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流行末期の大将棋駒を使い”王将詰め遊び”で13升目盤をチェック(長さん)

本ブログが開設して間もなくのころに、麒麟抄が”偽書”であるにして
も、南北朝時代の情報を伝えているとして、”将棋の駒の成りが、皆金
である”事を、示唆しているのではないか。そしてその事から、たとえ
ば、西暦1300年ころの普通唱導集時代の大将棋が、西暦1350年頃
まで、かろうじて生きているとして、その大将棋の駒も、水無瀬兼成の
将棋纂図部類抄の後期大将棋よりは、金成りが多いのではないかとの、
ぼんやりとした仮説を、述べた事があった。
 つまり南北朝時代の大将棋の駒は、歩兵以外にも、金に成るのが多かっ
たのではないかという事である。この南北朝時代の将棋に関する仮説は、

栃木県小山市神鳥谷曲輪遺跡出土の、裏一文字金角行駒が、今の所
唯一の、それを示唆する史料

である。角行が金成りなのは、横行を人間の類と、見ているからであろ
う。その他、飛車も奔車の類とみて、平安大将棋の、二中歴大将棋記述
の不明の末尾十文字が、奔車の金成も示唆しているとして、飛車も、
南北朝時代の普通唱導集大将棋では、奔車に類と見られて、金に成るの
かもしれないと思う。その他、平安大将棋といっしょで、銀将、銅将、
鉄将、桂馬、香車も、水無瀬の後期大将棋とは違って、金成りに違いな
い。しかし飛龍、猛牛、嗔猪は、動物でかつ、嗔猪も含めて、後退でき
るとすれば、二中歴の平安大将棋流で行けば、恐らく不成りなのであろ
うが。
 以上、ごちゃごちゃ述べたが、仮説普通唱導集大将棋の初期配列は、
5段目以下が結局、

五段目:口口口口口口仲人口口口口口口口口口口仲人口口口口口口
四段目:歩兵歩兵歩兵歩兵歩兵歩兵歩兵歩兵歩兵歩兵歩兵歩兵歩兵
三段目:飛車横行堅行角行龍馬龍王奔王龍王龍馬角行堅行横行飛車
二段目:反車飛龍嗔猪猛牛猛虎麒麟酔象鳳凰猛虎猛牛嗔猪飛龍反車
一段目:香車桂馬鉄将銅将銀将金将玉将金将銀将銅将鉄将桂馬香車

と、初期配列され、その

南北朝時代の、麒麟抄型の金成りの多い、駒裏の”成り駒の図”は、

五段目:口口口口口口金将口口口口口口口口口口金将口口口口口口
四段目:と金と金と金と金と金と金と金と金と金と金と金と金と金
三段目:金将金将金将金将不成不成不成不成不成金将金将金将金将
二段目:金将不成不成不成不成獅子太子奔王不成不成不成不成金将
一段目:金将金将金将金将金将不成不成不成金将金将金将金将金将

という事になる。ちなみに、水無瀬兼成の時代の、後期大将棋流だと、
4段目以外は、全部金に成らないのである。なお、繰り返しになるが、
正調の平安大将棋流だと、横行系は、たぶん不成り、飛車も不成り
だろうから、3段目が全部不成りなので、やはり(仮説・麒麟抄の時代
の)南北朝時代流よりは、金成りは、より少なくなる。
 そこで、以下は想像なのだが、

駒の裏が金が多い事を使って、童遊文化史にある、王将詰めゲームの類
が、出来ないものかと考えた。

つまり金で守られた王将を、他方が最初から、持ち駒を持っていて、
金を剥がしながら、王を詰めるようなゲームが、できないかと、と言う
事である。金将を剥がして行くので、金持ち王様から、金を巻き上げ、
身包み剥いでから、倒してしまうような、

以下は”現代”にも通じる、日本の南北朝時代のゲームである。

金持将棋.gif

 調整してみると、角行動きの攻め方の飛龍を、写真のように各辺の
中央に置いて、初期持ち駒20枚を、写真のような組合せで持って、
聖目で囲まれた範囲に、金将がぎっしり並んだ、王将が1枚で、金将
が24枚、合計25枚の相手駒を、主として持ち駒を打つ事により攻
め、王将が詰んだら1ポイント取得とする。そして、交互にゲームを
繰り返し、獲得ポイントが多い場合は、多いほうの勝ち。同点の場合
は、捕獲した、金将駒の合計数の、多いほうが勝ちという、ゲームに
するのが、詰め将棋の”精神”には合わないが、ゲームとしては、判
り易くて良いように思われた。
 なお、王将周りの金将として成りの金のうち、南北朝期普通唱導集
大将棋(仮説)に特徴的な、成り金である、飛車、角行、堅行、横行、
銅将、鉄将の裏の金を使うと良いように思える。ただし、別のでも、
ゲームに支障は無い。
 その結果、攻め方の駒は、その他から選ぶことになるが、飛龍は、
4枚とも例外的に使う事にして、その他の駒は、普通唱導集大将棋の、
片一方の駒で足りる。飛龍と金として使った駒を除くと、片方54枚
の駒のうち、14枚が使われていて、残りが40枚だが、更に玉将1
枚と、金将2枚、歩兵13枚、それにあまりに強い龍王2枚と、龍馬
2枚は、使用し無い事にすると、残りは20枚となり、もともと辺の
中点に配置する飛龍4枚で、攻め方も24枚(予め、初期持ち駒とし
て持てるのは、20枚)と言う内訳である。なお、守り方は成り金な
ので当然だが、このゲームでは、攻め方の駒も全部不成りとする。
”麒麟が獅子に成るルール”だと、攻め方が、余りに有利である。
 また、攻め方は、ゲーム開始時、20枚駒を持つが、基本的には、
このゲームは、駒を取り捨てて、持ち駒としては使用しない。特に、
攻め方が、守り方から取った金将は、後で勝敗を決めるときに使用さ
れる。
 そしてこのとき、飛龍を辺の中点に、写真のように配置するといい
のは、初手▲4四銀等と指したとき、さいしょから、その銀将には、
繋ぎ駒が付くので、攻め方の勢いが、適正に付く。また、4枚ともに
飛龍の利き筋から、外れた升目が、これで盤面半分できるので、先手
の攻撃力を、小さくして、余りにも簡単に後手王将が、捕まらないよ
うにしている。また、写真のように、ゲームの初期配列としての見栄
えも、それなりに良い。実際に、このような将棋遊びが、有ったと言
う保障は、今の所無いが。しかし一応このとき、13升目だから、写
真のような飛龍配置になるのであり、

15升目盤に交換してしまうと、
飛龍は2段目に配置しなければならず、もっともらしさが低下する。

 つまり、普通唱導集大将棋があまりに面倒だったため、より早く勝
負をつけようとして、このような、金回りの良い王将の、王将詰め遊
びを、その時代に思いついたとしたら、

左右両方の金の、死角に当てられた銀に、紐としてつけた角行動きの
駒が、見栄えとして、盤が13升目のときに、一番尤もらしくなる

という事ではあると思う。

つまり、以上のような遊びが有ったという情報が出土すると、その
遊びに使用した、盤の升目は13升目の可能性が、少し高くなる

と、言う事であろう。
 普通唱導集の時代の大将棋の初期配列情報が、文献等として発掘さ
れるのが、むろんベストではあるのだが。
 何か、将棋倒しの話のような、別の将棋遊びの話から、中世の大将
棋に関する、新たな情報が得られないものかと考え、一例として、以
上述べたようなゲームを、考えて見たところである。(2018/02/25)

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