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奔王突入勝ち将棋。”後期大将棋が中将棋に先行”は駄目な訳(長さん)

前に花営三代記の、”奔王出して勝ち”将棋は、本ブログの言う、
13升目108枚制普通唱導集大将棋が、成り麒麟が出来た時点
で勝負が付いたという、故事に因んだ物との解釈を述べた。
従って、これも、このルールの解釈が正しいとしてだが、
後期大将棋が、中将棋に先行していては居なかった理由とした。
 しかしながら、後期大将棋にも普通唱導集大将棋本ブログ版の
性質が、仮に有ったら証拠にならないと言う意見も出よう。
 今回は、後期大将棋には、大駒である相手の奔王が、自陣に侵
入してきても、投了する理由が無い事を、一応説明しておく事に
する。これについては、前に、普通唱導集大将棋が後期大将棋に
進化(退化)するときに、予め13升目のままで、自陣を5段目
にしてから、15升目化しては駄目だと述べたが、そのときの理
屈が、実は適用できる。つまり”縦ないし、縦横走り駒が、端筋
で中盤初めに大きく消耗して、攻守バランスが、守り側に大きく
傾くため、ゲーム性能で難の有る将棋になる”との旨を、そのと
き述べたのだが、その局面で相手陣で残るのが、実は奔王一枚だ
からである。
 では、判りやすく変化局面を示めそう。
 下記は、後期大将棋の序盤の図で、ゲーム開始の時点から、
先後手共に、左龍王先の歩兵を上げて龍馬を中段に出し、石将を
初期位置から、2つ上げた所である。

01_08_1.GIF

実は、

後期大将棋の陣は、普通唱導集大将棋(本ブログ型)や、中将棋
とは違い、袖が市松模様に、駒が配列されている為

に、写真で線を入れて示したが、たとえば竪行先の歩兵を、後の
大駒の交換を避けるために、予め上げてから、反車と香車を、
一升目前進させ、奔王をジグザグに動かすと、

簡単に、雀刺しの陣が完成

するのである。
 そしてこの、雀刺しの局面からは、互いに端筋の歩を突き合っ
て、攻め側が歩兵を突き捨てると、走り駒の交換になって、交換
する数数が一枚多いために、互いに左辺の奔王が一枚残り、

奔王が相手陣に”出”されると、超急戦の中盤初めで、終局状態
に達する

のである。この場合は、1手早いので、花営三代記の、”奔王出
して勝ち”将棋に関する我々の解釈が正しければ、下の局面で

先手の勝ち

だ。

01_08_2.GIF

 しかしながら言うまでも無く、それを示した上の棋譜の通り、
これは、本当に勝負が付いた状態からは、相当に遠い。
 というのも、奔王が出された、上の局面で説明すると、
後期大将棋の囲いは、普通唱導集大将棋(本ブログ型)や中将棋
と異なり、

2枚の盲虎と金将、前升目の酔象が、がっちり互いに連関した、
堅陣だからだ。実は、更に黄色の枠で囲った”銅将・猛豹”の
柱状の配列も、玉守りに大きく寄与

している。
 よって、

奔王が出て、やっと攻め合いが始まる所

であって、足利義持・義量時代の大将棋系将棋故事が後期大将棋
についてだったとしたら、少なくとも本ブログのような思考では、
”奔王を出して勝ちルール”は生まれない、はずなのだ。つまり、

上記の序盤手順の記憶が強烈に有ったとしたら、中将棋に奔王出
して勝ちルールを作る上で、大きな阻害要因になる

と言う意味だ。
 なお、普通唱導集大将棋(本ブログ型)では、麒麟が成り込む
事についてであり、別の最強格の、元からの奔王駒についてでは、
厳密には無いのではないかと、いう意見も出るかもしれない。
 しかしながら、後期大将棋で麒麟を、相手陣の横行付近に突入
させるという戦法の場合も、

後期大将棋では陣が健在であれば、赤い四角で囲った、大きな
獅子突入不能領域があり、やはり”成り麒麟の獅子を出して勝ち”
にも、普通唱導集大将棋(本ブログ型)と違い、ならない

のである。なお盲虎を猛虎のままにしたケースは、悪狼を守りに
加えるだけでよい。
 以上のように、奔王出して勝ちに関するルール解釈と発生経緯
が、本ブログの推定通りだったとしたらという、あくまで条件の
範囲内だが、

奔王出して勝つルールが有るという事と、後期大将棋が中将棋の
親であるという、現在のところ有力な説とは、互いに明らかに、
整合して居無い

という事になる訳なのである。(2019/01/12)

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