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六博は盤双六系ゲームとの説に基づく、ゲームのチェック(長さん)

今回は、表題のように六博は盤双六系ゲームとの通説に基
づいて、具体的にゲーム内容を推定し、そのチェックをし
てみた。ゲームが”約2000年前の、原始的なものだ”
との印象に合うと言う意味をも含めて、

結果から見ると、やはり通説が正しい

ように、私も思える。さてさっそく、それでは本題に入る。
 web上で、六博のルールは”今ではさっぱり判らない”
との旨の書き込みが多いと認識される。しかし、遊戯史研
究者が、”この程度の悪条件で過去、ゲーム内容の暗号解
読を諦めた”と、私には到底考えられない。今の所、ゲー
ム・ルールの解明に関する、論文情報を個人的には所持し
ないので、仔細は私には判らないのだが。
 そもそも遊戯史家が、”六博は盤双六のようなものであ
ろうと推定”したからには当然だが、解読しようとした結
果、カテゴリーとしては、その類との見解に落ち着いたか
らに違いない。

”ゲームのルール詳細に付いては、手がかりとなる古記録
が、今では全く残って居無い”と表現した方が、”ゲーム
のルールに付いては、今ではさっぱり判らない”と、広報

するよりは、適切だろうと私は思う。
 ところでこのゲームのルールに関する先行研究としては、
”盤の線と線の隙間の部分に、駒の置き場とも想定できる、
名前が付いた古文書が残っている”
という話が著名だ。しかし、そう考えてしまうと、

隙間同士が、かなりの場合に連結していて、置き場と置き
場の境目が、厳密には、はっきりしない

という事実が、全く説明できない。従来遊戯史家は六博を
解析するとき、しばしば”盤の、所どころにある名称を、

六博盤の駒を置く場所と決め付ける説”に惑わされていた

とは考えられないだろうか。つまりこれらの文字は、将棋
の盤の、外側にしばしば書かれる、123456789と、
一ニ三四五六七八九の数字・漢字と、ほぼ同じ働きをして
いる、棋譜表現のためのものなのではないかと、疑われる
と言う事である。
 そこで本ブログでは、前回の冒頭に述べたように、駒は、

”駒を置く名前の付いた場所”に置くのではなくて、線模
様で、一つの線分とみなせる部分2本に、長方形の元々細
長い駒を、必ず線分の数は、2つに限定して跨らせておき、
そうなっていれば、いわゆる”駒の置き場”の文字の場所
と、完全合致しなくても良い

と見てみた。名前は、着手を表現するのに使ったものだと、
考えたのである。そして、”隣の地点に移動する”とは、
”接している線分の、かならず一方は同じにして、他方を
隣接する別の線分に変えるように、長方形駒を中心をやや
ズラしながら、回転させる事”と、解釈した。
 なお、盤双六とは違い、同じ状態、すなわち盤双六で言
えば同じ升目に、複数の駒は、六博盤では置けない。一状
態1つの駒限定の、パウリの排他律型のゲームと見られる。
 そうすると、長方形駒の六博盤の模様上の位置と移動は、

囲碁の碁石のような円形の駒と、隣への移動を、隣接盤上
地点同士を、囲碁盤のように目と目同士を線で結んだ形と
して表した、ゲーム盤と等価に表される

事になった。この変換で見通しは、とても良くなり、双六
の駒型を12個、円変換して想定すると共に、前記の、
等価囲碁状盤(数学的に言うと、グラフを書いた盤)を
用いる事で、ゲーム内容を割り出そうとした訳である。
 そこで以下の議論は、あくまで以上の”TLV盤を解析
するためにした変換仮説”が正しいとしたときに、限定は
される。
 これも前に示したが、次に、四隅の二辺だけ見えるV型
正方形模様と、本当の盤では存在する、中央の四角形領域
と、連結しようとしているが、途中で切れている”線分”
とで作る、2線分に乗った形に初期配列で駒が有ると仮定
すると、四隅V字形1つについて2個、合計で8個の駒が
置ける。また、TLV盤のL部分には、長方形駒が、Lが
2つの線分からなっているので1個づつ初期配列で置けて、
合計4個置ける。

 六博の名から、敵味方で合計12個の駒があるはずだか
ら、初期配列は、以上の2種類の場所に駒を置けば足りる。

 そうすると、もしこれが盤双六ゲームだとすれば、

中央の四角領域が、上がりを表現すると見るのはほぼ自明

だ。そこで、前述べた文言を繰り返すと”そもそも、この
盤が、普通にサイコロを使う、盤双六盤だという象棋関連
説とは別の、学会では定説と、私が認識する見方で見ると、

二重丸の所に、双六の駒を置いて、中央近くの黒い目を目
指し、黒の目から1か4のサイコロの目が出たときに、
個別の駒が上がれる。が、この黒い目では必ず止まるよう
に、出目時の駒の移動を調整してから、次の自分の番か、
1回以上止まってから、上がらなければならない。また途
中路で駒を動かすときに、同じ線は1回しか通過できない。

以上のルールで指す、6升目しか無い、簡易的な双六ゲー
ムと、等価に近いゲームと、ほぼ自明に推定できるように、
本ブログの、独自の見方としてはする”という事になるの
である。なおこの場合は、他の駒を途中で、飛び越せない
とする。また黒い王手の目は、元の六博盤で表現すると、
中央の方形の、角の一つを小さな三角形に切る形に、
長方形駒を置いた状態の、その長方形駒の状況に、対応す
る事になる。
 そこで、これで、はたしてゲームとして成立するのかど
うか、最近実際に、テストしてみたので、以下にゲーム上、
難点は生じないのかと、サイコロをどの程度振るゲームに
なるのかを、紹介しよう。
結論から述べる。

ゲームとして、成立している。ただし、スチールメイトの
補助ルールが必要。

難点は逆転の確率が低い事。

サイコロは十数回互いに振る程度で、短時間で勝負がつく。

以上のようになった。
 次に簡単にだが、補足説明しよう。
 実際のゲームでは、道具として”普通のサイコロ1個”
が、双六駒12個の他に要る。ただし中国漢代に、現在の
サイコロ駒か、それと等価で1~6の目の有る、サイコロ
の機能を持つ遊戯具が、あったのかどうかは、まだ精査
していない。少なくとも、私の作成した、六博等価囲碁型
盤(数学的グラフ盤)では、サイコロに7以上の目は出な
い方が、手が指せない事が多くなりすぎるため、好ましい。
出土品の14面体とか18面体の、中国古代のサイコロは、
後期の六博用のバージョン用か、6まで出る目が2面とか
3面づつ有ったと仮定しての、以下話となる。大きな目数
の敢えて必要なゲームが、実在するのかと言う点で、単純
にその面数までの、数の目が、中国古代サイコロに有ると
いう仮定は、むしろ不自然だろう。
 つまり、サイコロの目だけどれかの駒を、等価囲碁路で
動かし、同じ路は2回以上繰り返せないで、6目までなら
特に、ルール上問題になるケースは、余り無さそうである。
ただし、そうであっても、

動かせる手の無い、スチールメイトは、喫した方の負け

との、補助的ルールは必要なようだ。ゲームの進行上、
注意点は、その程度だ。
 このゲームは、上がり直前の目に、初期配列から、3~
6が出ただけで、いっきに到達できる。そして相手の駒を、
袋小路上のエリアの中に、閉じ込めてしまえば有利なので、

上がり直前の点を占拠するという、戦術以上の戦法は無い。

しかも、袋小路に閉じ込められてしまうと、相手の残り
の5つの駒が上がってしまうまで、

相手は戦略上、閉じ込めた駒の牢屋番的な駒は温存

すれば有利なため、1か4の目が出ても上がらず、他の駒
を動かすという方法で、固定してしまう事が多い。その為、

不利な方から見て、上がれない残り駒が、こちら側が2個
で、相手が1個になるケースが、かなりの確率で高い。

しかも、この状態で不利な側が勝てるのは、

相手が1か4の目が出ないために、しかたなくよそに、
牢屋の駒番を移動させた隙に、味方が2枚共、上がれるケー
スだけであり、逆転の可能性は、よって比較的低いゲーム

である。従って、

終盤の発散が、取り捨て将棋と持ち駒将棋の比較といっ
しょで、前者のように少なく、漢の時代には残っても、
三国鼎立の時代になると、飽きられて消滅したという説
は、至極尤もらしい。

なお史料として残っている、串焼きの串のような物体と、
6面体ではないサイコロ。さらには小さな30個の方形
の駒等は、流行の末期に、ゲーム・ルールを複雑化して、
基本型のゲームの、性能上の難点を克服しようとして、
結局は失敗した遺物であろうと見て、間違いないように
私には思える。
 最後に、サイコロの1度振りで、”王手”の点まで到達
できる程度の、盤構造のゲームと見られるため、トータル
の手数は、どうがんばっても、50手にはならない。
 比較した双六盤の升目数、駒の数等から予想されるよう
に、サイコロは1個であって、2個では無いものの、
盤双六の1/4位の総手数で終わる。比較してより劣位と
記録した古文書があると聞くが、

囲碁に比べて、全く簡便なゲームかつ、運がほぼ決める
ゲーム

である。なお、先手が有利と言う事は、特には無さそうだ。

つまり玄怪録の”小人の戦争”の、宝応”将棋”の局後評

に近い。むろん、TLV盤に関する、本ブログの解析が正
しいとしてという、条件つきの結論だが。もしかすると、
玄怪録の、”小人の戦争”の作者の(伝)牛僧儒は、宝応
将棋のルールは知っているものの、それを自分では熱心に、
のめり込んで、指すほどには興味がやはり無く、物語り中
で、”金象将軍を、岑順が褒める場面のセリフ”は単に、

将棋のレベルは六博といっしょとの仮定に基づいて、彼も
知っていた一般的な六博の一局のゲーム内容の評で、将棋
の場合を代用

しただけのかもしれないと私には想像された。(2019/02/05)

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