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自費出版、岡野伸著書”中国の将棋”(2000年)に改定版(長さん)

今から一ヶ月前の2018年4月末、表題のように、将棋ゲーム類
の研究家として、1990年代には既に、盛んに活動されていた、
岡野伸氏が、自費出版書のうちで、”中国の将棋”との題であった
と見られる書の、改定版を出版されたようである。私には岡野氏自
体が、永らく消息不明であったが、これを読むと、最近も遊戯史の
研究を、少しずつだが継続されているようで、ありがたい事である。
改定版の名称は、”情報印刷㈱にて作成。 岡野伸著書
「中国の諸象棋改訂版」2018年4月30日発行”
となっていた。なお情報印刷㈱は、神奈川県川崎市に有る印刷会社
とのことである。
 改定前の版でも記載はされており、ゲームを説明する盤駒の写真
が、岡野伸氏の旧版著では曖昧だった模様だが、別の史料である
出土物の石製将棋盤から、漢代にも有ったシャンチーの変形ゲーム
かと、増川宏一著「将棋Ⅰ」(1977)に、ミステリアスに、記
載されていた、三国時代を模した三象棋または、三国象棋(三人制
中国シャンチー)が、はるかに時代が下って

南宋の時代に、盛んに指されていたもの

との情報が、文面で明解に記載されていた。私は知らなかったが、
南宋時代の晃公武の郡斎読書誌、同じく南宋時代の陳振孫の
直斎書録解題に、三象棋の盤を使用する、象棋が載っていたのが、
かなり前に、中国で発見されていたらしい。またこの書籍には、
清王朝の時代に、鄭普徳が発明した、三友象棋が、駒の構成が、
増川氏の指摘と違って、シャンチーと少し違うものの、同じ形の
象棋盤を使用するゲームであるとの旨が、将棋Ⅰの出土石版の
将棋盤の写真と、三友象棋の盤とが同じである事が、明確に判るよ
うに、岡野氏の上記著書の改訂版では、図が2枚載っていた。
 これらによって、

中国シャンチーが、北宋の時代にまで、開発のハードルの高さから、
完成がもつれ込んだ、唐の時代から世界的には存在した、イスラム・
シャトランジ、のみを母体とするゲームであるとの認識は、明白に
正しい

と、私には感じられた。優秀な書籍が、絶版状態であったようだ。
 何れにしても近年の、中国のゲーム史の研究家の努力にも、頭が
下がるし、相変わらず国内でゲーム史の研究に、かかわりを続けて
おられる岡野伸氏にも、彼の研究の継続に対し、大いに歓迎の意を
表したいと、考える次第である。(2018/06/02)

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