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天竺大将棋を、八角形のチャンギ駒で指すのは妥当か(長さん)

前回、15升目の後期大将棋の盤を、16路の囲碁盤と見て、天竺
大将棋を指したと、紹介した。その際、後期大将棋の升目数が、
我々日本の遊戯史愛好家にとっては幻の、朝鮮広象棋(14段15
行)に近いため、新安沖沈没船出土将棋盤(?)は、朝鮮広将棋と、
なんらかの繋がりが、連想されると述べた。確かに朝鮮半島の象棋
に、駒の形を合わせる意味なら、囲碁盤に駒を置く象棋の駒は、
チャンギの八角形が良いように、いっけんすると思える。だが、
しょせん日本の将棋でしかない、天竺大将棋を、チャンギになぞら
えて、本当に矛盾が無いのであろうか。
 実は、致命傷が有るので、結論を書くと、

八方に動くように変えた駒が、天竺大将棋には全く無いので、八角
駒で指すのは妥当で無い

とみられる。つまり、チャンギが李氏朝鮮時代に成立した際、その
少し前に、駒を八角形にしたために、

馬の他に、象も八方動きに変更された

と見られるのである。日本の場合、陰陽道も、五行説も、八卦の占
いも、中国から輸入されて定着したが、

八卦思想だけは、外来文化に留まった。

理由は、たとえば新潮選書の、数学者、永田久氏著書の、「暦と占
いの科学」に書いてあり、八卦の中に”海の要素”が抜けているた
め、

日本では、森羅万象が全て、それに含まれるとは、少なくとも識者
には、イメージされなかった

ためである。それは八卦思想が、アジアの内陸部で成立したためだ
と、同成書に有る。それに対して、半島部に位置するとは言え、大
陸の一部である朝鮮半島では、陰陽道から直接に派生する八卦思想
は、明らかに日本よりも、強力だったようである。察するに、

チャンギの八角駒は形の通り、占いにも使われた

のだろう。結果、円と五角形の間を取るという、意味も恐らく有る
のだろうが、彼らは八卦思想にちなんで、駒を八角形にしたようだ。
 そして、更にその影響で、

象棋の駒は、八方に動くのが理想と考えられ、それまで斜め一升跳
びだった象が、馬より大きいもの、という意味をこめて、隣に進ん
でから、斜めに2つ進むに、変化した

とみられる。以前、このブログでは”謎の進化”としたチャンギの
象駒は、こうして出来たと考えて、余り矛盾は無さそうだ。すなわ
ちチャンギでは、駒の動きが、象や馬のように八方動きが、メジャー
との考えが、根底にあるのだろう。だが、日本の将棋でしかない
天竺大将棋には、奔王類のように、縦横斜めと全部走る駒は、確か
に有るが、私の変形版では無くなってしまった桂馬は、八方には跳
ばないし、酔象も、七方向に歩むだけであって

八方向進み駒を、工夫して増やしているという傾向が、特に無いし、
馬をむしろ、減らしている

のである。従って、天竺大将棋を少し変形しても、それだけでは、
”朝鮮大将棋”と言えるようなゲームには、しょせんなっていない
のであろう。よって、私の作成した変形天竺大将棋は、

漠然と”東洋大将棋”とでもして、

碁石駒で指すのが、少なくとも今の所、無難なように思えてきたの
である。(2017/12/22)

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