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獅子駒の動きを変化させる獅子に関する特別な規則はなぜ無い(長さん)

前に、先獅子の規則と、足または繋ぎ駒という語が、同時には
出てこない、中将棋の獅子に関する特別な規則の、同等ルール
への変更について述べた。
 やり方は、とにかく獅子の動かし方のルールについて、相手
の獅子を取るときだけ、性能が落ちるとようにした、というも
のであった。
 具体的には、以下の獅子の行き所で、田はいままでと同じだ
が、口の位置で、相手獅子を取る手を禁手にするという、特別
な規則であった。

2.1(自陣奥から数えて、1~6段からの獅子)
口口口口口
田田田田田
田田獅田田(獅子自身の位置にも戻れる。)
田田田田田
口口口口口
2.2(自陣奥から数えて、7~12段からの獅子)
口口口口口
口田田田口
口田獅田口(獅子自身の位置にも戻れる。)
口田田田口
口口口口口

今回は、前回不明としたが、そもそも中将棋が発生してから
長ければ約700年の間、上記のルールの獅子に関する特別な
規則が、記録されていないのは何故なのかを、論題にする。
 結論をいつものように、先に書く。

易学の”九星占い術”が、近世までたいへん強く、中将棋盤を
中央で切るという、ルールが発生し難かったため

であろうと見る。
 では、以上の結論に至る経過ついて、以下に説明する。
 一番簡単なのは通常の、”獅子を取った次の手で、繋ぎ駒で
取り返せるときには・・”という形式の、従来の中将棋の獅子
に関する特別な規則と異なり、具体的にこの変更で、ゲームに
難が生じる事があるという理由が、まず当たり前に考えられる。
 たとえば、この新しい獅子に関する特別な規則では、先手の
獅子は6段目に上がれるが、それに邪魔されて、後手の獅子が
6段目に上がるのは、より難しくなる。
 ただし、通常の中将棋でも、先手は6段目に獅子を上げやす
いが、後手は初期配列から、いきなり6段目には、上げにくい。
ところが、

中将棋には、龍馬、飛車、竪行といった走り駒が歩兵のすぐ下
段に居るため、高延びした獅子に、当たりが付き易く、先手6
段獅子の位取りは、長くは続かない。

 他方、実際に駒を並べてみれば判ると思うのだが、上記のルー
ルの獅子は、6段目に獅子を置いた状態で、左右に動ける点が、
通常の中将棋とは少し違う。しかし、その場合も、

相手の走り駒で狙われる事には、この場合はほとんど差が無い

のである。つまり、

上記のルールに難が有る局面を、具体的に作り出すのは難しい

という事である。

だから、このルールでは、

ゲームに難が有るから、このような形式の、
獅子に関する特別な規則が、出来なかったとは考えにくい

という事が、ざっとだが、調べてみると判る。
 だから知っていても、このようなルールにする別の難が有る
と考えた方が、尤もらしい事が判る。
 そこで、通常の獅子に関する特別な規則と、今回本ブログの
管理人が考えた、獅子に関する特別な規則との違いは、

中央のラインが、獅子の動かし方ルールの変わり目を決める
境界線に、本ブログの新ルールの場合だけがなっている

という点に有ると、考えられた。つまり、”6段目まで同じで、
7段目から変わる”という形式のルールは、少なくとも中世の
中将棋の棋士には、導入が好まれなかったという事だろう。
 その理由としては、本ブログで既に述べたように”中将棋の
12升目は、4升目づつ分けて、全体を9つの領域にする、中
国易学の9星占いに因む”との論の影響が強いためである。
つまり、

中将棋の盤の真ん中に、なんらかの印を付ける必要の有る、
本ブログの形式のルールは、考えた人間が、仮に過去本ブログ
以外に居たとしても、採用されなかった

と見られるという事であろう。
 ちなみに盤の行が偶数で、中央ラインが、何らかの意味で、
駒の動かし方ルールの、変わり目になっているというゲームと
しては、言うまでも無く、シャンチーがある。シャンチーでは、
中央の河を渡ると、歩兵が横に1歩、寄れるようになる。
 だから、中国9星占いが、日本の中世、中将棋を指す上流階
級の間で強かったとしても、シャンチーが流行っていたなら、
本ブログのような、獅子の動かし方変更は、もしかすると、可
能だったのかもしれない。恐らく、南北朝時代から室町時代の
前半については、大陸の象棋類は、中将棋指しの間では、たま
たまだろうが、余り流行らなかったのであろう。
 理由は良く判らないが、ひょっとして、その頃伝来した、
朝鮮広将棋が、普通のシャンチー・チャンギと違い、”出来が
悪い”と日本人貴族等に認識され、それが、大陸のゲームの
評判を一時的に落し、シャンチー式のルールの導入に対して、
ネガティブに働いたのかもしれない。
 何れにしても、その時点で完全に日本文化化した、陰陽道、
易学は、中世の中将棋棋士には、

今では想像もできないほどに、信仰されていた

に違いない。いまでは、宗教施設で宣伝も兼ねて使われている、
占いを散りばめた近世までの”暦”に書かれた、9星占い系の
占いの内容は、中世の将棋棋士にとっては、絶対に信じるべき
情報だったのであろう。
 そのため、

中将棋盤のニ分割化は考えられなかった。

 その影響で、中央で獅子の動きのルールを変えても、獅子の
互い取りを少なくする事はできたのだろうが。実際に残ったの
は現行の”次に相手の駒で取り返せる、互い取りが発生する、
局面のときには、獅子を獅子で取るのは禁止というルール”
だけだったのかもしれないと、思われる。逆に言うと”現在に
残る獅子に関する特別な規則は、その内容が、中世の日本人の
文化思想を、濃く残しているという点で、重要に歴史情報を
含んだものであると、考えられる”と言う事になるのだろう。
(2019/01/26)

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