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良季の居た観勝寺。13升目108枚制大将棋指すのに似合いか(長さん)

前に、鎌倉時代は熊野信仰が著名で、熊野には13社権現仏が存在す
るため、寺社で、13×13升目であろうと本ブログで想定する、
普通唱導集の大将棋を、京都府京都市東山区にあったとされる、密教
系とみられる寺院、東山観勝寺で住僧の良季(普通唱導集の編者)が
指すのに違和感は、時代的には無かったであろうとの旨を論じた。
 ところで、密教と言えば曼荼羅図が有名である。曼荼羅は108煩
悩に関連するため、108枚制とここでは見る、西暦1300年頃の
13升目制の普通唱導集大将棋(本ブログ仮説)と、親和性がある。
 では、13升目という点で、曼荼羅と本ブログの普通唱導集大将棋
は、類似性があるのかどうかを、ここでは問題にする。いつものよう
に回答から書き、ついで説明を加える。
密教に於いてポピュラーな、インド仏教流の曼荼羅、”金剛界曼荼羅”
図の1/9ユニットの多くは、13升目の将棋盤に、61柱程度の仏
像を配したような形になっており、

密教系の寺院で、曼荼羅になぞらえながら、13升目108枚制の
大将棋を指すのは、まったくもってお似合い

だったと言える。
 では以下に、説明を加える。
 普通唱導集の編者とされる僧の良季は、普通唱導集の内容から見て
真言宗でも、曼荼羅と関連が深い、真言密教(東密)系の僧であろう
とみられている。今は京都市東山区で安井金比羅宮として存続してい
る古寺の、東山観勝寺も、東密系の寺だったのであろう。崇徳上皇や、
その御前で、恐らく平安大将棋を指したと見られる、藤原頼長を祭っ
ていたので、有名だったようである。
 ところで、東密系の寺院には何処にでも在ったと見られる”金剛界
曼荼羅”図は、3×3の9ユニットに分けられ、その1ユニットづつ
が、以下のような図になっているケースが多い。

金剛曼荼羅.gif

 上図はその1/9成分であるが、その中が更に、3×3の中ユニッ
トが中央にあって、額型に更にその外側に2重に、帯状ユニットが、
取り巻いている形にしばしばなっている。そして、中央部の3×3の
中ユニットは、更にそれぞれが、3×3の仏像が1柱づつ入る、小ユ
ニットに分かれている。ので、3×3の中ユニットは、全体として、
9×9の小ユニット、

つまり、9升目の平安小将棋の盤

のようでもある。だが、その外側に2重に帯ユニットが取り巻いてい
て、2重帯びユニットにも仏像が載っているので、”会”と称される

曼荼羅の1/9成分は、13×13升目の平安大将棋盤状

である。実は、9×9の小ユニットには、嗔猪駒とその行き先に当た
る升目に仏像を入れ、他は飾り升目にする形を単位として、嗔猪駒そ
のものに当たる中央仏像が、日本将棋盤で言うと、5五、5ニ、5八、
2五、8五の位置に配列されて、仏像25柱となり、更に2ニ、2八、
8ニ、8八にも、金剛界37尊と言われる、仏像が1柱づつ配列され
る。これで、合計29柱となる。更に、外枠のうちの、内側の方の帯
状の部分に、別の金剛界37尊の残りの一部が8柱配置されて、29
柱+8柱で、金剛界37尊になるとの事である。そしてさらには、外
枠の外側の方の帯状部分に、20柱の、金剛権天、金剛食天、
金剛衣天、調伏天等の37尊以外の神様が、配置されるという事であ
る。そのために今度は、金剛界曼荼羅1/9(会)ユニットを、
13升目の、平安大将棋盤に例えると、7段目で水平に、または、
中央筋の7筋目で垂直に見ると、図中の枠で示したように、

仏像が何れも13柱、並ぶ形に見える。

 つまり、将棋の初期配列のように上下に分かれて居無いし、仏像の
柱数も、108柱ではなくて、57柱、または地天、水天、火天、風
天を入れても、61柱程度が多く、本ブログの普通唱導集の大将棋の
駒数、108枚とは違うのではあるが、

13升目盤に、将棋駒が並んでいるのと、金剛界曼荼羅(会の1/9
ユニット)は、フォームが似ている

のである。
 従って、曼荼羅が108煩悩に関連しているため、描かれた仏像の
数が108でなくて61程度だが、

本ブログの仮定した普通唱導集大将棋(13升目、108枚型)は、
良季の居た、真言密教の寺院、東山観勝寺で指すには、まったくもっ
て、お似合いであると言える

と私は考える。
 なお法蔵館が、西暦1931年に発行した密教大事典によると、
配列は大将棋とは全く違うが、実態が良く判らない、百八尊を配置し
た、金剛界曼荼羅も、実在したとの文書記録だけは在るそうである。
むろん、以上の情報だけでは、

普通唱導集大将棋が、13升目制であるという証明にはならない。

単に、真言密教系の寺院では、13升目で108枚制の大将棋は、

場の空気にぴったりの遊戯と見られるというだけの事

ではある。つまり、たとえば15升目だと、金剛曼荼羅の会1/9ユ
ニットの3×3分割部には、十字であるにしても、嗔猪駒とその行き
先に当たる升目の、5柱仏構成ではなくて、

猛牛とその行き先に当たる升目の、9柱構成の曼荼羅を飾った、別の
曼荼羅図のある寺院の方が、指すのには似合っている

はずだという事である。(2018/10/05)

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