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大阪電気通信大学”摩訶大将棋net対局”論文には誤りが有るよう(長さん)

最近、大阪電気通信大学の高見友幸研究室のブログに、摩訶大将棋
連盟の主催の対局会等を、奈良市にて行うとの内容の、紹介記事が
載っている。ネットワーク対局システムを、活用するという記述もあ
り、同研究室が、5年位前に発表した表題の、それに関する論文
”摩訶大将棋のネットワーク対局、「エンターテインメントコンピュー
ティングシンポジウム(EC2013)」2013年10月、
大阪電気通信大学総合情報学部 デジタルゲーム学科 高見友幸研究室”
を、最近まじめに読んでみた。
 システムについては、何が出来るのかが、結論だけ紹介されている
という内容なため、幾ら説明されても同じ物は当然、私には作れな
いが、論文の文面の意味は、理解できた。
 そこでさっそく本論に入ると、私にどうしても、納得が行かなかっ
たのは、最後のページの11図で説明されている、先手の優位が、
後手の”獅子の一歩斜め前への前進から始まる、法性なり替わりの手”
で崩されたという、確かに

摩訶大将棋に特徴的な、”対局事例”の将棋の内容の説明である。

ひょっとして論文のこの部分の内容は、以下の点が変なのではないか。
 問題点を先に述べると、先手の金剛で、成り鳳凰と悪狼を取られた
後手、向こう側の棋士は、

先手の成り金剛の金将を、龍馬で取り返すのではなくて、最初から
有る奔王で、取り返すのが正しいように、私には思える

のである。
 論文のように指したので、結局後手は、鉤行を無くした事になり、
このケースは先手が、後手にできた法性を、少し後で、先手の鉤行で
取り返して、結局先手が勝ったのではないかと、私には疑われた。
 下に、字は判らなくしたが、どの論文だったのか、判る程度に、
論文の画像を示した。なお、論文自体はweb上で公開されている。

摩訶大大将棋ネットワーク.gif

 論文の文面中の赤でラインをつけた部分に、

”法性の取り合いで、勝った方が、摩訶大将棋では概ね勝つ”

との意味の事が書いてある。が、私はこれは、時と場合ではないか
と疑う。つまり、

論文のこの部分の内容は、一般論として、まずもって変だ。

つまり、鉤行の方が法性よりも、摩訶大将棋では、玉詰み能力が強い
ので”鉤行をなり替わり”をしてまで、法性の取り合いで勝とうとし
ては、そもそもだめなのではないか。この論文では、最後に先手が、
鉤行で相手の、2013年当時は、大阪電気通信大学ルールでも、斜
めに踊れた、夜叉替わりの法性を取ったのだが、その結果、少し駒を
動かせば、今度は先手の鉤行で、後手の法性が、狙われ、追われるよ
うになっているように思える。
 それに対して、成り金剛を龍馬で後手が取り返さないで、局面の、
10五の位置に居る、元からの奔王で取ったとする。そうすれば、
本ブログの上の写真の、左上棋譜の小さな赤い四角のすぐ下段の、
やや見難いが、青い四角(□)の位置に当たる、7十の位置での、
”法性への、なり替わり合い”で、後手は、論文のように、順に

羅刹、左車、龍馬、獅子、鉤行で先手駒を取るのではなくて、順に
羅刹、左車、奔王、龍馬、獅子で先手駒を取る事が出来るようになる

のだと、私は思う。その結果、最後の先手の踊った夜叉(当時のルー
ル)は、後手の鉤行ではなくて、後手の獅子で取れるので、後手は、
結果的には獅子が法性に昇格し、

鉤行の法性への降格は、免れる

と思われるのである。このように進めば、論文では実際の結果の報告
が、はっきりとは示されて居無いので良く判らないが、後手鉤行が
無ければ、先手がそれでも勝て、後手鉤行が残れば、恐らく後手が
勝てるだろうと、私は予想する。
 よって、このケース、下側の先手は7十の位置への、後手の鉤行の
利きは、この高見研究室論文が指摘するように、見落としても、奔王
が斜めに利いている事までは、見落としにくいだろうから、そもそも

▲7十無明成という、右側の図のような手を、指してこないのでは
ないか

とも、疑われる。だから、この例を出すには、そもそも本ブログの写
真で、左上の棋譜で緑の四角(□)で示した、

10五の位置に、後手の奔王が有るような棋譜事例では、だめだった

というのが、正しいのではないかと疑うのである。
 以上は、この論文の主要な題材からは、外れる内容ではある。
従って、以上のような内容の点に、この論文には、問題があっても、
主要な部分の、価値を損ねる事には、たぶんならないのだろう。
そもそも対局事例も、棋譜の”奔王”に一箇所、ミスがあっただけだ。
そこでこのようなタイプの、論文の問題は、

著者よりも査読者の方に、誤りの見逃し責任が、問われるような内容

かとも、疑われる。後手の龍馬、奔王は、このケースでは、文面にも
登場する後手の悪狼の、すぐ斜め隣に居るわけだし、後2者は、
中将棋にも有る駒であるから、査読者は念のため、中将棋のブレーヤー
等に、この部分の記載を、問い合わせるべきだったのではないのか。
 何れにしても、この論文を読み、将棋のネットワーク対局について、
私も幾らか興味は持てた。
 摩訶大将棋連盟の、webをも活用予定と言う、この春予定されて
いるイベントが成功するよう、私も心から御祈り致す次第である。
(2018/02/23)

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