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天竺大将棋の作者のうっかり(長さん)

駒数多数将棋の中に、少手数で終わりすぎるという理由で、癖のある
将棋として、天竺大将棋がある。試しにプレーした方が居て、跳び越え
のルールを”進む升目数の多少に制限の無い、空升目でしか着地でき
ない、大阪電気通信大学の踊りルール”にすると、多少面白くなるの
を発見されたようである。なお、大局将棋の天竺大将棋から取り入れた
跳び越え将位駒は、(味方の駒も殺してしまうが)上記のルールに近い
との説が、webで広まっているようだ。
 しかし、こうして改善しても、次の不自然感が、どうしても、取り除
け無かったようだ。すなわち、天竺大将棋には、

最下段の各駒が、ほとんど動かされずに、終局になりやすい

という傾向が有る。強い駒を入れすぎた結果、小駒の使い道が、無くな
ってしまったのである。
 ところで、天竺大将棋は、中将棋の形の模倣である事は、明らかであ
る。駒の抜け方が、左右中段に二箇所で、中将棋型であるし、前後左右
走り等の駒と斜め走り等の駒を、隣接升目に、並べておいているのも、
中将棋型である。そもそも、偶数升目盤を使い、下段中央に、玉将と
酔象を並べて置くのも、中将棋とこの将棋と、偶数升目の大局将棋の三
種だけだ。更に小駒が盲虎と猛豹で、二種に絞ってあるのも、中将棋と
一緒。その盲虎と猛豹の配列も、天竺大将棋のパターンと、中将棋の
パターンとは、同じである。従って、中将棋に合わせたら、天竺大将棋
の、上記、最下段の各駒が、ほとんど動かされずに終局に、なるしかな
いのかというと、

それは違うのではないか

と、私は最近思うようになった。天竺大将棋は、実は

もっと、中将棋に合わせた方が、むしろ良かったのかもしれない

のである。すなわち、
鉄将と桂馬を、大将棋という名にしたいがために、中将棋から、足した
のであろう。が、実はそれがまずくて鉄将と桂馬を入れるよりも、もっ
と良い手が有るように、私には思えてきているのである。答えをようや
くだが書くと、

銅将より袖は、鉄将、猛豹、桂馬、香車と並べるよりも、
       堅将、横将、猛豹、香車と並べるのが、
正解だったのではないか

と私は思う。なお、通常、大将、副将、飛将、角将の有る天竺大将棋
では、これらの駒が、跳び越える事のできる駒種を、”駒の挌ルール”
を作成して、調整している。私は、個人的には

跳び越え型の将駒は、将駒が跳び越えられない(が、直射の場合は取れる。)

に単純化した方が、判りやすいのではないかと、思っている。ここで、
横将は、横行の横の走りを、跳越え型にするものであるが、相手の大将
や副将も、この駒が跳び越えられない守り駒にするために、加えたもの
である。なお、堅将も、鉄将と違って、跳び越え駒なので、中盤で相手
駒と討ちあうような使い方になり、タブ付く事は無くなる。
 もし、天竺大将棋の構成駒の要素が、これだけ変化するだけでも、

”空いていないと着地できない将駒ルールの天竺大将棋、有志(あーかさか・
さん等)の改良型”は、一段目駒ダブつき問題が、だいぶん改善される

のではないだろうか。なお、跳び越え将駒ルール改善型天竺大将棋の作戦
を、余り御存知無い方の為に、私が、つたない解説をすると、
真ん中の方の最下段に有る酔象、金将、銀将、銅将については、相手
”将駒”を、着地させないようにするため、下段にじっと、存在し続け
るということに、多少意味が有るのである。ところが、その更に袖の、
鉄将、猛豹、桂馬は、動きの速度が、天竺大将棋では単に遅すぎて、何も
使い道が無いので、最後まで初期位置のままに残った、無駄駒の感が有る
のである。つまり、

天竺大将棋に、中将棋には無い鉄将と桂馬を入れたのは、こうすると、
初期配列の、形がより尤もらしいように見た、作者の錯覚だった

のではないかと、私は最近考えるようになってきたという事だ。つまり、

中将棋に無い、鉄将と桂馬は、入れ無い方がよかった

と、私は思う。
 なお、天竺大将棋には、三歩不正行度駒が、強すぎるという問題もあ
る。これについては、以下余り、言及される方がおられないのだが、
松浦大六氏所蔵”象戯図式”の、中将棋の初期配列図の後、中将棋の
獅子のルールの説明の前に、

天竺大将棋より上では獅子も三歩不正行度駒にする

等との、記載がある。この話が余り評判が良くないのは、水無瀬兼成、
将棋纂図部類抄の、摩訶大大将棋口伝の、普通の獅子のルールと、合わ
ないからであろう。私見だが、象戯図式の”天竺大将棋より上”という
所で、”より上”が、余計だったような気がする。

天竺大将棋では獅子(と獅鷹)も三歩不正行度駒にする

にしたとしたら、賛成者は、多かったのではないのだろうか。つまり、

天竺大将棋では、獅子をディフェンスに使って、バランスを取るような、
ルール試案も、実は有る

のだ。
 以上のように天竺大将棋は、もともとオフェンスが強すぎて、箸に
も棒にも掛からない将棋ゲームのイメージが、一般にはあるようなの
だが。実は、鉄将と桂馬をムダに加えたという、

作者のちょっとしたミスで、ブレイクを逃してしまったボードゲーム

だったのかもしれないと、私は見るようになったのである。(2017/12/20)

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