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将棋駒の40枚制。理由が草場純氏と本ブログで違うのは何故(長さん)

日本の著名な遊戯史の研究家の草場純氏が、増川宏一氏の著書のひとつ
「将棋の駒は何故40枚か」の続論を、ゲーム性の観点から述べている。
web上にも、”ゲーム研究家・草場純(くさばじゅん)さんの研究を
収集するサイト”という名の、草場純氏の業績を紹介するブログに、
全文が載っている。
 彼の論では、

「ゲーム性で40枚の訳は説明できる」とするのだが、本ブログの結論
とは正反対である。

そこで、今回は正しいのがどちらかも然ることながら、そもそも結論の
差が、何処から現われたのかを論題にする。
 答えから、何時ものように書こう。

解析結果を数字で表現すると、草場氏と本ブログとで、33%~67%
(草場)と、47%~62%(本ブログ)が、ゲーム性のみ条件の際の
許容占有率となり、実は似たりよったりの値だった。しかし、本ブログ
では「ぴたりと、49%(40枚制)にならないと、ゲーム性によるも
のとは結論されない」と、解析の際、結果を解釈したので、草場氏の結
論とは、真逆になった

と考えられる。
 では、以上について、もう少し詳しく解説する。
 草場氏の文面では、シャンチーやマックルックのような、取り捨て型
のゲームも、持ち駒型の日本将棋に混ぜて、ダーウィンの自然淘汰の論
のように、今に生き残ったゲームは、ゲーム性が高いと解釈して、ゲー
ム性が高いゲームの占有率を、計算した事にしていると、私は認識する。
それに対して、本ブログの上記の数字は、36枚制の標準的な平安小将
棋と土台はいっしょとして、飛車角駒に当たる、室町~戦国時代追加駒
をいろいろ追加したときに、ゲーム性が保存される範囲を示している。
解析結果の数字が、ぴたりとしておらず、特に下限が草場氏の結論で低
いのは、数字の内容がもともと異なるためだ。
 しかし、その問題よりも、ここでは、

「ぴたりと、49%(40枚制)にならないと、答えたことにならない」
と考えるかどうかが、論の結論に影響している事は、余りにも明らか

である。長い間に生き残ったゲームや、最近作の評判の良いゲームの
「許容占有率平均が50%付近だから、日本将棋の枚数が40枚である」
との表現で、40枚が必然かという問いに、yes.と答えたことになる
とは、本ブログでは全く見て居無いのである。
38でもなく、42でもなく、日本将棋の枚数は40枚であって、

「偏差が生じる余地がほとんど無い」ようにも見える理由を解くのが課題

と、本ブログでは見ているからである。だから、論の結論が、草場氏と本
ブログとで全く逆なのは、当然である。
 以上で、今回は終わりでも良いが、内容がやや希薄なので、最後に蛇足
で解析結果の数字の差について、もう少し言及する。
 草場純氏の解析法で、最適占有率を出すところで彼が述べている、中国
シャンチー・朝鮮チャンギに対する解釈は、砲の効果に言及されていない
点を除けば、全くお見事である。ただし、マックルック(マークルック)
とシットゥインについては、長い間生き残ったゲームではあるが、最適占
有率より、少しアンダーな状態で、我慢して指していると私は思っている。
そもそも取り捨て将棋の、最適占有率の平均は、8の二乗の64升目や、
9の二乗の81升目条件のときには、50%よりも、かなり高くなると、
私は思っているのである。

全体として草場氏の方が本ブログより、数値が低めなのは、マックルック
(マークルック)とシットゥインについての認識の差が、最も効いている

と、少なくとも本ブログの認識とを比較すると、そうなると私は考えてい
る。
 更に最後に些細な追加をする。盤升目をどんどん大きくするとどうなる
というかについては、草場氏はほぼ言及されていない。私は敢えて、その
点をも考えると、最適占有率は盤升目にかなり強く依存するとみる。初期
配列での中間空隙段を、駒を大量に増やした場合にそのまま増大させると、

戦場が広すぎて、人間には面白いゲームと感じられなくなる

と、私が見るからである。つまり、もろもろのチェス・象棋・将棋型ゲー
ムの許容占有率の平均は、9×9升目盤では、33%~67%程度に間違
いないのかもしれないが、盤升目を大きくするに従い、漸近的に1に近づ
くだろうと、ここでは見ているという事である。(2018/07/10)

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