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大局将棋。水無瀬兼成作とみられる泰将棋の動きに準拠した駒の割合(長さん)

前回述べたように、大局将棋には、泰将棋、水無瀬兼成の将棋纂図部類抄、
または更に略して将棋部類抄バージョンの動きを、敢えて採用している駒
が有る。具体的に摩訶大大将棋以下に有る駒種で、水無瀬兼成の特殊な動
きを採用した泰将棋の動き、他の水無瀬兼成の将棋纂図部類抄の将棋種の
動き、他文献の摩訶大大将棋以下の駒種の動きのルールで、水無瀬泰将棋
とは、異なるより知られた動きのルール、以上三パターンのうち、大局将
棋では、どれを採用するケースが多いのかを、ざっとだがカウントして調
べてみた。なお、玉将のように、大局将棋以外では、八方踊りにならない
ような駒種は、以下では、カウントされない。また水無瀬泰将棋、その他
文献、大局将棋で三様になる”大局将棋独自”のケースは、水無瀬泰将棋
ルール不採用を示す”他”に、カウントされる。
以下結果。
駒種。採用された元情報。カウント結果(水無瀬泰/他)を順に示す。
01.前旗。無し/独自。他。
02.猛虎。水無瀬大大将棋。他。
03.右車。水無瀬摩訶大大。他。
04.左車。水無瀬摩訶大大。他。
05.走車。水無瀬大大将棋。他。
06.白象。水無瀬大大将棋。他。
07.兵士。水無瀬大大将棋。他。
08.大龍。水無瀬泰将棋。水無瀬泰。
09.猛鷲。水無瀬宮泰の左。水無瀬泰。
10.東夷。水無瀬大大将棋。他。
11.西戎。水無瀬大大将棋。他。
12.南蛮。水無瀬大大将棋。他。
13.北狄。水無瀬大大将棋。他。
14.白虎。水無瀬大大将棋。他。
15.青龍。水無瀬大大将棋。他。
16.金剛。水無瀬泰将棋。水無瀬泰。
17.力士。水無瀬泰将棋。水無瀬泰。
18.夜叉。水無瀬泰将棋。水無瀬泰。
19.古鵄。水無瀬泰将棋。水無瀬泰。
20.行鳥。水無瀬大大将棋。他。
21.無明。無し/独自。他。
22.提婆。無し/独自。他。
23.金翅。水無瀬加賀写本。水無瀬泰。
24.猛牛。水無瀬泰将棋。水無瀬泰。
25.毒蛇。無し/独自。他。
26.方行。水無瀬大大将棋。他。
27.猛熊。水無瀬宮泰の右?。水無瀬泰。
28.馬麟。無し/独自。他。
29.盲熊。水無瀬摩訶大大。他。
30.変狸。無し/独自。他。

ざっと、3割程度、他の文献では別の動きなのに、江戸時代にはマイナー
だったとみられる、水無瀬兼成の将棋纂図部類抄の、泰将棋のルールに敢
えて準拠している。なお、水無瀬兼成、将棋纂図部類抄の大大将棋等の駒
の動かし方のルールも、江戸時代の他の文献とは、合わないケースが多く、
大局将棋が水無瀬文献の、どこかの将棋種類の駒の動かし方ルールに合う
ケースは、他文献でも採用している、ありきたりの右車、左車を除くと、
7割程度にもなるとみられる。つまり、他の文献からは、高々左車と右車の
2種だけ参照しているのに対し、水無瀬の将棋部類抄は30のうち20以上
を採用している言う事である。が、他の文献とは合わない水無瀬の泰将棋と、
大大将棋を比べて、水無瀬の意見を取り入れつつも、大大将棋を取ったケー
スも4割とむしろ多いので、最初に厳格に方針を決めて、大局将棋が作成
された訳ではないとは言える。しかし、そもそも

水無瀬兼成の泰将棋の”江戸時代常識から見ての特殊な動き”を3割入れる
必然性は、明らかに普及の意味では薄い

と私には思われる。

大局将棋の作者が、水無瀬兼成の将棋纂図部類抄の泰将棋作者の努力の
継続を狙って、大局将棋を作成した事だけは、上記のカウント結果からみて、
ほぼ間違いが無い

と言えるような気がする。(2017/11/05)

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