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一乗谷朝倉氏遺跡呪術木簡。”象棋北周武帝作成”説を示唆か(長さん)

以前、カルタ札かと本ブログで述べたが、一乗谷朝倉氏遺跡から、
”玉将”の絵と見られるものを含む、”呪術用か”とされる木簡
が、多数の将棋駒とは別に出土している。再度写真を掲載すると
以下のようなものである。

一乗谷木札.gif

 ところで前に述べたように、中国シャンチーは、北周の武帝が
西暦569年に完成したという、江戸時代に日本でも流布した、
将棋史の説と関連して、臣僚のユ信による賦(解説文)に、読み
下すと以下のような下りがあるとされる。

四方の正色を取りて、五徳の相生を用う。月建に従って左転し、
黄鐘に起こって順行す。陰翻れば即ち顧兎先ず出て、陽変ずれば
則ち霊鳥独り明らかなり。

この北周の武帝の臣僚のユ信による、武帝完成の象経に対する賦
の一部と、一乗谷朝倉氏遺跡の、前記の木簡を比べてみると、

兎と鳥が出てくるという点と、将棋と象経とが対応しているとい
う2点で、共通性があるように見える

という事実がある。そこで今回の論題は、カルタ札であるにして
も無いにしても、一乗谷朝倉氏遺跡のこの呪術木簡に、ユ信の賦
の一節の、

顧兎と霊鳥を連想させるキャラクターが有る事から考えられる点

とする。
 そこで、まずは結論を述べる。

戦国時代の一乗谷朝倉氏遺跡の住人の中に、日本将棋と朝倉小将
棋を指す人間だけでなく、将棋史研究家も住んでいた事を示唆

するのではないかと、本ブログでは推定する。
 では、以上の結論に至る経過を、以下に説明する。
 一乗谷朝倉氏遺跡から出土した、玉将の絵と、兎と鳥の絵を含
む木簡は、将棋の駒、玉将が書かれた側が表として、

表面には、”陰の気が無くなりつつあるときには顧兎が出る”事
裏面には、”斜陽になりつつある状態のときには霊鳥だけが輝く”

事が、陰陽道の理を現すものとして、記載されているのかもしれ
ないと、図柄からは一応疑えると、私は考える。
 兎の下のレンガの破片のようなものが何を意味するのかは、判
らないが、その下に将棋駒が書いてあるという事は、
ひょっとすると、象経に関連するユ信の、前記の賦の部分にちな
んでいる事を、示すつもりで、朝倉氏遺跡の作者が、兎の絵を入
れたのかもしれない。であるとすれば、この”呪術木簡?”を作
成した、一乗谷朝倉氏遺跡の書家は、日本では、

戦国時代にも、”将棋は、北周の武帝が作成したものである”と、
江戸時代同様、考えられていた事を示唆している

のかもしれない。つまり日本での、将棋の起源に関する認識が、
西暦1500年頃と西暦1650年頃の約150年間で、差は無
いという事かもしれない。しかもこのような将棋史絡みの木簡は、

将棋史に、呪術木簡(?)製作を業とする書家が、興味が無けれ
ば作成されない

と見られる。つまり、

一乗谷朝倉氏遺跡には戦国時代に、将棋史が研究され、ある程度
知識が普及していた

と言う事なのではないかと、私には疑われる。
 なお将棋史の研究が、一乗谷朝倉氏遺跡では戦国時代に研究さ
れたと推定させる別の根拠としては、

出土将棋駒の中に、成りホータン(和田「玉」)歩兵駒が有る事

も、挙げられるのではないかと、私は思う。ネフライト製の造形
物の存在を、歩兵の裏の”和田”と書いた、将棋駒の字書き師は
知っており、将棋駒の玉将と、ネフライトの仏像等の造形物との
間に、関連性が有りと見ていたのかもしれない。”玉将駒の形が
昔、どういうもので有ったのか”と考える人間は、将棋史の研究
家に含まれると考えられる。つまり、
成りホータン歩兵駒を作成した駒師と、裏霊鳥表顧兎玉将(仮称)
の絵の木簡を作成した呪術師(?)との間に、将棋の歴史に関し
て、共通の問題意識、

ようするに、日本の将棋は、どのようにして成立したのか
という問いの共通性が、感じられる

のである。
 よってこのように、示唆する遺物が2つあると、私には認識さ
れるようになったため、

一乗谷朝倉氏遺跡には、単に日本将棋を指すだけでなく、将棋史
を研究していた知識人が、ひょっとして住んで居たのではないか

と、私には考えられるようになった。ただ私には、今述べた呪術
木簡について、霊鳥の下の”魚”にも見えるような字と、草で編
んだ”列”という字にも見える図柄、それに表面の兎と将棋駒
の間に書かれた、四角い小さな物体の絵の3点が、何を意味する
のかは、依然良く判らない。
 ただし、将棋駒と兎と鳥という、関連付けが難しいと見られて
いたキャラクターには、北周武帝の象経に関連した、武帝の臣僚
のユ信による、武帝完成の象経に対する賦の一節のキャラクター、
顧兎と霊鳥との間に、共通性が感じられたという解明の前進が、
今回多少は有ったように思える。(2018/08/20)

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