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平安大将棋は、なぜ3段配列から4段配列になったのか(長さん)

二中歴記載の平安大将棋は、3段配列と4段配列のケースがある
ため、歩兵の段数が明確に記載されて居無いというのが、本ブロ
グの見方である。
 一般には3段配列が有力であるが、中間段が7段では多すぎて
不釣合いであるから、中間段が5段になる、4段配列だったので
はないかという、議論がある。そのケースは、

4段配列にしたのは見栄えの為

という事になる。4段配列の初期の提唱者、溝口和彦氏は、横行
を3段目に、猛虎を2段目に、そして、飛龍を鉄将の上の3段目
に配列する方式を、彼のブログでだいぶん前に、発表している。
彼もまた、4段配列は見栄えのため、最初から4段配列だったと
見ていたようだ。
 本ブログでは、平安大将棋が何故あるのかという、そもそも論
から、平安小将棋と同様、多数派である、3段配列から出発した
とみる。そして、4段配列にしたのは、ゲーム性能がややマシに
なるためだと、前に表明した。しかし、その後考えてみると、
本ブログの4段配列の平安大将棋は、溝口モデルと異なり、

主に飛龍が、鉄将の2つ前の升目ではなくて、桂馬の2つ前の升
目としたため、互いに睨み合っていない

という点が、かなり違っている。その結果、猛虎と飛龍が筋違い
ではなくなり、猛虎と飛龍の連携は良くなるのだが。致し返しで
先手が、飛龍先の歩兵を上げた第一手目で、初期配列のままでは、
後手にとっては、自分の繋ぎ駒の無い歩兵に、相手の飛龍が当たっ
ているという、好ましくない事が起こる。だから、先手は飛龍先
の歩兵を上げるが、後手は、猛虎で、繋ぎ駒の無い、当たった
歩兵を守る手を指さなければなら無い。
 具体的に、左右の飛龍先の歩兵を上げると、4手目には、以下
のような局面になるのである。

4段平安4手目.gif

 つまり、4手まで先手が攻める一方、後手が守る一方となる。

これでは、先手必勝とまでは行かないにしても、先手有利な、
性質の悪いゲームになりはしないかという、懸念があるかもしれ
ない。
 そこで、今回の論題は、少なくとも

本ブログの、4段配列の平安大将棋はゲーム性で、難が無いのか

としよう。
 いつものように以下回答を先に書き、次いで説明を後で加える。
そこで回答を次に書く。

難は無い。この後5手目に、先手の攻めの継続手は無い。

 次に説明を書く。実は、平安大将棋では、4段歩兵配列にし、
注人を5段目に持ってくると、上の局面から、先手が5手目に、

▲7六(f)飛龍(左右どちらでも良い)が、指せない

のである。後手の注人で、△同注人と只取りになるからである。
なお、図では奔車が反、注人が仲になっているが、何れも間違
いだ。なお図から、先手は5段目に上げた両歩兵を4段目に戻
し、後手は、猛虎を先手と同じ形に下げると、初期配列になる。
つまり”二枚飛龍で相手陣の一点狙い”という手が、この将棋
には存在しない。更に、岩手県平泉の志羅山遺跡の両面飛龍の
出土駒が示すように、平安大将棋の飛龍は、桂馬と奔車を動か
す手を一手づつ入れ、狙われた駒が筋を変えてしまうと、それ
で取れなくなる。なぜなら、

角行動きだが、飛龍は相手陣で成れない

のである。だから、この局面から5手目以降に、先手に有効な
攻撃の継続手は、無いのではないかと私は疑っている。つまり、
この局面の後は、桂馬を上げる等の、攻撃陣を揃える手を、先
手は指さざるを得ず、後手が今度は飛龍を上げて、

9手目の所で、先手後手同じような形になってしまう可能性が
高い

と、私は見る。つまり、4手までは、確かに先手が先行するの
だが、この将棋の場合は、

先手が出だし、攻撃し、続けるような将棋になる事が無い

と、少なくとも私は思うのである。そして実際には、一旦鉄将
等で繋ぎをつけ、飛龍で取られるのを避けながら、猛虎を相手
飛龍に直射させたのちに上げてゆくと、今度は味方の飛龍の先
に、猛虎が進む形となって、じわじわと戦闘が始まる、将棋ゲー
ムとして好ましい形になると、みられる。繰り返すとそのとき、
桂馬や奔車が、相手飛龍の攻撃筋に無いように、予め動かして
おけば、早い時期から、相手飛龍の攻撃に晒されることも無い。
以上の事から、上の局面が第4手目になる、歩兵4段配列の、
平安大将棋(恐らく西暦1170年頃の改良型)は、

元の3段目配列の平安大将棋(西暦1110年頃)に比べて、
ゲーム性が、少しマシなので、4段配列に移行した

のだと、本ブログでは今の所見ている。それが正しいかどうか
の決め手は繰り返して言うと、上図で示した、この将棋の先手

第5手目の局面で、手前側の先手に、攻めの継続手が有るのか
どうかにかかっている

と、本ブログでは見ているのである。(2018/10/10)

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