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将棋盤の足の蓮座型。近世になってからなのでは無いか(長さん)

前に、中国の碁盤の足と日本の碁盤の足とが、前者が典型的には
床脚、後者が仏座の台座の蓮座型であるのは、仏教の影響力が、
日本の方が強いためとの議論を、本ブログでした事があった。
 しかし、文献を良く調べてみると、今述べた事は、一般論とし
ては正しいのかもしれないが、日本の中世に、中国と日本の碁盤・
将棋盤の足に、仏教の影響力という意味での差が有ったとの、確
かな証拠が無いのに、遅ればせながら本ブログの管理人にも、判っ
てきた。
 増川宏一氏の代表著書、ものと人間の文化史23-1、将棋Ⅰ
に、将棋盤の足の形についての、変遷の説明が載っている。それ
によると、将棋盤の足は、

平安時代から室町時代まで、逆L字型であって、蓮座型では無い

という。なお、同著書のこの部分で、増川氏は西暦1500年頃
とみられる、”厩図の将棋盤に足が無い”と記載されているが、
私の認識だと、

西暦1500年頃の厩図の将棋盤の足も、逆L字に書いてある

と認識する。つまり少なくとも

安土桃山時代前期まで、日本の将棋盤に仏座の台座の蓮座型の物
が有ったとの確たる証拠が、ひょっとして、無いのではないか

と、最近になって私には、疑うようになってきたと言う事で
ある。たとえば、”戦国大名の遺宝”山川出版(2015)の、
増川宏一氏記載のパートにも、足の有る将棋盤の現物の写真は、
江戸時代のものしか載っていなかったように思う。そこで確かに、
日本と中国で、碁盤や将棋盤の足の形に差があるのは、一般論と
しての、仏教勢力の相対的影響力の差だとは言える。しかし個別
には、日本の将棋盤の足が、仏座の台座の蓮座型であるのは、

江戸時代に、将棋の家元が寺社奉行管轄であったため程度の理由

であるという仮説を、これでは完全に否定できるほどのものでも、
無いように思えると言う事である。
 実際には、安土桃山時代の将棋盤や囲碁盤の脚がどうなってい
たのか、

事実認識そのものを、もう少し正確にすべきなのではないか。

以上のように、この問題については、さいきん私は考えるように
なってきたのである。(2018/11/15)
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