兵、歩兵、歩兵
空升、空升、空升、空升、空升、空升、空升、空升
空升、空升、空升、空升、空升、空升、空升、空升
歩兵、歩兵、歩兵、歩兵、歩兵、歩兵、歩兵、歩兵
空升、空升、空升、空升、空升、空升、空升、空升
香車、桂馬、銀将、玉将、金将、銀将、桂馬、香車
(8×8升目32枚制原始平安小将棋の初期配列)

その為、旧勢力であった、藤原摂関派にとっては、この標準化は元々、気分
の良い、面白いものではなかっただろう。つまり、

”真似駒組による仕掛け直前行き詰まり問題”が院政派標準将棋に存在する
ことは、もっけの幸いと、藤原貴族には見らたはず

なのである。
 その結果この欠陥が、西暦1110年の少し後頃に、13升目型の平安
大将棋を作成する原動力になっただろうと予想するのが、このブログの主題、

”なぜ小将棋の他に、大将棋が存在するのか”に対する、主な回答

と言う事になる。なお、標準的な小型将棋に、西暦1080年~
西暦1480年頃までの約400年間もの間、欠陥を孕みながら、存続したの
は、恐らく日本だけが、稀有の例であったと見られる。中国の文物、いわゆ
る”唐物びいき”が続いたのだろう。ミャンマーのシットゥインなどとは違って、
9升目36枚制平安小将棋の初期配列は、中国シャンチー型で固定だった。
また、銀と桂馬の交換も、試みられた形跡が無い事から、唐、宋、元、明が
朝鮮王朝の、高麗や李氏朝鮮より格上と、日本人に見られていたことも判る。
中国王朝の背後に、科学技術文明の進んだ、イスラム世界がある事も、中世の
日本人にはうっすらと、判っていて、中国文明を畏怖していたのだろう。
そして、それが

持ち駒ルールが恐らく、鎌倉時代の中期頃には、発明されていたとみられる
にも係わらず、成り竜王飛車および成り竜馬角行が導入されるまで、真似
駒組仕掛け直前行き詰まりは、解消されないために、15世紀の室町時代には
小将棋が中将棋を、漸近的に駆逐できなかった原因

と、同様にこのブログでは考える。そのために、

それが、昭和の事実上終わりまで、中将棋が残るほどに、駒数多数将棋が
健闘した本当の理由

であったのだろう。よって持ち駒ルールが、西暦1300年前後に仮に出来ても、
その桂馬合い当たりによる、真似駒組仕掛け直前行き詰まりが、解決されない
ので、小将棋には依然問題が有る事になり、

増川宏一氏の言う、
”持ち駒ルールが導入されれば、日本将棋がブレイクするので、持ち駒ルール
は西暦1500年程度の、(より遅い)発明とすべき”との論は、
推論の仕方が、いっけん尤もらしいが、実は誤りである

と、このブログでは、推定されているという事になるのである。(2017/09/14)

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