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持駒ルールの有る朝倉小将棋型中国シャンチーゲームを作成(長さん)

前に、取捨て将棋は、持駒ルールが無い分、個々の駒の性能
が強化されており、取捨て将棋類に、更に持駒ルールを導入
するには、個々の駒の動かし方ルールの弱体化が必須と述べ
た。具体的なゲームとして、西洋チェスを例に説明した。
 今回は、別の取捨て将棋として、これも代表的な、現代
中国シャンチーについて、持駒ルール化の別の例として示す。
ただし、西洋チェスとはパターンを変え、守りを強化すると
いう方法で、持駒ルールを入れても、攻守パランスが取れる
ようにする。中国シャンチーが例として相応しいのは、九宮
の導入、玉駒通しが直射できないというルール、玉駒の八方
隣接升動きから、縦横4方連接升動きの改善で、パランスを
とり、ゲームとして完成されているからである。
 今回は、玉駒を八方動きさらには、龍王動きにしてから、
象/相を太子化するという、持ち駒ルール有りの朝倉小将棋
方式にして、中国シャンチーを持駒ルール化した例を示す。
駒の初期配列は、この形だからシャンチーはゲーム性能が出
ているのであり、基本的に変えない。変える余地があるのは、
中央の玉駒、士/仕駒、象/相駒の、駒の動かし方ルールだ
けだと考えられる。
 具体的には、玉駒である帥/将と、象/相の駒の動かし方
ルールを次のように変えた上で、持ち駒ルールで指す。
帥/将:現行の嗔猪の動きではなく、龍王の動きとする。
盤面自由に行け、動き先は九宮に限定されない。九宮自体を
使用しない。なお、帥/将同士は対面しても良い。ただし、
そうすると対面させた方が、相手の帥/将で、取られる。
帥/将だけ、この将棋では取り捨てで再利用できないとする。
象/相:現行の2升目だけに限定された、斜めへの走り
(塞象眼ルール有り)を止め、自陣では日本将棋の酔象、
相手陣では必ず、太子の動きになるとする。すなわち、
通常のシャンチーと異なり、相手陣に出入りしたり、持ち駒
ならば、打つ事も可能とする。また、相手陣内でこれらの駒
が有る時、日本の将棋の太子や王子同様、帥/将が取られて
も、負けにならないとする。ちなみに、相手陣から自陣に戻
ると、日本の将棋の太子と異なり、酔象の動きと、働きに、
戻ることとする。繰り返すがこれらの駒は、持ち駒として、
再利用できるものとする。
なお、九宮が無くなるので、士/仕もルールが変わる。
士/仕:動きのルールは士/仕のままだが、盤の何処にでも
移動でき、また、何処にでも持ち駒として、打てる。
 なお、中国シャンチーには、兵/卒だけ成りのルールがあ
る。成りのパターン自体は、通常のシャンチーの河を基準と
するルールとして、歩兵の成りのルールについて、次のよう
にする。
兵/卒:自陣では前に一歩、相手陣では、前に一歩と横に一
歩進める。持駒として打ったときには、相手陣に打つと、
移動しなくても、相手陣の動きの駒になっているものとする。
 次に、今回のメインの変更である、持ち駒ルールについて
示す。今回は、

持ち駒は、帥/将以外の全てについて、持駒に出来、持駒を
打つ際、禁止手は全く無しにする

とした。兵/卒は縦に幾つでも打てるし、それで、相手玉・
太子駒を詰んでも良い。
 最後に問題になるのは勝ち負けの決め方だが、

 盤面に、帥/将、及び/又は、相手陣に象/相が、全く無
くならない限り、負けになら無い

とした。相手がうっかり、持駒として象/相を温存させる、
ポカをやらない限り、相手の帥/将、盤面に合計4枚有る、
象/相を全部奪わない限り、勝負は続けられるとした。
 実際に一局指して、終局になった例を以下に示す。

シャンチ持駒.gif

盤面、向こう側が帥軍、こちら側が将軍であり、向こう側が
先手、こちら側が後手である。駒の色は、持駒ルールにより
入れ替わっていて、

駒の向きでのみ、敵味方は区別され、色はバラバラになる。

帥/将駒以外単色の、象棋駒を使うべきだったろう。
 局面は、先手向こう側、帥軍の勝ちである。詰みは、囲碁
盤の表記で言うと、4の五の位置にある、将軍の相駒(元々
は、相手から取った持ち駒)が、追い返し詰みになっている。
なお、終局時点現在で玉の働きをしている玉駒は、図の黄色
の輪のある”相”の駒である。持ち駒台には、取っても再利
用しない帥/将駒も、この写真のケースでは置いてある。
 形勢は2転3転し、最後の帥軍の盛り返しにより押し切ら
れた感じで、戦術的な敗因は、はっきりしない。
 このゲームは、恐らく日本将棋の持駒ルールに慣れた方が
行うと、比較的簡単な寄せの、数回の繰り返しという感じの
ゲームになるとみられる。

帥/将は、シャンチーの九宮から出られず、対面も禁止され
た嗔猪動きから、龍王の動きに大幅強化されているが、持駒
ルールの存在による、攻撃力の増加は、それに勝るもの

である。続く、太子駒の寄せと言うべき、相手の象/相の、
自陣内での寄せも、動きは玉将で龍王よりも弱体化してい
るので、相手は安全な地点に打駒をしたものを、更に詰める
形になるとしても、寄せるのに、大きな努力が要るわけでも
ない。
 よって、攻守のバランスは、

私にとっては、持駒将棋の寄せが象/相が複数個存在するた
め続くので、大いに守備力が有るように感じられたが、持駒
ルールに堪能な方には、長手数かかるが、やや単調なゲーム

と感じられるのかもしれない。上級者には

玉駒が複数有るので、両取りが生じ易かったり、相手陣に、
押し戻しても象/相は、玉駒の資格が消失するという、この
ゲーム特有のルールを楽しんだり、太子駒を打つ際の打ち所
や、タイミングの面白さを、多少楽しんで貰えれば、それで
良い

といった所だろうか。
 蛇足だが、相/象のルールを大きく変えてしまったので、
このゲームは、朝鮮チャンギから出発したとしても、大差が
無いように思える。特に兵のルール差や、象/馬の入替えルー
ルの有無は、攻守バランスに大きな影響は、たぶん及ぼさな
い。ただしチャンギの包が、空升目へ跳べるために、中国シャ
ンチーの砲より、持ち駒ルールの場合はだいぶん強力だ。
だから、攻守のバランスがとりやすいという意味では、
持ち駒化の出発ゲームを、中国シャンチーにした方が、
朝鮮チャンギにするよりも、ゲームデザインが、少し楽な気
がする。
 何れにしても、中将棋は、たまたま材料が思いつかなかっ
たが、チェスやシャンチーについては、持ち駒ルール化のた
めの、アイディアに気がつく事自体には、さほど苦労は無い
ようだと考える。(2019/01/27)

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