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後期大将棋。普通唱導集大将棋部分の第2節と、どう合わないのか(長さん)

普通唱導集の”大将棋”を、15升目の後期大将棋で再現しようとしても、
①桂馬が有効な位置で、仲人を支えないため、第2節の内容の局面が、作
れない点が、一番大きな難点である。
 しかし、実際には桂馬では、支えられないのだから、第1節の内容のよ
うな、”香車・反車が耳を破り、飛車を退け勝ちを取る”と唄われる、
守り側に不利な状態は、一応作れる。ただし、玉陣が堅いので、この後、
②袖に麒麟を成りこませても、”勝ちはとれ”ないので、第1節の内容と
も、かなりヅレてはいる。
 また、そのほかにも、第3として、③第2節のように、仲人の位置で、
陣地を作り、支えようとは、守り側はそもそも、しないのではないかとい
う、疑問があると、前から私は見ている。そこで今回はその説明を、正確
にしてみようと思い、写真のような説明局面を、作成してみた。

後期大将棋.gif

写真で攻めて来るのは向こう側であり、この場合は、写真の灰色の四角で
囲った、攻め側の仲人を、守り側の仲人に当てた、局面である。普通唱導
集では、赤い細線で示したように、予め攻め側が、タスキがけに、相手陣
の初期配列の位置で言うと横行位置に、斜め走り駒を当てる訳である。こ
こで斜め走り駒の枚数は不明だが、ここでは最大限4枚(角×2、龍馬×
2)を使って、攻めるとしてみた。写真のように、こちらの守り側の仲人
は”嗔猪と腹を合わせても居無いし、桂馬で支えられ”ても居無い。実は
それどころか、守り方は、この後漫然と、相手仲人を取って、仲人位置の
陣地としての守りを、簡単に解いてしまおうという、温泉気分のように、
ヌルい手を指そうとしているのだが、この場合は、それでも

大丈夫だと見られる。

 なぜなら、相手斜め走り駒の攻撃方向には、端筋に達する前に、15升
目の後期大将棋では、初期配列で、飛龍・猛牛・空升目・桂馬と並ぶ筋が、
13升目型の仮説大将棋とは異なり、もう一列、存在するからである。つ
まり、初期配置で、猛牛、写真の現在の配置で言うと、黄色い升目で囲っ
た、

猫叉の位置で、相手の攻撃を受ける手が発生する

のである。写真のように、この猫叉には、嗔猪、鉄将、猛牛、それに横行
の4枚の比較的弱い駒が、繋ぎ駒として利いた駒組が出来うる。そこで、
攻撃側は4枚の斜め走りの大駒を、全部犠牲にしても、守り側には

横行という、成り麒麟の進出にとって、大いに妨害になる駒が1枚残る

のである。他方、写真のように、守り方の端筋の守りも、たいへん堅く、
端筋から攻め方が、飛車、反車、香車を犠牲にして攻めても、守り方には、
飛車は退けられるが、反車、香車が残る。つまり、

耳を破ったのは、守り方の方になる

のである。よって、守り方が、初期配列で猛牛の位置を、守りの焦点とす
るような陣を組むのが、普通唱導集型の攻撃を支える、唄の内容とは、全
く違う守りの定跡に、なってしまうのである。言うならば、元唄の第2節
”仲人嗔猪が腹を合わせ、桂馬を飛ばして支え得る”のではなくて、

”鉄嗔猛牛端に合わせ、横行退き支え得る”の方が正しい

と言う事に、なってしまうと言う事だろう。よって、普通唱導集の第2節
のようには、端攻めに対して、”仲人位置の陣”型では守らないという点
でも、後期大将棋が普通唱導集の大将棋だというのは、それは違うだろう
と、私は考えるのである。(2018/03/12)

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