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本ブログ版普通唱導集大将棋に制限持駒ルールを導入してみる(長さん)

前に述べたように、日本将棋の強豪が、日本の駒数多数将棋に
参入しても、短期間なのは、取り捨て将棋だからである。
 つまり、持ち駒の使い方からチェックする思考を鍛えている
のに、取り捨て将棋で盤面上の駒の範囲で、着手を読む癖が
付くと、たいがい日本将棋は”強くならない”のである。大山
康晴永世名人が、中将棋やシャンチーに、生前熱心だったのは、
例外的だ。
 ところで、本ブログの、日本将棋の強豪への、お勧めの二番
手日本中世将棋は、普通唱導集大将棋の、小幅改善ゲームだ。
 このゲームも、原則的には取り捨てルールなので、入り口で
引返されてはもったいないことである。そこで、

中段にある、相手走り駒等大駒に駒取りを掛ける場合に限り、
二歩にならなければ、持駒を打ってよい

とのルールを、2017年版13升目108枚制普通唱導集
大将棋(本ブログ版・方行入り)で、やってみることにした。
 なお、そもそも普通唱導集大将棋(本ブログ版)は、本ブロ
グでしか、紹介されていない。猪、虎、牛、龍が、時計の文字
盤の順序で、2段目平安大将棋のそれを含む位置に、綺麗に配
列される、印象的な初期配列のゲームだが、知る人は居無い。
 そう愚痴っても始まらないので、概念的に説明すると、まず、
良く知られた平安大将棋の右辺は、次の形をしている。

4段目:注人口口口口口口口口口口口口
3段目:歩兵歩兵歩兵歩兵歩兵歩兵歩兵
2段目:横行口口猛虎口口口口飛龍奔車
1段目:玉将金将銀将銅将鉄将桂馬香車

中央列は記載しているので、13升目だが、7列有るわけだ。
次に、徳島県川西遺跡大将棋になると、4段目に歩兵が移る。

5段目:注人口口口口口口口口口口口口
4段目:歩兵歩兵歩兵歩兵歩兵歩兵歩兵
3段目:奔横口口口口口口口口口口飛車
2段目:横行口口猛虎口口口口飛龍反車
1段目:玉将金将銀将銅将鉄将桂馬香車

横行が、飛龍の上升目に移動して、これが発展したのが、
平安大将棋の発展形としての、本ブログの言う、
普通唱導集大将棋(仮説・普通唱導集記載型)である。

5段目:口口口口口口仲人口口口口口口
4段目:歩兵歩兵歩兵歩兵歩兵歩兵歩兵
3段目:奔王龍王龍馬角行堅行横行飛車
2段目:酔象鳳凰猛虎猛牛嗔猪飛龍反車(鳳凰位置左辺麒麟)
1段目:玉将金将銀将銅将鉄将桂馬香車

飛龍列が存在しないので、三段目の配列は、15升目130
枚制の後期大将棋よりも、更に規則的になっていたはずだ。
 この将棋は、右辺の横行位置を、斜め走り駒で狙い撃ちし
てから、端筋(耳)を”破って、飛車を退け”、左辺の鳳凰
の位置にある麒麟を進めて、横行前の歩兵位置で、獅子に、
成り込ませると”勝ちを取る”という、普通唱導集第1節の
攻め定跡が発生する。それを防ぐために予め、竪行前の歩兵
を進めて、図の竪行を中段に進めてから、嗔猪を前に歩ませ、
”仲人・嗔猪が腹を合わせ”ておいてついで、桂馬を、左前
に”飛ばして支える”、普通唱導集第2節の、防御の自明の
定跡が発生し、

面白く無い

のである。そこで、方行を入れて嗔猪を外し、配列を最小限
変えたのが、今回説明する以下の、本ブログの西暦2017
年型普通唱導集大将棋(右辺だけ半分記載)という事になる。
陰陽道の思想支配がもたらした、”猛虎猛牛嗔猪飛龍”配列
は、明治維新後には、生きて居無いと判断したわけである。

5段目:口口口口口口仲人口口口口口口
4段目:歩兵歩兵歩兵歩兵歩兵歩兵歩兵
3段目:奔王龍王龍馬角行堅行飛龍飛車
2段目:酔象鳳凰猛虎横行方行猛牛反車(鳳凰位置左辺麒麟)
1段目:玉将金将銀将銅将鉄将桂馬香車

 そこで今回は、この配列から取り捨て将棋を指し始めるの
では

無くて、中段に相手の走り駒か、跳び越え駒が有るとき、そ
の駒に当たりを付ける(相手走り駒ないし、跳び越え駒取り
を掛ける)場合に限り、二歩になら無ければ、持ち駒を自由
に打って良い

との、部分的な持ち駒ルールを導入して、一局指してみた。
 なお、後期大将棋で、似たようなルールのゲームを前に
本ブログでは紹介した。そのときには、走り駒だけで、跳び
越え駒である、相手獅子等には、当たりを付けるための、持
駒の使用は出来ないとしてやってみた。今回その点を変えた
のは、

成り麒麟が出来にくいようにして、むしろディフェンスを
強くするのが、狙い

だった。すなわち、この将棋では、相手の走り駒だけでなく
て、獅子、鳳凰、麒麟、飛龍、猛牛そして桂馬にも、持ち駒
を自由に使って、中段にいる相手駒にのみ、取りを掛ける事
ができるとしている。なお、飛龍、猛牛は、2017年版の
普通唱導集大将棋(本ブログのパターン)と同じく、初期配
列で、飛龍に猛牛からも繋ぎが付くようにするために、隣接
升目で止まれる、”1目ヲモヲトル”、踊り駒とした。
 後で紹介する棋譜では盲虎になっているが、猛に変えるの
を忘れた。ルールは猛虎であっても、現代盲虎のルールであ
り、”近くへ行くが、前(上)はゆけ(ぬ)無”い。なお、
酔象は本ブログの推定だが本当はこの時代、シャンチーの相・
象の動きだった疑いがある。ここでは、中将棋や朝倉小将棋
と同じく、”近くへ行くが、後(下)はゆけ無”いルールに、
している。
 成りは、”成りは(このケースは特に、並んだ)3枚”と
表現される、水無瀬兼成の将棋纂図部類抄の後期大将棋型だ
が、一段目の玉将と金将を除く駒と、反車は金将成りとして
いる。つまり成りは、本ブログの言う平安大将棋に近い型で、

5段目:口口口口口口金将口口口口口口
4段目:金将金将金将金将金将金将金将
3段目:不成不成不成不成不成不成不成
2段目:太子奔王不成不成不成不成金将(麒麟は獅子成)
1段目:不成不成金将金将金将金将金将

であり、第2標準に相応しく、日本将棋と同じ成り条件で、
相手陣4段目を基準に成る。実際に指した終局場面の棋譜の
写真を、以下に示す。

普通唱導2017持駒.gif

 この局では、先手が良い線まで行ったが、最後になって、

9九位置に居る龍馬を、この位置に上げ、相手に大量の持駒
打ちの機会を与える失策をしてしまい、先手の力負け

となる一局だった。
 この事から、この将棋は

やや、オフェンス(攻撃力)過剰

の傾向があるとみられる。ただし本ブログの管理人は、持駒
ルールの将棋が比較的苦手なため、出来が悪いとの感触が、
余り感じられなかった。
 が恐らく、持ち駒ルールのあるゲームの思考に巧みな方が、
この将棋に慣れると、

トン死筋が、やや出安すぎるゲームと感じられる

のではあるまいかと、予感はされた。
 まあ、日本将棋の愛好家に、大将棋に興味を持って貰うた
めの、

ソコソコの出来のゲームが出来たといった所か

と一局指してみた限り、そのように感じた。(2019/01/17)

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