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大大将棋の馬麟~踊鹿の成りの奔王~方行。何を根拠に決めた(長さん)

大大将棋の成りはユニークである。ただし、近王の成りの
前旗は位置から、変狐と変狸は化狐、化狸の意味とすれば、
成りの夜叉と鳩槃は、イメージだったとみられる。
 しかし、表題のように馬麟、水牛、行鳥、飛龍、猫叉、
踊鹿の成りが、それぞれ、奔王、奔獏、奔鬼、龍王、龍馬、
方行である理由は、飛龍の龍王は別として、少なくとも自
明では無い。大大将棋のデザイナーは、何を考えて、この
ような、元駒成駒の対応付けをしたのだろうか。以上を、
今回の論題とする。
 最初に回答から書く。
奔王、奔獏、奔鬼、龍王、龍馬、方行という成りの系列が
先にあって、この元駒の馬麟、水牛、行鳥、飛龍、猫叉、
踊鹿は、これに合わせて後で考えた。前者は単なる序数詞
の代わりに過ぎない。

後者は、陰陽道の思想に従い、12支の方角で、五芒星を
象っている。

 すなわち、方位の馬(午)からだいたい144°づつ、
反時計回りにまわして、馬牛鶏龍と対応させ、その後、
36禽の副動物である、恐らく猪の代わりの猫、馬の代わ
りの鹿とした上で、修飾詞等の、麟、水、行、飛、叉、踊
をつけて駒名にし、序数詞の代わりの前記の成りにした。

 では、以下に説明を加える。
馬麟、水牛、行鳥、・・これらの大大将棋駒の、元駒の名
称の付け方も、

陰陽道や五行説、風水と言った系統の、占いから来たもの

だろう。大大将棋のゲームデザイナーも、中世の人間らし
く、陰陽道に傾倒していたに違いない。
 まず最下段の袖へ向かって3列目を、左右左右へ見て行
くと、奔王、奔獏、奔鬼、龍王、龍馬、方行、走車、飛車
の8つの種類の駒は、走り駒を、強さの順番で、左右に分
けて2枚づつではなくて、1枚だけづつ、互い違いに置い
たものである事は一目だ。
 この8つの走り駒のうち、成り駒名には最初の6種だけ
使用している。飛車が龍王に成る等は、この将棋種では、
採用されて居無い。そこで、奔王から始まる系列は、1番、
2番・・という、順序数詞の代わりとも取れる。
 そこで、たまたまだったろうが、妙見菩薩でも、デザイ
ナーは信仰していたのだろうか。仏の全面に配置される、
十二支の馬から始めて、馬で最初に馬麟を作ったようだ。
 次に、反時計回りに正確ではないが、方角でだいたい
1回転の2/5公転づつ、角度で144°回った所の動物
を、馬、牛、鶏、龍、猪、馬と対応させたようだ。恐らく
この種の占いに、そのようなシステムのものが、有るのだ
ろう。図に描いて線で結ぶと、五芒星型になるので、その
形を、デザイナーは考えたのかもしれない。
 ただし、豚将等、猪駒を嗔猪とは別に考えるのは、めん
どうだったのか、あるいは36禽の対応で、亥に猪のほか
に、副動物として猫が来るバージョンが、摩訶止観とは
別の文献に有るのか。猫は翌日着たので、猪の後のその所
なのか、私には良く判らないが。猪と最後の馬は、恐らく
36禽の副動物である猫と鹿に変えたようだ。ちなみに、
私が調べた限りでは、36禽で猫は、猿か鼠の類になって
いる。真ん中を取って犬猪付近にしたとも思えないのだが。
 だから、猪の所には入らないはずだが。

この点は不明として、今後の解明を待つ

として、その結果次の段階で、

馬、牛、鶏、龍、猫、鹿

という、元駒系列の固有詞が出来たと見られる。その中で、
龍と猫は、飛龍と猫叉が、元々あったので、それを使った
のだろう。その結果、大大将棋では

飛龍の成りが龍王、猫叉の成りが龍馬になった

とみられる。猫叉が斜め歩みだったし、飛龍、龍王に、ど
ちらも龍が入っていたので、大大将棋のゲームデザイナー
は、順序数詞の4番目と5番目の対応には、満足したに違
いない。
 そして、残りの馬、牛、鶏、鹿を、試行錯誤で、修飾詞
として、麟、水、行、踊を考えた上で、それらの動物駒名
に付け、

馬麟、水牛、行鳥、踊鹿にたまたま、した

とみられる。これらは、順番で1、2、3、6なので、
成りがそれぞれ奔王、奔獏、奔鬼、方行になったのだろう。
 なお、元々は元駒が弱く、成ると大きく強くなるように
動かし方ルールは、作られていたはずだ。

行鳥は、大局将棋や、水無瀬兼成の将棋纂図部類抄の泰将
棋の行鳥が正しく、後のは作り物。
水牛も天竺大将棋から強くなっただけで、もともとは、
将棋纂図部類抄の泰将棋や大大将棋のように弱いのが正調。

以上のようだったのであろう。
 猫が猪類にしたで合っているかどうか、多少気になるが。
 大大将棋に特徴的な成りのパターンも、以上の事から
陰陽道や風水等、中近世の占い信仰から来ているように、
私には思える。(2019/02/23)

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